2016年の重要日程

昨年も年初めに1年間の重要日程を載せましたが、この重要日程を押さえる作業は1年間の相場サイクルを考えるためにも非常に重要な作業です。海外ファンドなどの投資家は12月決算が多いため、1年のサイクルを1月-12月で考えて行動します。彼らにとって1月は新年のスタート月であり、1月から12月の中で相場はどのようなサイクルで動くかを予測して投資します。当然ながら、重要イベントの日程を押さえながら1年間の相場の流れを予測しています。従って海外投資家がどのように投資してくるかを推測するためにも、重要イベントの日程を押さえ、相場のサイクルを考えておく必要があります。また為替相場は海外市場が主戦場であるため、欧米の重要日程を知っておくことは特に重要です。

これらの日程は、各国政府の役所のホームページから確認することが出来ます。新聞などでは、年初めに特集記事が組まれることが多いため、それらを活用することも出来ます。

最も重要なイベントである中央銀行の金融政策会議開催日、GDP速報値、消費者物価指数、米雇用統計の日程は以下の通りとなります。

日米欧中央銀行の金融政策会議開催日

為替相場の変動要因として最も大きな要因は金融政策です。昨年は、1年間を通して米国の金融政策のかじ取りに振らされた年でした。米国FRBがどのタイミングで利上げをするか、その推測と期待で1年が終わりました。今年も為替の変動要因として最も注目されるイベントは、FRBの次の利上げがいつ決定されるか、そして年間の中で何回利上げされるかという点です。FRBの理事会は年8回開催されます。もし、年4回利上げされるのならば、開催2回に1回の割合で利上げが決定されることになります。また、イエレン議長の記者会見が行われる時に政策変更が行われるとの見方があるため、記者会見が行われる3月、6月、9月、12月が要注目開催月となります。

日本は、景気が伸び悩み、物価も緩やかな上昇の中で追加金融緩和をするのかどうかが注目点となります。日銀は物価の上昇基調は変わらないと相変わらずの強気姿勢ですが、原油価格は60ドル台前半が前提ですので、このまま原油が30-40ドル台で推移するならば、追加緩和を行う可能性が高くなります。また、今年から会合の開催回数を年14回から米国FOMCと同じ年8回の開催となりました。回数よりも質を重視するとのことですが、回数が減った分、市場との対話の機会が減るという懸念は残ります。

欧州は物価マイナスから辛うじて脱出しましたが、欧州も原油がこのままの水準で動くなら、再び物価が低下してくることが予想されます。昨年12月のECB理事会では、市場の期待に反した緩和策であったため市場は失望し、ユーロは500ポイント上昇しました。不十分な追加緩和策はドイツの反対があったことが原因のようです。ドイツの頑なな姿勢の中で今後も十分な追加緩和策を実行できるかどうかが注目されます。

2016年の日米欧中央銀行の金融政策会議の開催予定日は以下の通りとなります。

日米欧中央銀行の金融政策会議開催日

2016年 日銀金融
政策決定会合
米連邦公開市場
委員会(FOMC)
欧州中央銀行
理事会(ECB)
1月 28~29日※ 26~27日 21日
2月
3月 14~15日 15~16日(会見) 10日
4月 27~28日※ 26~27日 21日
5月
6月 15~16日 14~15日(会見) 2日
7月 28~29日※ 26~27日 21日
8月
9月 20~21日 20~21日(会見) 8日
10月 31日~11月1日※ 20日
11月 1日~2日
12月 19~20日※ 13~14日(会見) 8日

(注)※は展望レポート公表、ECBは木曜日開催、FRBは火~水曜日開催
日欧は毎回、総裁の記者会見あり。

日米欧GDP(成長率)速報値の発表日

 金融政策の判断をする前提となるのが景気動向です。四半期毎に発表されるGDP速報値で景気の方向性を把握します。その国の経済は成長しているのか、減速しているのか、どのようなスピードで成長あるいは減速しているのか、その方向と水準を把握します。ここ数年、米国の1‐3月期GDPは厳冬の影響で減速しています。今年は、今のところ暖冬予報ですので景気にとってはプラスの方向であり、FRBの金融政策にも影響してきます。

2016年に発表される日米欧GDP速報値の公表予定日は以下の通りです。

日米欧GDP速報値の発表日

  日本 米国 ユーロ圏
2015年
10~12月期
2月15日 1月29日 2月12日
2016年
1~3月期
5月中旬 4月28日 5月13日
2016年
4~6月期
8月中旬 7月29日 8月12日
2016年
7~9月期
11月中旬 10月28日 11月15日

日米欧の消費者物価指数

米国FRBが政策変更に際して注目するのは失業率と物価です。失業率は下がってきていますが、物価はなかなか上がってきません。米国も、原油がこのまま低水準で推移するのならば物価は上がらず、FRBの利上げの時期や回数に影響してきます。

日本も欧州も物価はなかなか上がってきません。昨年9月には、日米欧ともCPIはマイナスとなりました。その後緩やかなプラスとなりましたが、再び原油が低下し、他の資源や素材価格も低下してくれば、再びデフレの世界に入ってくる可能性があります。物価指数は金融政策の判断材料となるため、非常に重要な経済指標となります。

2016年の消費者物価指数発表の日程は以下の通りです。

日米欧消費者物価指数(CPI)

2016年 日本 米国 ユーロ圏
1月 29日(12月分) 20日(12月分) 5日(12月分)
29日(1月分)
2月 26日(1月分) 19日(1月分) 29日(2月分)
3月 25日(2月分) 16日(2月分) 31日(3月分)
4月 未定 14日(3月分) 29日(4月分)
5月 未定 17日(4月分) 31日(5月分)
6月 未定 16日(5月分) 30日(6月分)
7月 未定 15日(6月分) 29日(7月分)
8月 未定 16日(7月分) 31日(8月分)
9月 未定 16日(8月分) 30日(9月分)
10月 未定 18日(9月分) 31日(10月分)
11月 未定 17日(10月分) 30日(11月分)
12月 未定 15日(11月分)

米国雇用統計

米国の雇用統計は今年も最重要注目材料です。 

非農業部門雇用者数は、平均で20万人を超えてきており、失業率も下がってきています。しかし、賃金は今一つ上がってきていません。また、イエレン議長は雇用統計の質的な内容にいまだ満足していません。米国雇用統計の中では非農業部門雇用者数が最も注目されています。この数字が予想よりよければ素直にドル高に反応し、悪ければドル安に反応します。ただ、その後の動きは短期間でポジションの手仕舞いが見られることが多いようです。

米国雇用統計は、毎月第1金曜日に前月分が発表されます。

 以上、金融政策会議開催日、GDP速報値、消費者物価指数、米雇用統計の発表日をカレンダーや手帳に控えておくと便利です。そしてG7やG20などの為替に影響があるかもしれない国際会議の日程もわかった時に追加しておくと更に便利になります。一連の作業は手間暇がかかりますが、年初めに一度やっておくと一年間役に立ちます。これら日程を眺めながら、一年間の相場の波を予測して下さい。いくつかのシナリオを考えておくのもよいかもしれません。