先週のマーケットレビュー(8月1日-8月5日)

ドル円1時間足チャート: 先週のレンジは100.68円 - 102.83円

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01日(月):ドル円は102円台前半で小幅な値動き。

月曜日のドル円は、先週末に大きく売られた反動で買い戻されましたが、戻りは鈍く102.68円まで。欧州時間には再び売りが優勢になり、102円前半まで緩みました。この日発表の米7月ISM製造業景況指数は市場予想を下回りましたが、反応は限定的でした。終値は102.413円(前日比-0.339円)。

ポンドは下落。ウィールMPC委員は、英PMI速報値の鈍化を懸念して、タカ派からスタンスを変え、金融緩和を即座に行うべきと主張しましたが、この日の英7月製造業PMIの確報値は48.2と、速報値の49.1からさらに悪化しました。今週木曜日にBOEが利下げする可能性が一段と高まったことで、ポンドドルで1.32ドル半ばから1.3162まで売られ、ポンド円も、135円台後半から7月12日の安値となる134.50円まで下落しました。

対照的にユーロは堅調。全体的なドル売りの動きのなかで先月の高値圏である1.11ドル台後半の水準を維持しました。欧州とドイツの製造業7月PMIが、英EU離脱後のデータにもかかわらず意外としっかりしていたことも支援材料になったようです。
 

02日(火)ドル円は一時100円台へ。 日本の材料出尽くしと米国の弱い指標で。

この日のドル円は急速に円高が進みました。東京時間午前に麻生財務相の円高警戒発言が102.83円まで持ち上げましたが、これが当日の高値となりました。政府が事業規模28.1兆円の経済対策を閣議決定した直後から円は全面高の展開になり、102円を割ると101円台をあっさり通り抜けて、NY時間には100.68円まで急落しました。

経済対策の規模や内容は予想通りでしたが、失望感というより、市場はすでに興味を失くしていたようです。政府や日銀はこの7ヵ月間、マイナス金利導入から口先介入、大型経済対策に果てはヘリコプターマネー論議まであらゆる策を講じてきましたが、円高はいっこうに止まりません。あとは実弾介入という実力行使しか残されていませんが、それは了解されないでしょう。

円以外の通貨も対ドルで上昇。
RBAはこの日の会合で、政策金利を25ポイント引き下げ1.5%にすることを決定。発表後、豪ドルは一時0.7495ドルまで売られたものの、下げは一時的。すぐに落ち着きを取り戻すとNY時間には0.7637ドルまで反発しました。またユーロドルは、1.1233ドルまで上昇して英EU離脱後の高値を更新。ポンドドルにも買い戻しが入り、1.31ドル台後半から1.3365ドルまで値を伸ばしました。

一方、クロス円に関しては円高の影響が強く、ユーロ円は114円台後半から113円ちょうどまで下落。ただ、豪ドル円、ポンド円は比較的底固く、前日比では小幅な下げにとどまりました。
 

03日(水):ドル円は101円前半で底固く取引。

円高の流れを引き継いでスタートした水曜日のドル円は、日経平均が下げ幅を広げたことや国債の利回り上昇を理由に、当日安値となる100.74円まで値を下げました。しかし前日の安値(100.68円)の手前で切り返すと、その後しばらく101円前半での取引を続けました。海外時間には当日高値となる101.56円まで上昇しましたが、勢いは続かず、終値は101.246円(前日比+0.357円)でした。

ユーロドルは下落。英EU離脱後の高値となる1.12ドル台前半まで急ピッチで上昇した反動もあって、この日は1.1140ドルまで値を下げました。ユーロ円も、7月11日以来の安値となる112.66円まで下落しました。

また、NY原油先物は39.19ドルまで下げた後、41ドル台に反発。ガソリン在庫が大幅に減少したことが買い要因になりました。
 

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04日(木):ドル円は101円台前半のレンジ取引続く。BOE利下げでポンドが急落。

ポンドは急落。BOEはこの日の会合で、2009年以来約7年ぶりの利下げを実施。政策金利を0.5%から過去最低の0.25%に引き下げるとともに、資産買入れ枠を4350億ポンドに拡大しました。利下げは全会一致でした。
これを受け、ポンドドルは1.33ドルから1.31ドルまで大幅下落。ポンド円も、135円台から132.55円まで値を下げました。

EU離脱決定後の英国PMIは急速に悪化しており、とりわけ企業や住宅への投資意欲の後退を憂慮したことがBOE利下げの大きな理由です。英政府のEU離脱プロセスが依然不透明な中で、今回の決定は景気後退を食い止める予防手段的な意味合いもありました。カーニー・BOE総裁は、「必要ならば、さらなる利下げができる」と将来の追加緩和も示唆。しかし、政策金利は「ゼロを若干上回る水準まで」と、マイナス金利の可能性については否定しています。

ドル円は東京時間午前に100.86円まで値を下げましたが、ここからは買いも強く、3営業日連続同水準で反転。東京時間午後には、日経平均がプラス圏に浮上すると共に101円台を回復すると、101.66円の高値をつけました。前日のレンジをなぞる動きで、終値も前日とほぼ変わらず101.218円(-0.028円)でした。
 

05日(金)ドル円は一時102円台に上昇。強い米雇用統計でドル買い。

米労働省が8月5日発表した7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比+25.5万人と市場予想の18万人を大きく上回り、前月分についても+29.9万人へ上方修正されました。失業率は4.9%で6月と同水準でした。また、平均時給は前月比+0.3%で予想の前月比+0.2%を上回り、4月以来の最高となりました。

発表後はドル買いが強まり、ドル円は101円台前半から102.06円まで急上昇。しかし勢いは続かず、101円台に押し戻されると、その後はもみ合いとなって、101.79円で週の取引を終えました。結局、この週の高値(102.83円)を抜くことができず、円安方向への反発も限定的だったといえます。

FED利上げについては、先月に続き今回の雇用統計も良かったことで、再び可能性が高まりそうです。今後の米指標次第ですが、早ければ9月の利上げを市場は織り込んでいくことになるでしょう。

雇用統計後の欧州通貨は、全体的なドル買いの動きの中で下落。ユーロドルは、2日には英EU離脱決定後の高値を更新して1.12ドル前半まで値を伸ばしていたのですが、雇用統計後は1.1045ドルまで押し戻されました。ポンドドルも、この週の半ばには1.33ドル台後半までポンド高に戻っていましたが、1.3020ドルまで押し戻されました。