ドル円は112.15-114.55のレンジに閉じ込められる

ドル円チャート(2月29日-3月11日)

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マーケットサマリー

07日(月):米雇用統計後は113円台半ばで様子見。
週明けの米ドル/円は手がかりに乏しく、様子見ムードが強まりました。
東京時間の朝につけた113.92円が高値となって、海外時間には113.22円まで下押し。終値は113.461円(前日比+0.316円)でした。

金曜日の雇用統計でも米ドル/円は113.00円-114.50円のレンジを抜けることはできませんでした。現在のレベルは、FOMCの今月利上げ見送りをほぼ100%織り込んでいると考えられます。米ドル/円が114.50円をブレークするには、利上げ期待が格段にアップするようなアップサイドサプライズが必要です。しかし、市場のセンチメントを変えるようなパワーのある経済指標は今のところ見当たりません。結局、FOMCまで待つしかないとうことになります。

FOMCが市場予想通り利上げを見送ったとしても、声明が予想以上に強気な内容ならば、ドル買いが強まり、米ドル/円が115円に近づく可能性もあります。しかし、日本の年度末のドル売り需要も控えているため、簡単にスルーさせてはもらえないでしょう。逆に、FOMC声明文の文言が前回よりも慎重ならば、ドル買い意欲は後退して米ドル/円の年初来安値を更新するリスクが高まると考えます。どちらかというと市場は、米ドル/円を買うよりも、売るきっかけを待っているほうが強いように感じます。


08日(火):株価下落を嫌って、週安値となる112.42円をつける。
113.40円でオープンしたこの日の米ドル/円は、日経平均株価の続落を嫌気したドル売り・円買いで、東京時間に112円台後半まで下落。その後113円を挟んで膠着状態が続いた後、NY時間には再び売りが強まり112.425円の安値をつけました。終値は112.629円(前日比-0.832円)。

ユーロ/ドルは1.10574ドルまで買われた後、1.0993ドルへ下落。ユーロ/円は、米ドル/円下落も重なり、123.84円まで値を下げました。
ポンド/円にも調整が入り、当日高値の161.87円から2円以超下落して159.59円まで売られました。

原油価格の回復を追い風に上昇してきた資源通貨は失速。原油価格は年初来高値を目前に反落して37ドルを割り込むと、豪ドル/円も83.59円まで下落しました。


09日(水):113円台に持ち直す。底値の固さを確認。
前日の流れを引き継いだ米ドル/円は欧州時間に入り112円前半までドル安・円高が進みました。日経平均株価が3日続落となったことや、上海総合指数の下げが2%を超えたことが投資家心理を悪化させ、ドル売りに傾きやすい地合いをつくりました。
しかしその後は原油価格上昇やダウ平均株価の堅調推移を材料にした買戻しが優勢になり、113.45円まで値をのばしました。前日とは逆に底値の固さを確認する日となりました。終値は113.330円(前日比+0.701円)。

RBNZは政策金利を25ベーシスポイント引き下げ2.25%に決定しました。予想外の利下げだったため、NZドルは急落。NZドル/円は、77円から75.26円まで急落しました。


10日(木):ECB会合後、週高値となる114円をつけた後、112円台へ押し戻される。
木曜日の欧州市場は大きく乱高下しました。
この日会合を開いたECBは、デポ金利のマイナス幅を拡大したばかりではなく、主要政策金利、上限金利も同時に引き下げることを発表しました。さらに資産購入枠の増額やTLTRO(目的型長期流動性オペ)も打ち出すなど、追加緩和は市場の予想を超える内容で、ユーロ/ドルは1.09ドル台後半から1.0820ドルまで急落することになりました。
しかしドラギ総裁が、「これ以上の利下げは必要と考えていない」との見解を示したことで、追加緩和は打ち止めとの見方がひろがると、一転急上昇、ユーロ/ドルは約一月ぶりの高値となる1.1218ドルをつけました。ユーロ/円も、123.60円まで下落後、180ポイント以上反発して126.77円の高値をつけました。

一方、113円台で底固い動きとなっていた米ドル/円は、ECB会合後に114.44円まで上昇しました。しかし、このレベルからの売り圧力は強く、対ユーロでドル売りの流れが始まると112.61円まで反落。終値は113円台に戻して、113.159円(前日比-0.171円)。


11日(金)株高、原油高に支えられて、113円台後半まで上昇。
金曜日の市場は、株価や原油価格の持ち直しが投資家心理を改善させました。
東京時間の日経平均株価が節目となる17,000円を一時回復すると、この流れに乗って中国株と欧州株も上昇、NYダウは今年の最高値をつけました。原油価格は一時39ドル台まで上昇し、終値ベースでも今年の高値を更新。また人民元の基準値は1月4日以来の人民元高水準に設定されました。年初から続いてきた原油安、中国経済のハードランディングの懸念を一旦リセットして、今週のFOMCを迎えることになります。

リスク選好モードが高まったことで、資源通貨に買いが集まりました。
豪ドルは対ドルで2015年7月3日以来の高値水準となる0.7582ドルへ、豪ドル/円も、2月1日以来となる86.21円まで上昇。NZドル/円は、RBNZの利下げ前の水準である76.99円まで回復しました。

米ドル/円は、112.74円まで下げて下値の固さを確認したあと、113.91円まで反転。
東京時間は木曜日ECB会合後の乱高下の余波で比較的値動きが大きかったのですが、海外時間では次第に落着きを取り戻しました。終値は113.793円(前日比+0.634円)。

ピボット分析: 今日の中心レンジは112.36 - 114.65

3月14日ピボット表

ピボットとは、前日の値動きをもとに、今日のサポートやレジスタンスを計算するテクニカル指標です。海外では多くのトレーダーがデイトレードのエントリーやエグジットレベルとして活用しています。

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