先週の動き(5月30日-6月03日)

ドル円1時間チャート

060601

30日(月):ドル円111円台へ急上昇。イエレン議長発言と消費増税先送り報道で

110円前半でスタートした月曜日のドル円は朝からドル買いが強く、東京時間昼過ぎには今月の高値を更新して111円台へ上昇。夕方には111.44円まで値を伸ばしました。その後は、ロンドンとNYが休場のためレンジ取引となり、終値は111.11円(前日比0.809円)でした。

イエレン議長のタカ派発言がきっかけと言われていますが、金曜日の発言後のドル円は、110.40円で止まっています。むしろ、週末の消費増税先送り道で、日経平均が約ひと月ぶりに1万7000円台を回復したことが円安の理由だったのではないでしょうか。そうならば、金利差拡大というより、リスクオンがこの動きをつくっているといえます。
 

31日(火)ドル円は110円台後半に下げる。米景況悪化や英EU離脱リスク再燃で。

火曜日東京時間のドル円は、クロス円の上昇に支えられながら111円前半の取引が続きましたが、上値も111.34円までと伸び悩み。欧州時間に入ると徐々に頭が重くなりました。NY時間に発表されたシカゴPMIや米消費者景気信頼感指数などの景況観指数は軒並み悪化。また最新の調査で英国のEU離脱懸念が再燃したこともFRB早期利上げの妨げになるとしてドルが売り戻されて、ドル円は110.50円の当日安値をつけました。終値は110.719円(前日比-0.393円)でした。

ポンド/ドルは東京時間に上昇。1.46ドル中盤から1.4720ドルまで上昇しましたが、欧州時間に入ると一転1.45ドル台後半まで下落。ICMの調査が英国のEU離脱派が残留派を上回ったことを伝えるとポンドは一段安となり、約2週間ぶりの安値となる1.4464ドルまで売られました。ポンド/ドルの急落にともない、ポンド/円も日中高値の163円台後半から159.84円まで4円以上の大幅下落となりました。

豪ドルは堅調。この日発表の住宅建設許可件数が、マイナス予想に反して前月比プラス3.0%と強い結果になったことをきっかけに、このところ続いていたドル買いに対する調整が入り、豪ドル/ドルは0.7190ドル台から0.7267ドルまで上昇。海外時間にはやや売り戻されたものの、高値圏を維持したまま引けました。豪ドル/円も底固く、5月3日以来の高値80.68まで上昇、終値も5月2日以来の80円台に乗せて引けました。

一方カナダ/円は下落。第1四半期GDPが予想を下回ったことに加え、原油価格が前日比マイナスになったことを材料に85円台半ばを高値に84.13円まで値を下げました。

5月のドル円は、3日に2014年10月15日以来の円高水準となる105.51円の安値まで売られましたが、ひと月かけて徐々に値を戻し、30日には111.44円の高値をつけました。月足チャートでは今年1月以来の陽線引けとなりましたが、先月末の日銀「逆サプライズ」前の高値111.88円には届きませんでした。
 

01日(水):ドル円は大幅円高。109円台に逆戻り。

6月のドル円は円高スタート。東京時間午前に高値110.83円まで上昇した後は暫くもみ合いが続きましたが、午後になってドル売りが強まると110円台を割り込み、NY時間には109.04円まで大幅下落。その後は米製造業ISMが予想を上回ったことで、買戻しが入り、109.536円(前日比-1.183円)で引けました。

この日、安倍首相は消費増税再延期を公式表明。再延期は想定の範囲でしたが、「リーマンショック直前の危機的状況」にもかかわらず、経済対策は今年の秋まで発表予定がなく、また具体的なプランも無いことに、海外の市場関係者は一様に失望を隠しきれないようでした。結局、消費増税先送りが唯一の経済対策ということになり、アベノミクスの成長戦略をテーマにした円安相場が終わったとの見方も出ています。

豪ドルは堅調。この日発表された豪1-3月期GDPが予想を上回る強さとなったことで、豪ドルは対ドルで0.7298ドルまで上昇。豪ドル/円も一時5月3日以来となる80.79円まで上昇しましたが、円高の流れには逆らえず、79円割れ寸前まで押し戻されました。
 

02日(木):ドル円は108円台に。FRB早期利上げの雲行き怪しく。

木曜日のドル円は続落。109円台半ばでスタートしたドル円は、東京時間午前に108円台後半に下落。何度か109円に戻す局面もありましたが、上値はかなり重く、NY時間には5月18日以来の安値108.52円まで売られました。FOMC議事録公表後の利上げ期待の円安分全てが剥げ落ちたことになります。ここ数日の米指標がやや精彩に欠け、FRBの夏の利上げに、市場が半信半疑になりはじめたことが理由のようです。とはいえ、今夜の雇用統計の結果次第では、センチメントが大きく変わることも十分考えられます。今はまだ失望のドル売りというより、ポジション調整の範囲内と見るべきでしょう。

ECBはこの日理事会を開き、予想通り政策金利の据え置きを決定しました。ECBスタッフのマクロ経済予想は、2016年のインフレ率を0.1%から0.2%に引き上げましたが、2017、18年は変更なしでした。上方修正があまりにも小幅にとどまったために、市場は失望。ドラギ総裁からも景気見通しに関して強気の発言はきかれず、ユーロ/ドルは1.12ドル前半から1.1144まで下落。ユーロ安と円高が進んだことでユーロ/円は、3年ぶりの安値となる121.06円をつけました。
 

03日(金)ドル円は106円台まで円高進む。米雇用者数増加に急ブレーキ。

米労働省が6月3日発表した5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+3.8万人と市場予想の16万人を大きく下回り、さらに前月分も下方修正されました。大手通信会社のストライキの影響といわれる3.4万人減を勘案しても10万人には届かず、米労働市場の伸びに急ブレーキがかかりました。一方失業率は4.7%に改善(事前予想4.9%)、平均時給は前月比+0.2%を維持(予想+0.2%)しましたが、労働力率は62.6%に低下しました(予想62.8%)。

今回は、夏のFRB利上げの期待がかかっていただけに、市場の衝撃は大きく、ドル円は109円台から106.49円まで2.50円の急落、5月6日以来の安値をつけました。さらに雇用統計後に発表された5月ISM非製造業指数が予想より悪かったことも利上げ期待を後退させることになり、米長期金利の利回りは一時1.69%まで低下。利上げ織り込み度は、6月は4%、7月も26%まで急低下しました。

ドル売りの流れでユーロ/ドルは急伸。1.11ドル前半から一気に買い上げられて1.1373ドルの高値をつけました。一方、ユーロ/円はドル円になびいて4日続落となり、一時2013年4月4日以来の安値となる12.82円まで下落しました。