ドル円の週高値は104.15円。米雇用統計が予想に届かず、102円台へ反落。

ドル円 先週の動き

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03日(月):ドル円は、5営業日続伸。101円台後半で底固い。一方ポンドは31年ぶり安値に迫る。

週明け月曜日のドル円相場は、101円台前半でしばらくもみ合いを続けたあと、NY時間に当日高値となる101.65円まで上昇。米9月製造業ISMが51.5と市場予想を上回る強さとなり、好不況の分かれ目である50も回復したことがドル買い材料となりました。安値は東京時間の101.20円、終値は101.638円(前日比+0.261円)でした。

ポンドドルは急落。英国民投票後につけた31年ぶりの安値に迫りました。英国のメイ首相は、週末行われた保守党の党大会の場で、来年3月末までにEU離脱交渉を始めることを明言。国民投票のやり直しは改めて否定しました。EU離脱回避という希望は絶たれ、英国はEU単一市場からの脱退という「ハード・ブレグジット」の道を進むことになります。

1.29ドル前半でスタートしたポンドドルは、欧州序盤に1.2816ドルまで下落。このレベルより下は、英国民投票後につけた今年の安値1.2794ドルがサポートになります。ポンドドルは、先安観が再び強まり、来年末までに1.20ドルへ下落するとの予想も一部にあります。

一方で、英経済指標は好調で、英9月製造業PMIは強い伸びを示しました。ただし、ポンド安が寄与した部分も大きく、今後は減速に向かうとの意見が増えています。ポンド円も、131円台半ばから130.07円まで連れ安となりました。
 

04日(火)ドル円は、103円目前まで円安すすむ。マーケットはドル高の流れに。

4日、101円台後半からスタートしたドル円は大きく円安に動き、東京時間に日銀会合以来となる102円台にのせました。前日の堅調な米指標がきっかけとなって、マーケットが全体的なドル買いへ向かいました。ドル円は、5月からのトレンドラインを上に抜け、テクニカル的にもドル買い・円売りが強まると、NY時間には102.96円まで上昇。終値は102.884円(+1.246円)でした。

一方でポンドドルは大幅下落。メイ英首相が、来年3月末までにEU離脱交渉を開始することを明言してからポンドの地合いが悪化。この日はついにEU離脱後の安値を更新して、1985年以来となる1.2717ドルまで下落しました。

ドル買い優勢のなかで、ユーロドルも、1.12ドル前半から欧州時間には1.1137ドルまで下落しましたが、ECBが緩和縮小(テーパリング)を検討していると報じられたことで、1.1238ドルまで急反発。ただし、報道内容としては、ECBが緩和を突然終了するような「ハードランディング」は避けるだろうというもの。ECBにとっての最大の懸案事項は、来年3月に期限を迎える量的緩和を延長することに変わりはありません。

またRBAはこの日の会合で、予想通り政策金利を1.5%に据え置きました。RBA声明は、労働市場に対してやや弱気の見解だったものの、全体としては中立姿勢。豪ドルの反応は限定的でした。
 

05日(水):ドル円は、103円台を回復。強い米指標とテクニカルが後押し。

5日、102円台後半からスタートしたドル円は、ドル買いの流れが続き、欧州時間には103円台へ上昇。NY時間には、ADP雇用指数が弱くもたつく場面もありましたが、その後発表された米9月非製造業ISMが57.1と予想(53.0)を上回る強い結果が後押しして、9月6日以来となる103.66円までドル高・円安が進みました。

FRB年内利上げ期待の高まりがドル高の背景といえますが、この動きは、むしろテクニカル的な側面が強いように思えます。ドル円の下サイドを見ると、9月27日から7営業日連続で安値が切り上がり、底固さがうかがえます。ただし上サイドには、9月7日の103.80円、そして、マーケットが特に注目している9月2日の104.30円などクリアすべきレジスタンスが待ち構えています。

