【今日のまとめ】

  • フランス大統領選挙で穏健派のマクロン候補が勝利した
  • ギリシャ問題、ナショナリズムの台頭、英国のEU離脱が投資家を遠ざけた
  • 欧州株は割安感が強い
  • 欧州の景気は上向いている
  • 世界の投資マネーが欧州に戻ってくることが予想される

マクロン勝利

5月7日(日)に行われたフランス大統領選挙決選投票では穏健かつ経済面で保守的なエマニュエル・マクロン候補が大勝しました。これをきっかけとして投資家の間に欧州を見直す機運が高まっています。

なぜ敬遠された?

欧州は長く世界の投資家から敬遠されてきました。

その理由はまず2009年のギリシャ問題に求めることが出来ます。2008年に起きたリーマンショックで世界経済は不況に突入しました。しかし欧州の場合、とりわけスランプが長引きました。この理由はギリシャの財政内容がそれまで報告されていたよりも、実際にはかなり悪いということが発覚し、世界の投資家がギリシャ国債を敬遠したことによります。

結局、ギリシャは欧州連合(EU)ならびにドイツをはじめとするEU中核国から支援を受けることになりますが、その際、ドイツがギリシャに緊縮政策を強いたため、ギリシャだけでなく南欧諸国からドイツに対する反発とEUに対する幻滅が生まれました。

その後、シリアなどから難民が欧州各国に押し寄せ、「EU域内で自由に人、モノ、カネが行き来することができる」というEUのコモン・マーケットの考え方が、難民問題への対応を難しくし、さらに移民の流入に対する反発からナショナリズムの台頭を招きました。

英国では去年、同国のEU離脱の是非を直接国民に問うレファレンダム(国民投票)が実施され、離脱派が勝ち、英国は今年3月から正式にEU離脱の手続きを開始しました。

一方、フランス大統領選挙では、英国が行ったのと同様の国民投票の実施を公約に掲げるマリーヌ・ル・ペン候補が決選投票に進みました。英国に続きフランスまでもがEUから離脱するとEUは崩壊の危機に瀕します。投資家が欧州への投資に二の足を踏んできた理由は、このような経緯によります。

割安な欧州株

2013年の年初を100とした主要株価指数のパフォーマンスをみるとユーロStoxx指数が出遅れていることがわかります。

また株価収益率ではギリシャ危機が発覚した2009年暮れ以降、ドイツがずっと米国より割安になっていることがわかります。

ドイツと米国の長期金利にかなりの開きがあることを考えると、割安感は一層際立ちます。

上向く欧州の景気

低迷が長引いていた欧州経済ですが、ここへきてようやく上向く兆候が表れています。まず下は企業の固定資産への投資を表す事業投資率のチャートです。

ようやく大きな上昇が見られます。

度重なる欧州の政治リスクでユーロは低迷してきました。

ユーロ安で欧州の輸出企業は好調です。

それを反映し、ユーロ圏製造業購買担当者指数は堅調です。

まとめ

フランス大統領選挙は今年欧州が迎える様々な政治リスクの中でも最も不安視される材料でした。それが無事通過し、ユーロ圏崩壊のリスクが遠ざかったので、世界の投資マネーが欧州に戻ってくることが考えられます。