先週のマーケットレビュー(8月15日–8月19日)

ドル円1時間足チャート: 先週のレンジは99.53円 - 101.45円

082301

15日(月):ドル円は101円を中心に小動き。ポンドは続落。

月曜日のドル円は、先週末の米指標発表後からのドル売りの流れを引き継ぎ、やや円高気味に推移しました。欧州時間序盤に一時100.86円まで下落しましたが、新しい材料にも乏しく下値は限定的。その後は101円を中心に揉み合いとなり、終値は101.233円(前日比-0.038円)でした。

ポンドは1.2865ドルまで安値を更新、ポンド/円は一時129.98円まで売られました。一方で、ユーロは、1.11ドル台後半で堅調。結果、クロスでは約3年ぶりの高値となる1ユーロ=0.8701ポンドまで、ユーロ高・ポンド安が進んでいます。
 

16日(火)ドル円は一時99円台まで円高。NY連銀総裁発言で持ち直す。

この日のドル円は、大きく円高が進みました。101.25円でスタートしたドル円は、東京時間午後までに100.10円台へ下落。海外時間には、英国民投票日以来の円高となる99.53円まで水準を切り下げました。しかし、ダドリー・NY連銀総裁の「9月の利上げの可能性ある。」との発言が伝わると100円台半ばへ反発。そのまま100円台を維持して、100.307円(前日比-0.926円)で引けました。

先週末からの動きは、円高というよりもドル安というべきで、米小売売上高が振るわず米利上げ期待が後退したことが、ドル売りのきっかけとなりました。しかし、連銀総裁が相次いで9月利上げの可能性を示唆したことで、流れが少しおさまりました。

ドル売りの流れで、ユーロは、1.11ドル台後半から1.1322まで急上昇。独8月ZEW景気期待指数は、懸念されていたほどの落ち込みもなくブレグジットが欧州経済にそれほど影響を与えていないことを示しました。

ポンドは1.28ドル台後半から1.3051ドルへ回復。ポンド安のおかげで英消費者物価は持ち直しており、特に前年比では2014年11月以来の上昇となりました。英中央銀行があらゆる手段を使ってもなしとげられなかったインフレ率の改善を、ブレグジットが実現したことになります。EU離脱に否定的だったBOEにとっては喜び半分かもしれません。

豪ドルに関しては、この日RBA議事録が公表されましたが、インパクトは限定的でした。RBAにとって、豪ドル高は相変わらずの懸念材料であるものの、即時対応を示唆するような強い表現もありませんでした。また豪ドルは、キャリートレード狙いと、商品相場の上昇を背景に押し目買いを狙うトレーダーも多く、全体的なドル売りの流れに乗って、豪ドルは0.7748ドル、NZドルは0.7302ドルまで買われました。
 

17日(水):ドル円の反発は一時的。FOMC議事録にやや落胆。

水曜日、東京時間のドル円は、日本の当局からの円高けん制発言もあって、午後には101円台まで買い戻されました。しかし、101.16円が高値となって、海外時間には再び100円台前半まで下落。この日の上昇分のほぼ全てを失うことになりました。

FOMC議事録では、一部は早期利上げを主張していたものの、多くの参加者はより慎重で、インフレ率が2%に近づく確証が得られるまで利上げを待つべきとの意見で一致していたことがわかりました。前日、ダドリー・NY連銀総裁、ロックハート・アトランタ連銀総裁が9月利上げを示唆したこともあって、タカ派的議事録を期待していたマーケットにとっては拍子抜けとなって、ドル円は100.02円まで下落。終値は前日とほぼ変わらずの100.242円(前日比-0.065円)でした。
 

082302

18日(木):ドル円は今週2度目の100円割れ。終値も99円台。

木曜日のドル円は下落傾向を強め、再び100円を割ると一時99.63円までドル安・円高が進みました。欧州時間には、当日高値となる100.48円まで戻る場面もありましたが、これといった買い材料もなく、徐々に値を下げて99.876円(前日比-0.366円)で引けました。なお、終値が100円台を下回るのは2013年11月以来のことです。

FOMC議事録は、米早期利上げ再開をサポートする内容ではありませんでした。利上げするためには、労働市場の拡大だけではなく、継続的なインフレ率上昇の確証が必要である、というのがFOMC委員の認識でした。米国の雇用市場は順調ですが、インフレ率が伸び悩んでいることから、9月利上げは時期尚早との落胆でドル売りが再開しました。

豪ドルは堅調。この日発表された豪7月雇用統計は失業率が5.7%に低下。就業者数も市場予想を大きく上回る+2.62万人だったことから、豪ドルは0.76台半ばから急上昇して欧州時間には当日高値となる0.7722ドルをつけました。RBAが緩和姿勢を解くことは当面ないにしても、労働市場の強さは次回利下げの可能性を低めるとして、豪ドルに買いが集まりました。FOMC議事録が9月米利上げのチャンスを遠ざけたことも、豪ドルの支援材料と考えられます。ただし、就業者数増加のほとんどがパートタイムで、正規雇用者は逆に減っているため、豪雇用統計は見かけほど強くないとの意見もあります。

ポンドも上昇。この日発表された英7月小売売上高は予想を大きく上回りました。16日のCPIとPPIに続いて、ブレグジット後も英経済が底固さを維持していることを示しました。ポンドは1.30ドル後半から1.3172ドルまで急伸。ポンド/円も、130円台前半から132.26円まで買われました。
 

19日(金)ドル円は100円台前半で小動き。

金曜日はドルの買戻しが目立ち、東京時間のドル円は99.88円から100.45円まで上昇。しかし前日の高値(100.48円)を超えられないまま、100円台前半に押し戻されると、その後は狭いレンジでの取引が続きました。海外市場も目立った動きは見られず、終値は100.171円(前日比+0.295円)でした。

豪ドルは、利食い売りに押されて下げ足を強めると、週安値となる0.7598ドルまで下落。豪ドル円も、7月11日以来となる76.06円まで売られました。また、原油価格の回復とともに6月下旬以来の高値圏まで水準を切り上げてきたドル/カナダドルは、この日の消費関連の指標が振るわず、1.28ドル台後半までカナダ安・ドル高になりました。

強い英指標を追い風に週高値となる.3185ドルまで上昇したポンドですが、英RBS銀行が、法人顧客に対してマイナス金利を適用するとのニュースをきっかけに1.3022ドルまで大きく下落。ポンド/円も132円を高値に一時130.34円まで値を下げました。