104.30円は、9月の高値ということもありますが、このレベルを上抜けすることは、ドル円が、月ベースで前月の高値を、今年初めて超えるという重要な意味を持っています。9ヵ月間続いているドル円の下向きトレンドが休止あるいは反転する重要なサインになるでしょう。ただし、トレンドが本当に変わるかどうかは、今週の米雇用統計にかかっています。104.30円は先月の雇用統計の日につけた高値です。金曜日の雇用統計が失望させる内容ならば、同じことが繰り返されるリスクもあるでしょう。

ポンドドルは続落。欧州市場の早朝に31年ぶりの安値をさらに更新して、1.2685ドルまで下落しました。一方、ユーロドルはECBテーパリングの報道で、1.12ドル台で堅調。その結果ユーロ/ポンドは、5年ぶりの高値となる1ユーロ=1.0628ポンドまで上昇し、またユーロ円は、円安が進んだことで9月2日以来約ひと月ぶりの高値となる116.25円をつけました。

また東京時間には、豪ドル/NZドルが急騰して8月16日以来の高値となる1豪ドル=1.0628NZドルをつけました。背景にはRBAとRBNZの金融政策のかい離があります。RBAは金利据え置きの「中立」姿勢、RBNZは11月利下げの可能性が高い「弱気」姿勢という違いが、豪ドル買い・NZドル売りの動きになっています。とはいえ、FRB利上げやECB緩和縮小などのニュースに対しては、揃って弱いことは共通しています。
 

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06日(木):ドル円は、8営業日続伸で104円台へ。

6日のドル円は、東京時間午前につけた103.34円を安値にして、NY時間午後には104.15円まで上昇、先月9月2日つけた高値(104.32円)に迫りました。

特に目新しい材料はなかったものの、今週の米指標は市場予想を上回る結果が続き、一部には来月11月利上げの観測も出てきました。米大統領選挙の直前に利上げするならば、かなりのサプライズになるでしょうが、FOMCがそのような時期にあえて市場のボラティリティを高めるような行動にでるとは思えません。マーケットが12月利上げの確信を強めるなかで、この動きは円安というよりも「ドル高」と見るべきです。円に限らずNZドル、カナダドルや金先物価格も重要なテクニカルレベルをブレークしています。

この日公表されたECB議事録では、「インフレ上昇の兆候はない」との見方が示されました。ECBテーパリングの話題は急に色褪せ、ユーロドルは1.12ドルから1.1139ドルまで下落。一方、ポンドドルは31年ぶりの安値を更新中で、6日東京時間の朝には、1.23ドルなかばへ急落しています。
 

07日(金)ドル円は、9営業日ぶりに反落。米雇用統計は予想を下回る。

米雇用統計発表後は、ドルが下落。ドル円は一時102.85円まで売られました。
米労働省が10月7日に発表した9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+15.6万人と、市場予想の+17.2万人を下回りました。失業率は5.0%に上昇。平均時給は前月比+0.2%で、こちらも予想(+0.3%)より弱い水準にとどまりました。雇用統計は全体的に低調な内容でしたが、就業減は悪天候による一時的なものとの報告や、8月の非農業部門雇用者数が上方修正されたこともあって、米利上げ見通しを大きく後退させるほどではありませんでした。

ドル円は、東京時間につけた104.03円が高値で、9月の高値(104.30円)更新は、今週以降に持越しとなりました。終値は102.959円(前日比-0.991円)でした。また、ユーロドルは1.1104ドルを安値に1.1204ドルまで反発。

東京時間の朝に、1.26ドル台から1.18ドル台まで暴落したポンドドルは、雇用統計発表後のドル安相場で、1.24ドル台を回復して引けました。急落の原因は複数あったようですが、ポンドの下サイドが非常に脆い事が、今回の件ではっきりしました。ブレグジット以降、ポンドの買い手は市場からほとんどいなくなってしまいました。一方で、ポンド安にもかかわらず英8月貿易収支は赤字幅が拡大。ポンドの下落は輸出増には結びついていません。