105円以上の円高で、アベノミクス円安は終了

ドル円月足チャート(2004.05-2016.04)

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第2次安倍内閣が発足したのは2012年12月26日。当時のドル円の水準は85円台でした。翌年4月9日、日銀総裁に正式就任した黒田氏は、2年で2%の物価目標の達成を掲げ大胆な金融緩和に踏み切りました。これに呼応してドル円は大きく上昇、安倍内閣誕生から1年10ヵ月で約25円も円安が進みました。

そして2014年10月31日、110円を目前にドル円が息切れしたと判断すると、黒田総裁は「量的質的緩和」拡大を宣言、いわゆるバズーカ第2弾を発射しました。再び勢いを取り戻したドル円は、2015年6月までに125.86円まで上昇。米利上げと日銀追加緩和期待に支えられて、チャイナショックを乗り切り、年末まで120円台を維持しました。

しかし今年に入り、中国株安、原油安の急速な進行で金融市場が変調をきたすと、ドル円は一時115円台へ急落。この円高を阻止するために、黒田総裁は、2016年1月29日の会合で、バズーカ第3弾となる「マイナス金利」導入を決めました。

ところが、円安に戻ったのは一瞬で、逆に下落速度を加速すると、ドル円は121円台後半から107円台まで駆け下りて、一気にバズーカ第2弾前のレベルまで円高が進むことになりました。

下値の注目レベルは、節目の105.00円。このレベルは政治的にも意味があって、安倍内閣発足時のレベル84.80円と、125.86円の高値の半値が105.33円にあたります。これ以上に円高が進むと、アベノミクス円安トレンドの黄信号が赤信号にかわります。その下は、100円台まで大きなサポートはありません。

一方、円安トレンドの継続を証明するには、先ず110円、そして3月の高値114.55円以上に戻る必要があるでしょう。