日銀緩和期待でドル円は月初めの円安レベルに円安に戻す。

過去2週間ドル円チャート(4月11日-4月22日)

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先週のマーケットレビュー

【18日(月):ドル円反発力弱く7営業日続落。終値も107円台に。】
週末ドーハで行われた主要産油国の増産凍結に向けた協議は合意に至らず、月曜朝のドル円は107.83円まで急落。金曜日からすでに軟化し始めていたドル円の背中を押すことになりました。日経平均が600円近い大幅続落となったことも投資心理を後退させました。しかし売りが一巡すると買戻しで徐々に回復。NY時間には108.98円まで値を伸ばし、朝の下落分を全て取り戻しました。終値は108.824円(前日比+0.053円)。

資源通貨の豪ドル/円は、原油価格が37ドルから一時40ドル台まで戻すと、82円台半ばから84.48円まで大きく上昇。またユーロ/円も、一時は3年ぶりの安値となる121.71円まで下落しましたが123.円台に戻りました。


【19日(火):リスクセンチメントの改善でドル円は109円台回復。】
火曜日のドル円は109円台前半で底堅く取引。日経平均株価が急反発したことや、欧米株価が軒並み年初来高値を更新したことでリスク選好ムードが高まり、海外時間に109.48円まで値を伸ばしました。しかし、先週金曜日の高値である109.73円を越えられないままモメンタムを失い、109円前半での揉みあいを続けたまま、109.221円(前日比+0.397円)で引けました。

資源通貨は、原油価格が41ドル台を回復したことや、金価格の大幅続伸を追い風に大幅上昇。豪ドルは0.7825ドル、NZドル/ドルは0.7053ドル、そしてカナダドルは1.2631ドルまで、対ドルで年初来高値を更新しました。しかし、対円では今月の高値水準も超えていません。それだけドル安・円高が進んでいるといえます。

欧州通貨も買い戻しが入り、ユーロ/ドルは1.1384ドルへ3日続伸。またポンド/ドルは1.4418ドルまで今月の高値を更新しました。


【20日(水):ドル円109円台後半に上昇、原油価格が追い風。】
水曜日の海外市場は、原油価格の急伸を背景にドル買いが優勢となり、ドル円は底堅い取引となりました。ドル円は109円をはさんだレンジ取引を続けた後、NY時間午後になって109.88円まで上昇しました。先週金曜日の高値109.73円をようやく抜けたものの、110円台には届かず、終値は109.799円(前日比+0.578円)でした。

ドル上昇の理由となった原油価格は、EIAの統計で原油生産が1月中旬から毎週減少していることや、来月ロシアで産油国会合の開催予定を買い材料として急伸、年初来高値を更新して42ドル台にのせました。

資源通貨の豪ドルにとっても原油価格上昇は好材料でしたが、アジア時間に上海総合株価指数が前日比2.3%安の2ヵ月ぶりの大幅安となった警戒感が残り、高値の更新はわずかにとどまりました。

ユーロ/ドルは、ドル買いの流れのなかで、今夜のECB会合前の調整もあって下落。1.13ドル台後半から1.1290ドルまで100ポイント近く値を下げました。


【21日(木):ECBは現状維持。ドル円は109円台でレンジ取引。】
この日の会合で、ECBは市場予想通り政策金利を0.00%に据え置き、また下限金利を-0.40%に、上限金利も0.25%に据え置きました。会合後の記者会見において、ドラギ総裁はユーロの水準にはコメントせず、またヘリコプター・マネーの議論は一蹴しました。その一方で、銀行融資調査において与信量が拡大していることを示し、ECBの政策が効果を上げていることを強調しました。TLTROや社債の購入開始を前にECBは、当面政策効果を見守る方向であり、新たな緩和策を投入する可能性は低いとの印象を市場に与えました。

ドラギ総裁の発言が思ったほど弱気ではなかったことで、ユーロ/ドルは、1.1396ドルまで急騰。しかしその後1.1269ドルまで急落するという荒い値動きとなりました。ユーロ/円も、124.95円まで上昇した後123.36円へ振り落されて、この日のレンジの上下をつくりました。

ドル円は110円手前で足踏み状態。東京時間の日経平均は3日続伸となり、終値ベースで2月2日以来の高値水準となりましたが、円売りにはつながらず、上値の重さを確認するとNY時間には109.32円まで下押ししました。終値は109.462円(前日比-0.337円)。


【22日(金)ドル円急騰。111円台後半まで。日銀の緩和報道がきっかけ。】
金曜日のドル円は大きく上昇。上げ幅は前日終値から2円を超え、約3週間ぶりの111円台復帰を果たしました。きっかけは、日銀は金融機関向け貸し出しにもマイナス金利適用を検討との報道でした。109円台後半で買い疲れが出ていたところに活を入れられたドル円は、4月1日以来の高値となる111.80円まで上昇しました。

ドル円になびいてクロス円も上昇。ユーロ/円は125.49円、豪ドル/円は86.38円の高値をつけ、それぞれ今月初めの水準まで値を戻しました。

一方ユーロ/ドルは、ECBレンジをあっさりと下に抜け、3月29日以来の水準となる1.1218ドルまで下落。ECB会合後のドラギ総裁のやや強気な見通しを受けたユーロ買いは1日と持ちませんでした。もっとも、マーケットの関心はすでにECBから今週のFOMCへと移っています。