GDP500兆円で比較
前回、日本のGDP約500兆円という数字を基準にして経済規模を把握するという方法をお話しました。今回はその続きです。少しおさらいをしますと、日本の借金1,100兆円(資金提供者はほぼ日本国民のため、ほぼ日本国民の資産)はGDP500兆円で比較すると2.2倍となり、全国民が2.2年働いて返せる借金とみることが出来ます。また、個人の金融資産1,708兆円はGDP比3.4倍となり、全国民が3.4年間働かず遊んで暮らせる金融資産をもっているという見方が出来ます。個人は借金もあるじゃないかという反論が出ますが、個人の負債、つまり借金の多くは不動産購入資金であり、不動産を加えた個人の資産・負債をみると(2013年末)、資産が2,686兆円、負債が358兆円、差し引きした純資産は2,328兆円と推計されています。その内、土地や建物などが1,031兆円となり、GDP比約2倍の不動産を個人は持っているというのがわかります。借金を差し引いた純資産2,328兆円はGDPの4.6倍となりますが、不動産はすぐには現金化できませんので、4.6年遊んで暮らせるという訳にはいきませんが…。 更に対外的には、つまり海外の純資産として(対外純資産)367兆円を保有し、GDP比0.73倍。これは海外で0.7年、約9ヶ月遊んで暮らせる資産と見ることが出来ます。自分にはあてはまらないなあと思っても、こういう見方をすると何となくリッチな気分になってきます。
日本の銀行と企業
日本の銀行の大きさをGDP500兆円で比較してみます。大手銀行の預金量でみると(2014年3月末)、都市銀行が292兆円、地方銀行が235兆円、合わせて527兆円と、またまた約500兆になりました。つまり。日本の大手銀行の大きさは日本のGDPと同じぐらいと覚えておくと便利です。ちなみに信用金庫は128兆円、第二地銀は61兆円、信用組合は18兆円、合わせて207兆円となります。そしてゆうちょ銀行の貯金残高は175兆円。これらすべてを合わせると909兆円となり、大雑把に見てGDPの約2倍となります。戦後70年、日本国民は一生懸命働いてこつこつと貯め、自分たちの働きの約2年分の預貯金を貯めたことになります。
日本の企業の大きさをみてみます。金融を除く上場企業約3,500社の総資産は2014年度末で849兆円。GDPの1.7倍となります。ちなみに手元資金は105兆円あり(GDPの5分の1)、総資産の12%強を占めており、実質無借金会社は1,800社以上とのことです。
- ※「預金」と「貯金」の違い
- 「預金」は、銀行や信金に一時的にお金を預けるという意味で「預金」すると言い、「貯金」は郵便局や農協、漁協などでお金を「貯める」という意味で「貯金」という言葉になったようです。
- そういえば、貯金箱とは言いますが、預金箱とは言いませんね。
500兆円と各国GDP
日本の株式市場の東証1部時価総額は5月に591兆円となり、GDPの1.2倍。世界の株式の時価総額は9000兆円。世界のGDP合計額とほぼ同水準となっています。世界の株式時価総額と世界のGDP金額はほぼ同じと覚えておくのは便利です。日本のGDPと株式時価総額もほぼ同じです。
それでは、日本のGDPと各国のGDPとを比較してみるとどのように見えてくるでしょうか。以下の表が各国GDPとの比較です。あくまで日本のGDPと比較するために便宜的にラフな数字で扱っています。世界のGDPは2014年で77兆ドル。兆ドル単位でお話します。日本のGDPは4.6兆ドル。これが約500兆円になるのですが、IMFなどの統計はドル表示なので4.6兆ドル(≒500兆円)を基準にして各国のGDPの何倍になるかを見てみます。下表の通り、アメリカのGDPは日本の約4倍、中国は約2倍、ドイツは約0.8倍、イギリスは約0.6倍となります。EU(欧州連合)という地域でみると、EUのGDP規模は米国と同じ規模になり、日本の約4倍となります。BRICS(=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)も約4倍というのがわかります。細かく言うと、ブラジル、インド、ロシアは日本の約半分、南アフリカは10分の1となります。
繰り返しますが、日本のGDPを基準にして他国のGDPを比較した場合、アメリカのGDPは日本の約4倍、EUは約4倍、中国は約2倍、BRICSは約4倍と覚えておくと便利です。米国とEU、日本を合わせると世界のGDPの半分になります。この表にG20という新興国を加えたグループでみると、世界のGDPの約80%になります。G20とは、米国・イギリス・ドイツ・フランス・日本、イタリア、カナダ + EU、ロシア。更に新興国11か国(中国・インド・ブラジル・メキシコ・南アフリカ・オーストラリア・韓国・インドネシア・サウジアラビア・トルコ・アルゼンチン)を加えたのがG20となります。
世界のGDPは77兆ドル、
順位 | 国名 | 兆ドル | 世界シェア(%) | 対日本のGDP比 |
---|---|---|---|---|
1 | アメリカ | 17.4 | 22.6 | 3.8 |
EU | 18.0 | 23.4 | 3.9 | |
2 | 中国 | 10.4 | 13.5 | 2.3 |
3 | 日本 | 4.6 | 6.0 | 1.0 |
4 | ドイツ | 3.9 | 5.1 | 0.85 |
5 | イギリス | 2.9 | 3.8 | 0.63 |
7 | ブラジル | 2.4 | 3.1 | 0.52 |
9 | インド | 2.0 | 2.6 | 0.43 |
10 | ロシア | 1.9 | 2.5 | 0.41 |
33 | 南アフリカ | 0.4 | 0.5 | 0.1 |
BRICS | 17.1 | 22.2 | 3.7 |
GDPを経済の国力とみた場合、為替相場がその国力を反映していると仮定すると、このGDPの比較が対円で何らかの間接的影響を与えているかもしれないと留意しておくことは損にならないと思います。また、経済の成長とともに金融、株式、為替市場は拡大していき流動性が増してきます。流動性が増してくるということは、投資の対象になるということになります。米国(USドル)、日本(円)、EU(ユーロ、ポンド、スイスフラン)はもちろん、新興国の中でも投資対象が増えてきています。オーストラリアドルは人気のある投資商品であり、最近ではトルコリラや南アランドが人気を高めてきています。
日本のGDP (国内総生産 Gross Domestic Product) 名目 500兆円
- 日本の借金1,100兆円 (GDP比 2.2倍)
- 個人の金融資産1,708兆円 (GDP比 3.4倍)
- 対外純資産367兆円 (GDP比 0.7倍)
日本の大手銀行の預金量 527兆円 (都市銀行 292兆円、地方銀行が235兆円)
→日本のGDPとほぼ同じ
信用金庫128兆円、第二地銀61兆円、信用組合18兆円、ゆうちょ銀行175兆円
→全ての合計909兆円は大雑把に見てGDPの約2倍
- 東証1部時価総額591兆円 (GDP比1.2倍)
- 世界の株式時価総額9,000兆円。世界のGDP合計額とほぼ同水準
- アメリカのGDP日本の約4倍
- EU約4倍
- 中国約2倍
- BRICS約4倍
(米国+EU+日本)=世界のGDPの50%
G20 世界のGDPの約80%
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