先週のドル円レンジ: 102.52円 - 105.22円

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31日(月):ドル円は、104円台後半で上値追いに慎重。米大領領選の不透明感増す。

週明け月曜日、クリントン氏の私的メール問題でFBIが捜査を再開したとのニュースで円安の勢いを挫かれたドル円は、リスクオフのムードが高まるなかで、東京時間朝に104.52円まで下落しました。ただ、その後持ち直して、欧州時間には105.22円まで反発。終値は104.819円(前日比+0.028円)でした。

今日からは、日銀会合やFOMCという重要イベントが控えていますが、マーケットはすでに「金融政策の変更なし」を織り込み済み。注目は、ここにきて急速にボラティリティが高まっている大統領選に集まっています。トランプ氏が勝利して、金融市場が混乱した場合はFRB12月利上げが微妙になることも考えられます。

カーニー・BOE総裁は、任期を1年延長して2019年6月末まで留任することを決め、ブレグジットで起こり得る混乱を対処するために指揮を執ることを表明しました。一部にはカーニー総裁が任期前に解任されるとの噂もあっただけに、これを好感したポンド/ドルは、1.21ドル台半ばから1.2248ドルまで買われています。
 

01日(火)ドル円は、一時103円台に下落。米大統領選をめぐる不安でリスクオフ加速。

NY時間のドル円は急落。米大統領選の不透明感でリスクオフの動きが強まると、ダウ平均は一時200ドル下げ、ドル円が売られました。米メディアが世論調査として、トランプ氏の支持率がクリントン氏を上回ったと報じると、ドル円は、104円台後半から10月24日以来の安値となる103.79円へ下落しました。

この日発表された米製造業ISMは予想を上回る強い内容となりましたが、市場の反応は限定的。先月は、このISMがドル高に動くきっかけとなりましたが、今の市場は大統領選以外に興味がないようです。

一方ユーロドルは、ドル高の動きで1.0959ドルを安値に、1.1068ドルまで一方的に上昇。ユーロ/円も、欧州時間に115.67円の高値をつけたものの、その後はドル円に連れて114円台後半に押し戻されました。

豪ドルは堅調、豪ドル円は上昇後、急落。この日RBAは予想通り政策金利を据え置きました。先週の豪雇用統計が弱かったことから、一部でRBAは緩和色を強めるとの意見も一部にありました。しかし、声明ではRBAが中立姿勢を崩さなかったため、豪ドルは、0.76ドル前半から海外時間までに0.7688ドルまで上昇。一方豪ドル円は、80.63円まで買われた後、ドル円の下落で79.44円まで反落しました。また、NZドルは、2日(水)朝に発表された雇用統計が良かったことで、0.7236ドルまで急上昇。NZドル円も、75円台へ急反発しています。

日銀は1日の会合で、物価見通しを引き下げ、2%の物価目標の達成時期をこれまでの2017年度中から18年度頃へ先送りすることを決めました。金融政策については予想通り現状維持を決定しました。同時に公表された日銀展望レポートでは、成長見通しこそ変えなかったものの、経済回復に対する自信は読み取れず、逆に物価下振れリスクは高まっていることを経済活動と物価下押しのリスクが高まっているとのとの見解を示しました。



 

02日(水):ドル円は、FOMC後に103円台前半に下落。

FOMCはこの日の会合で、市場予想通りFF金利を据え置き。声明では、「利上げの根拠は引き続き強まっていると判断」しながらも、「目標に向けた更なる進展の証拠を待つことにした」という前回の文言を踏襲しました。利上げ見送りに反対したのは、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁と メスター・クリーブランド連銀総裁の二名。前回利上げを主張していたローゼングレン・ボストン連銀総裁は、今回据え置きに回りました。

FOMC声明文に12月利上げに対する踏み込んだ表現は盛り込まれていなかったことがマーケットの失望を誘い、ドル円は103.02円まで売られました。終値は103.321円(前日比-0.824円)。
 

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03日(木):ドル円は、続落。米大統領選でリスクオフ高まり、一時102円台半ばまで円高。

3日のドル円は続落。アジア時間の日中に一時102.52円まで売られました。海外時間にはクリントン氏優位の調査結果が発表されたこともあって、一時103円台前半に戻りましたが、上値は重く、終値は102.960円(前日比+0.361円)でした。

イベントリスクが高まる米大統領選に備えてセーフヘブン通貨といわれる円とスイス、そして金先物が買われ、またドルを売ってユーロを買う動きが強まりました。ドル売りは、2日のFOMC声明文に12月利上げの踏み込んだ表現が盛り込まれなかったことに対する失望感もありました。

オセアニア通貨では、豪ドルは、ドル売りの動きとリスクオフによる豪ドル売りに挟まれてこう着状態に陥る一方、NZドルが買われています。失業率の低下や乳製品価格の持ち直しに加え、RBNZの利下げは今月を最後に打ち止めと見方が買い安心感につながりました。NZドルはこの日、9月22日以来の高値となる0.7337ドルまで上昇。

ポンドは1.23ドル台から1.25ドル目前まで急騰。
英高等法院は、EU離脱を正式に開始するリスボン条約50条の発動には、英議会の承認が必要との判断を下しました。ハードブレグジットに進む英メイ首相に対して議会が大幅な譲歩を迫る権利を得たわけで、ポンドに対する不安感がやわらぎました。ただし、英国がEUに残留することになったわけではありません。英政府は上訴し、最終判断は最高裁に持ち越されることになります。

この日BOEは会合で政策金利の据え置きを決定しました。市場予想通りの結果でしたが、同時に公表された四半期インフレ・レポートでBOEがインフレとGDPの見通しを上方修正したことで、利下げは当面ないとの見方が広がったこともポンド買いを加速させました。

とはいえ、最終的にリスボン条約50条が発動されることはほぼ確実で、重要なのは、その後の英国経済がどうなるかということです。BOEの予想通り順調に成長するかどうかは疑問が残されます。

 

04日(金)ドル円は103円を挟んで小動き。米10月雇用統計は労働賃金が上昇。

米労働省が11月4日に発表した10月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+16.1万人と、市場予想の+17.5万人を下回る結果になりました。しかし、9月分は15.6万人から19.1万人に大きく上昇修正され、また失業率は4.9%に低下しました。

最も目を引いたのは平均労働賃金の上昇率でした。前月比+0.4%と予想を上回る強い伸びで、雇用者数の伸び悩みを十分に補う明るい材料となりました。全体として今回の雇用統計には、FRBの12月利上げを妨げるような不安点は見当たりませんでした。ただし、2016年の非農業部門雇用者数変化は10月までの時点で、月間平均+18.1万人。2015年の+22.9万人に比べると鈍化しています。

発表後、ドル円は102円台後半から103.29円まで買われましたが、ほどなく102.85円まで下落。翌週に米大統領選が控えていたため大きく動けず、その後は103円を挟んだ様子見相場となりました。終値は103.083円。

ユーロドルは1.11ドル台でもみあいを続けた後、NY時間の引けにかけて1.1139ドルまで上昇。ポンドは前日のBOE会合で勢いがついたポンド買戻しの流れが続き、約1ヵ月ぶりとなる1.2557ドルまで値を伸ばしました。