先週のマーケットレビュー(7月25日-7月29日)

ドル円4時間足チャート(7月1日- 7月29日)

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25日(月):ドル円は105円台に下落。107円手前が重い状況

週明けのドル円は、上値の重い動きとなりました。東京時間午前に106.72円まで上昇した後は次第に勢いがなくなり105円台へと下落。NY時間の午後に一時的に106円台に戻す場面もありましたが、全体的なドル売りの流れで再び105円台に押し戻され、終値は105.783円(前日比-0.423円)でした。政府の経済対策において、真水部分(国と地方の財政支出)が3兆円から6兆円規模まで積み増されるとの報道が円安材料になりましたが、持続性はありませんでした。

一方ユーロドルは、東京時間午前に1.0951ドルまで売られて、今月の安値を更新しましたが、NY時間には1.0998ドルまで回復。クロス円も動意に欠け、ユーロ円は116円台でレンジ取引となりました。

26日(火)ドル円は103円台まで下落。経済対策への期待が剥落。

105.81円からスタートした火曜日のドル円は、東京時間午前中に104円台半ばへ1円以上急落しました。欧州市場序盤には、さらに103.98円まで下落。最近のドル円相場は、政府の経済対策に対する期待が持ち上げていた部分が大きかったのですが、内容に新味と大胆さが欠けているとして、落胆感からドル円を売り戻す動きが強まりました。とはいえ、FOMCを前にして、ポジションを大きく傾ける雰囲気でもなく、米住宅指標が強かったことをきっかけに104円台後半まで買い戻されました。終値は104.604円(前日比-1.179円)でした。

一方、ポンドは欧州時間に急落。タカ派で知られるウィールMPC委員が、金融政策の立場を転向したとのニュースがきっかけとなって、ポンド円は139円台前半から一時135.94円まで、4円以上急落しました。ウィール委員は、PMIの悪化は来週のBOEの決定に重要な影響を及ぼすと述べています。ただしその後は徐々に値を戻し、終値は137.365円(前日比-1.572円)。

NZドルは0.69ドル台後半から0.7084ドルまで急上昇。今月半ばから続くNZドルの下落も、0.7000ドル近辺でようやくショートカバーが入りました。しかしRBNZが緩和スタンスを維持しているため、上昇余地も限定的との意見が多いようです。NZドル円は円高が足を引っ張り、戻りは74円まででした。

 

27日(水):ドル円、106円台半ばに急反発も、持続力なく105円台へ。

ドル円は東京時間に急伸。一部メディアが、政府が50年債の発行を検討していることや、景気対策の規模が27兆円超になると伝えたことが円安の引き金となり、ドル円は一時106.54円の高値をつけました。しかし、財務省が50年債についてすぐに否定すると、逆に105円台半ばへ急失速。

東京時間午後に安倍首相は福岡市内で特別講演を行い、経済対策は事業規模で28兆円以上とする方針を表明しましたが、日銀の出方の方が気になるドル円は反応なし。FOMC発表までは105円台の取引を続けました。

FOMCはサプライズもなく、FFレート誘導目標の0.25-0.50%据え置きを決定。声明では「短期的なリスクは後退」したとして、労働市場の回復や、英EU離脱後の金融市場の安定を評価。年内利上げに含みをもたせる内容でしたが、次回9月の利上げについてはまだ意見が分かれています。ドル円の反応は限定的で、一瞬106円まで上昇しましたが、すぐに105.13円まで下落。終値は105.301円(前日比+0.697円)でした。

豪ドルは、東京時間のCPI発表後に下落。RBAが金融政策を決定するうえで重視するCPIトリム平均は、前期比+0.5%と市場予想を上回りました。RBAの「利下げのハードル」は高くなったと受け取られ、豪ドル/円は78円台後半から一瞬79.55円まで急上昇。豪ドル/ドル も当日高値となる0.7562ドルをつけました。とはいえCPIは際立った強さというわけでもなく、また前年比ではやや鈍化していることもあって、ほどなくして逆に売りが強まることになりました。
 

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28日(木):ドル円は104.48円から105.50円のレンジ。日銀会合対する思惑で上下。

木曜日105円前半からスタートしたドル円は、日銀会合前のポジション整理や、軟調な日経平均株価を嫌気して104.48円まで下落。これが当日安値となりました。海外時間も上値の重い動きが続きましたが、NY市場の終盤になって、政府の要求に押し切られて日銀が追加緩和を発表するとの一部報道が出ると、当日高値となる105.50円まで値を戻しました。終値は、前日とほぼ変わらずの105.32円(+0.020円)。なお、本日東京時間の朝になって、薄いマーケットのなかドル円は一時103円台前半まで急落しています。

ユーロドルは一時、7月13日の高値に並ぶ1.1119ドルまで上昇。27日のFOMC声明では、「短期的なリスクは後退した」として、強気な内容と受け止められましたが、9月利上げを確信するまでには至らず、マーケットは、ドル売りで反応しました。ドイツのCPIが下げ止まりを見せていることもユーロ買いの材料になりました。

一方ポンドは伸び悩み。格付け会社フィッチが2017年の英GDP見通しを+2.0%から+0.9%に引き下げるなど英経済の先行きに悲観的な見通しが増えていることがポンドの上値を重くしました。ポンドは、東京時間の朝の1.3248ドルを高値に伸び悩み、1.3166ドルまで下落。

 

29日(金)ドル円は一時101円台へ。日銀会合と米GDPに対する失望がドル売りを招く。

日銀会合を本日に控えたドル円は、早朝に誤発注と見られる売りで103円台前半まで急落した後に105円台に急反発するなど、波乱のスタートになりました。

日銀は、この日の会合において、金融緩和の強化としてETF買い入れ額を倍増して年間約6兆円にすることを決めました。しかし、それを除いては「質(資産買入れ方針)」、「量(マネタリーベース)」、「金利(マイナス金利)」の、三次元の金融緩和のすべてにおいて現状を維持。ヘリコプターマネー的な政策をひそかに期待していた市場にとっては失望させられる内容であったことから、ドル円は105円台半ばから102円台へ急落。しかしその後103円台後半まで反発するなど乱高下の相場になりました。また、黒田総裁は会見で「財政ファイナンスの考えは全くない」との見解を示しました。

NY時間に発表された米4-6月期GDPは予想を大きく下回る弱い内容で、さらに過去分も下方修正されました。円高に傾くドル円に火に油を注ぐ結果となり、ドル円は102円台を突き抜けると101.97円まで一気に下落。終値は102.074円と前日比-3.247円の大幅円高となりました。

日銀の小粒ともいえる緩和は、市場の失望を招きました。しかし、日銀は緩和をしないのかというとそうではなく、まだしないだけなのです。というのは、政府の経済対策が成立するのは秋の臨時国会だからです。それに合わせて日銀は次回9月の会合で、金融緩和を打ち出してくる可能性は十分にあります。日銀声明にある、「次回の日銀金融政策決定会合において、経済・物価動向や政策効果について総括的な検証を行う」とは、追加緩和をするという意味が込められたフォワードガイダンスと考えられます。