先週のマーケットレビュー(7月4日-7月8日)

ドル円1時間チャート

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04日(月):ドル円は102円半ばの取引。NY休場で動意薄い。

月曜日のドル円は、リスク選好モードがやや持ち直して円安に動きましたが、102.80円で頭打ち。その後米国市場は独立記念日で休場ということもあって、目立った動きは見られず、102.60台を中心にレンジ取引が続きました。終値は102.516円(前日比-0.053円)。

豪ドルは東京朝に下落後、反発。週末行われた豪総選挙は大接戦で決着がつかず、ハング・パーラメントになって政治的な不透明感が強まるとの懸念から、豪ドルは前週末終値の0.7496ドルから0.7455ドルへ窓を開けてオープンしました。その後はリスク選好モードの改善と資源価格高を支えに、海外時間には0.7544ドルまで回復。この動きにつれて豪ドル円も、英国民投票日以来の高値となる77.40円まで上昇しました。

ポンドドルは1.33ドルを挟んだ動きで、強い方向感は出ませんでした。英6月建設業PMIは予想50.5に対して46.0と、2009年6月以来の低水準を記録。データは今後さらにEU離脱を織り込み、英PMIは悪化の一途をたどるとの見方が強まっています。ユーロは1.11ドル台なかばを維持。ユーロ円も114円台で底堅い動きでした。
 

05日(火)ドル円は101円台前半まで円高に。ポンド大幅下落でリスクオフ再燃。

この日のドル円は一転101.44円まで下落しました。終値は101.731円(前日比-0.785円)。先週から続いていた円安方向のリスクラリーは、102.80円-103.30円ゾーンの重さを確認していったん終了しました。

ポンドが急落していることでマーケットは再び悲観モードに傾きました。PMIの悪化で英経済の先行き不安が高まり、ポンドドルは1.2998ドルまで、1985年6月以来31年ぶりの安値を塗り替えました。ポンドドルも英国民投票の安値を更新して、2012年12月以来の安値となる132.02円をつけました。また債券市場では、英10年債利回りが0.771%へ低下、過去最低水準を記録。ユーロは一時1.11ドル後半まで上昇しましたが、NY時間はポンドに連れて下落。ユーロ円は、112.38円まで、当日高値から2円近く値を下げました。

豪ドルは0.7543ドルを高値に0.7452ドルまで下落。東京時間に発表された5月の小売売上高売上高、貿易収支は共に予想を下回りました。投資家心理が後退したこともマイナス材料になりました。豪ドル円も、円高と豪ドル安で大きく値を下げ、77.29円を高値として75.66円まで売られました。また、RBAはこの日、市場予想通り政策金利を1.75%に据え置くことを決定。声明では、「豪経済は全体的に成長している」として、やや強気の見通しを維持しました。しかし、市場ではRBAは8月に利下げするとの見方が依然として優勢です。
 

06日(水):ドル円、一時100円台前半へ急落。リスクオフ姿勢強まる。

水曜日のマーケットは、リスクオフの動きが強まるなか、安全資産とみられる円と国債に資金が集まる一方で、株が売られました。日経平均は一時500円超の下げとなり、日本国債は過去最低の利回りを記録しました。

この日101円台後半でスタートしたドル円は、東京時間に100円台を下抜けすると 欧州時間には100.18円まで下落。しかし、このレベルからは買戻しが優勢になり、米6月非製造業ISMが強かったことも101円台半ばへ押し戻されました。終値は101.29円(前日比-0.441円)。

ポンドは続落。英国の不動産ファンドが、相次いで解約を停止したことが不動産市況の悪化懸念を呼び起こし、ポンド売りの要因となりました。東京時間のポンド円は132円台から128.69まで大幅下落。ポンド円が130円を下回ったのは、2012年11月以来のことです。ポンド/ドルは、1.2793ドルまで急落後一時1.30ドル近辺へ反発するなど、乱高下しながら下落トレンドを強めました。今の相場はポンドが売られると、円が買われるというように主役のポンドの動向を気にして動いているようです。

この日はFOMC議事録が公表されました。英国民投票前のFOMCであり、また米利上げ観測も大きく後退しているため、相場の反応は軽微でした。
 

07日(木):雇用統計を前にドル円は101円を中心にレンジ取引。

ドル円は終日、101円を挟んだ上下0.40円程度の狭いレンジの取引となりました。終値は100.764円(前日比-0.526円)。

前日大きく安値を更新したポンドは、1.30ドル台前半へ戻す場面もありましたが、上値の重さは変わらず。NY時間には1.2875ドルまで押し戻され、1.29033ドルで引けました。ポンド円は(130.07円から)131.95円まで上昇後、129.56円へ下落、130.031円で終了。

格付け会社S&Pはオーストラリアの長期信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ。豪総選挙はかつてないほどの大接戦で、議席数が真っ二つに分裂するハング・パーラメントになるのは確実だといわれます。経済の先行き不透明感から今回の格下げもある程度は予想されていました。豪ドルは0.7539ドルから0.7466ドルまで急落しましたが、一方で、現在の市場で豪ドルに代わる高金利商品がないという事実が下値を支えています。

一方、NZは上昇。RBNZのスペンサー副総裁は、「政策金利(OCR)のこれ以上の引き下げは金融の安定にリスク」と発言。8月の利下げの可能性が低まったとしてNZドルが買われました。NZドル/ドルは、0.71ドル前半から0.7234ドルまで、NZドル/円は71円後半から73.10円まで上昇。
 

08日(金)米雇用統計は予想を上回るが、ドル円は伸び悩む。一時100円を割る。

この日発表された米雇用統計は予想を上回る強い結果となりましたが、ドル高・円安の動きは限定的でした。

米労働省が7月8日発表した6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+28.7万人と市場予想の18万人を大きく上回りました。ただし、前月分は+1.1万人へさらに下方修正となり、失業率も4.9%と市場予想の4.8%よりも悪化しました。

ドル円は100円台前半から101.25円まで急上昇したものの、ドル買いの需要はすぐに吸収されて99.92円まで急反落。その後は100円台後半まで回復して、100.532円(前日比-0.232円)で引けました。マーケットは雇用統計が上向くことを見越してドルの上昇を待ち構えていたようで、強い雇用統計にもかかわらずドル円の上値は伸びませんでした。

とはいえ、今回の雇用統計はイエレン議長を安心させ、FOMCが引き締めバイアスを維持するための頼もしい支援材料となりました。FOMCは、英EU離脱の影響を見定めるには数ヵ月の様子見が必要として、7月の利上げは見送る公算が大きいと見られています。しかし米ダウ平均、英FTが今年の最高値を更新するなど、英EU離脱によるマイナス影響は今のところ出ていません。利上げ見送りとなっても、声明では前向きな見通しが示される可能性が高まってきました。