ドル円の先週のレンジは102.79円 - 104.63円

ドル円 先週の動き

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10日(月):ドル円は、下値が堅く103円台後半。米雇用統計直前の水準に戻る。

週明けのドル円は底固く、東京時間に102.79円まで下げた後は徐々に買いが優勢になって、欧州時間夕方には103.78円の高値をつけました。金曜日の米雇用統計直前の水準を回復したことになります。終値は103.613円(前日比+0.654円)。

東京時間の午前に行われた米大統領選第2回TV討論会は大きな波乱もなく、クリントン氏勝利の確信がさらに強まったことが、ドル買いの安心感につながりました。

ユーロドルは、1.12ドルを高値に1.113ドルまで下押し。ドラギ総裁の欧州景気に対する弱気見通しは変わらず、先週末も経済の下向きリスクを懸念する発言を繰り返しました。ECBが、緩和政策を続ける必要があるということであり、先週話題になったテーパリングを間接的に否定したことになります。

また、原油先物価格は、終値ベースで約1年3カ月ぶりの高値となる51.35ドルまで上昇。プーチン・ロシア大統領が、OPEC減産合意にロシアも参加する用意があると表明したことが材料視されました。
 

11日(火)ドル円は、104円台に上昇後、失速。欧州通貨は対ドルで大幅下落。

11日のマーケットは、大きくドル高へ動きました。
ドル円も東京時間午後に104.07円までドル高・円安が進みましたが、今月の高値(104.15円)を超えられないうちに失速。NY時間には、ダウ平均株価が200ドル大幅値下げしたことを嫌気して、一時103.16円まで下落しました。終値は103.495円(前日比-0.118円)。

ユーロドルは1.11ドルを割り、8月5日以来の安値となる1.1048ドルまでユーロ安が進みました。ユーロ円も、115.79円を高値に114.01円まで下落しました。

ポンドドルも大幅下落。先週金曜日の急落時の安値を更新して1.2085ドルまで売られました。ポンド/円も、日中の128.38円を高値に一時124.80円まで下落。BOEは、先週金曜日のポンド下落について、金融システムの安定性という面では問題ないとの見解で、現在のところポンド安に懸念を抱いていません。しかし、マーケットの一部には、ポンド下落に歯止めがきかなくなった場合、BOEがポンド防衛の「利上げ」に追い込まれるとの意見もあります。

オセアニア通貨も軟調。RBNZのマクダーモット総裁補佐が、「一段の金融緩和が必要になるだろう」と発言したことから、来月の利下げが意識され、NZドル/ドルは7月27日以来の0.7045ドルまで急落。豪ドル/ドルも弱く0.7532ドルまで下押し。一方で、NZドルから豪ドルへのキャリートレードの乗り換えも出ている模様で、豪ドルはNZドルに対して買われ、豪ドル/NZドルは、1ヵ月ぶりの高値水準に上昇しました。
 

12日(水):ドル円は、104円台に上昇。FOMC議事録には反応薄。

12日のドル円は、103.29円を安値にして103円台半ばから後半で揉み合いを続けた後、NY時間になって7月29日以来となる104.48円まで上昇。

この日公表されたFOMC議事録は、利上げ時期で意見が分かれているものの、利上げ自体にはFOMC委員のほぼ全員が前向きであることを確認する内容でした。ただし、織り込み済として市場の反応は限定的。終値は104.181円(前日比+0.686円)で、104円台を維持して引けました。

11日に1.2085ドルまで激しく売られたポンドドルは、この日の東京市場では買戻しが入りました。メイ英首相は、EU離脱交渉の正式開始前に、英議会がその内容や方法ついて検証することを受け入れました。メイ英首相が、ハード・ブレグジットに向かって突き進んでいくとの懸念がポンド暴落の主因とされています。議会がメイ首相にブレーキをかける権利を得たことで、EU離脱の方向は変わらないとしても、せめてソフト・ブレグジットに方針転換する公算がでてきました。ポンドドルは、1.2104ドルを安値に、1.2325ドルまで値を戻し、ポンド/円も125.30円から127.70円まで回復。しかし反発は一時的で、NY市場では再び1.22ドル割れ近くまで売り戻されました。

ユーロドルは続落。この日も7月27日以来の安値を更新して1.1004ドルまで値を下げました。米利上げ期待によるドル需要、リスクオフ、キャリートレードの巻き戻し、そしてユーロ圏の政治経済の不透明感が増していることが、ユーロに対する圧力となっています。
 

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13日(木):ドル円は、円安一服。104円台を持続できず。

ドル円は東京時間に急落。午前中に今月の高値を更新して104.63円まで上昇した後、103.54円まで下落。欧州時間には一時104.10円前後まで戻す場面もありましたが、円安の流れを取り戻すことができないまま再び104円を割ると、103.33円まで下押し。終値は103.679円(前日比-0.502円)。

特に大きな円高材料はなかったのですが、ひとつ理由をあげるとすれば、東京時間に発表された中国の貿易統計で黒字幅が予想以上に減少したことが中国の景気不安を想起させ、リスクオンの動きを後退させたことがあります。

今週の安値は103.16円。このレベルが持ち堪えられないと、短期のドルロングの解消もでてくると予想され、もう一段円高方向の調整もありえるでしょう。

ユーロドルは、欧州時間序盤に一時1.01ドルを割り1.0985ドルまで下落しました。しかし7月27日の安値1.0959ドルが意識されて反転すると、1.1057ドルまで回復。ユーロ円はユーロドルに合わせた動きとなり、115.14円を高値に113.91円まで下落した後、114円台半ばに戻しました。

14日(金)ドル円は再び104円台に。リスクセンチメント改善が支え。

14日のドル円は底固く、東京時間の朝に103.60円まで下げて当日安値をつけたあとは順調に値を伸ばすと、NY時間には104.47円まで上昇。しかし前日の高値(104.633円)には届かず、いったん103円台後半まで押し戻されて、104.174円(前日比+0.495円)で引けました。

この日発表された中国のCPIとPPIはともに期待値を上回る結果で、前日の中国貿易収支の黒字幅減少で委縮したリスクセンチメントが改善しました。また、米9月小売売上高が堅調だったことも、ドル高・円安を支えました。

ユーロドルは、ドル高の流れのなかで再び1.10ドルを割ると、前日の安値を抜けて1.0969ドルまで下落しました。ユーロ円も、欧州時間午前につけた115.04円をピークとして、NY時間には114.20円まで下押し。ユーロドル、ユーロ円とも戻りがなく、ほぼ安値水準で引けました。

一方、豪ドルは、リスクオンに支えられて0.75ドル半ばから0.7646ドルまで豪ドル高。豪ドル円も、7月25日以来の高値となる79.73円まで大きく上昇しました。ただその後は伸び悩み、やや値を下げて引けました。