先週のドル円レビュー(5月16日–5月20日)

ドル円1時間チャート

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16日(月):ドル円、終値109円台は4営業日ぶり

月曜日のマーケットは全体的に強い方向感が出ませんでした。東京時間の朝に108.46円の安値をつけたドル円は、109円台へ上昇した後108.60円まで押し戻されるなど、売り買いが交錯。NY時間には、原油高や米株上昇によるリスク選好姿勢の後押しで109.09円の高値をつけ、109.027円(前日比+0.412円)で引けました。
 

17日(火)米指標はおおむね堅調。しかしドル円上値の重さは変わらず。

火曜日のドル円は、株高、原油高を受けたリスク選好の流れで欧州時間に109.65円まで上昇。先週の高値を更新しましたが、上値は依然として重く、次第に売りに押されて当日安値となる108.83円まで下落しました。終値は109.105円(前日比-0.078円)。

米4月CPIは予想を上回る強さでしたが、市場の反応は限定的。インフレ率改善による米早期再利上げ観測が株価下落につながったため、リスクマネーにとっては必ずしもプラスではありませんでした。最近のドル円は、リスク選好で買われているところがあるため、ドル円の上昇に結びつかなかったようです。

この日はポンドと豪ドルの動きが目立ちました。最新の世論調査で、EU残留派が離脱派を上回ったことを好感して、東京時間のポンド/ドルは、前日終値から100ポイント以上急上昇、欧州時間には1.4524ドルまで値を伸ばしました。ポンド/円も4月28日以来となる158.98円をつけました。

豪ドルも上昇。この日RBA議事録を公表し、RBAが利下げを決めた5月の会合で金利の据え置きも検討されたことを明らかにしました。再利下げの方向に見方が傾いていた市場が(RBAが思ったより緩和的ではないとわかると、)買い戻しを急いだことで、豪ドルは対ドルで0.7364ドルまで、対円では80.55円まで戻しました。
 

18日(水):FOMC議事録が6月利上げ示唆。ドル円は110円台に上昇。

水曜日のドル円はFOMC議事録の公表内容を受けて、NY市場で110.25円まで上昇。
FOMC議事録は「4~6月期の成長加速や物価上昇などが確認できれば、6月の利上げが適切」との認識を示しました。

第2四半期に入ってからの米指標は、FOMCが4月に期待した通り以上の好調さを示しています。失業率はほぼ完全雇用といわれるまで低下、個人消費は力強く、インフレ率もFRBの目標値通りに伸びています。イエレン議長が懸念していた海外情勢についても、中国市場はしばらく前から落ち着きを取り戻していますし、原油価格も50ドルに迫る勢いです。残るは英国のEU離脱問題ですが、最新の世論調査によると、残留支持は55%と、離脱の37%を上回っていて、こちらも沈静化の兆しがでています。

今年後半まで利上げなしと考えていた市場にとってはサプライズとなり、ドルは急上昇。ドル円は5月になって初めてとなる110円台に上昇しました。

米利上げ観測が高まるなかでユーロ/ドルと豪ドル/ドルが急落。一方、ポンド/ドルは1.4634ドルまで急上昇。英世論調査がEU残留派優勢を示し、ブリグジット・リスクがやわらいだことが買い材料になりました。ポンド/円は、円安との相乗効果で前日終値から160.88円まで3円近く大幅上昇。
 

19日(木):ドル円は110円を挟んで揉みあい続く。

FOMC議事録の公表以降、市場ではFRB利上げ観測が一気に盛り上がり、特に、英国民投票後の7月FOMCの利上げ確率は早くも55%まで上昇しています。利上げ期待を背景にドル円の基調は底固く、東京時間午後には、110.38円まで昨日の高値を更新しました。しかしこのレベルは、111.88円から105.51円までのフィボナッチの76.4%%戻しに相当するため売りも強く、その後は109.69円まで押し戻されました。終値も110円にのせることはできず、109.955円(前日比-0.238円)で終了。

一方、ユーロ/ドルは下落傾向が鮮明で、約1ヵ月ぶりの安値となる1.1179ドルまで売られました。全体的なドル買いの流れに加え、ポンドが対ユーロで上昇したことも理由となりました。ポンドが買われた背景には、ブリグジットの不安が和らいでいることがありますが、さらにこの日発表の英小売売上高が予想を上回ったことで上昇に弾みがつき、対ドルで1.4663ドル、対円でも161.64円まで値を伸ばしました。

また原油価格が一時47ドルを割る下げになったことが、資源通貨、特にカナダドルのマイナス材料とされ、カナダドル/円は84円後半から83.47円まで大きく下落しました。
 

20日(金)ドル高・円安基調継続。ドル円は110.58円まで高値更新。

金曜日は、穏やかながらドル買い・円売りが終日継続。FRB利上げ観測で米長期金利が上昇する一方で、国内外の株式市場は堅調。投資家心理が後退することなく、ドル高・円安が進みやすい地合いでした。

ドル円は、東京時間朝の109.85円を安値として、NY時間には110.59円まで上昇。その後は新規の手掛かり材料に欠け、高値圏でもみあい後やや下げて110.15円(前日比+0.197円)で取引を終了しました。