先週は、英国議会(下院選挙)をはじめ、米国FBI前長官のいわゆる「ロシアゲート疑惑」に関する議会証言、国内メジャーSQなどのイベントが盛りだくさんでしたが、週末6月9日(金)の日経平均は20,013円で取引を終えました。

前週末(6月2日)の終値(20,177円)からは164円ほどの下落を見せてはいるものの、節目の2万円台を維持していること、この日のSQ値である19,997.63円を上回っていることを踏まえると、相場の地合いは堅調だったと言えます。

外部環境を振り返ってみても、イベントを前にした為替市場で様子見リスクオフの円高局面があったり、英国選挙の結果も、与党である保守党が議席を減らすなど、決して市場が望んでいた結果ではなかったのですが、株式市場自体はあまり大きく反応しなかった印象です。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年6月9日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

実際に、英国選挙の速報を受けて始まった6月9日(金)のローソク足の実体(箱の部分)は、前日(6月8日)の実体の範囲内に収まる「はらみ足」になっているほか、ほぼ5日移動平均線の水準(20,011円)で終えています。

確かに、英国選挙において、事前の報道でも与党の苦戦が伝えられていたため、今回の結果は昨年のブレグジットをめぐる国民投票や、米国大統領選挙の時のようなサプライズはありません。ただ、そもそも今回の英国選挙は、メイ英首相が「今、選挙をやれば勝てるだろう」という思惑によって実施されたものです。

ところが、その当てが外れてしまい、今後の政権樹立やEUとの交渉などで不透明感が強まってしまったわけですから、本来ならばもっと悪材料として意識されてもおかしくないはずですが、株式市場の反応は限定的であるということは、株式市場の視点は次の米FOMC(6月13日〜14日)に向いていると考えた方が良さそうです。となると、今週に波乱も発生し得ると見ることもできます。

あらためて図1を見てみますと、値動きのまとまった幾つかのブロックに分けることができます。つまり、基本はもみ合い、状況の変化に応じて水準が上下する展開であることがわかります。今週は、足元のブロックが継続するか、状況の変化が訪れるのかが注目されることになりそうです。

市場では、FOMCでの利上げ自体はほぼ確実視されているため、FRBによる「今後の利上げペース」や「景気認識」、「出口戦略(資産圧縮)」の見解に注目が集まっています。特に、出口戦略については、同じく今週に予定されている日銀会合(6月15日〜16日)でも関心が高まりつつあり、日米金融政策方針の組み合わせによる金利差の思惑と為替市場の反応が株式市場に影響を与えるというのが、今週の基本シナリオです。

(図2)日経平均の動き(日足・HLバンド)(2017年6月9日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

上の図2は、日経平均にHLバンドと移動平均線を重ね合わせたものです。HLバンドとは、一定の期間内の高値(H)と安値(L)を線でつないで描いたものです。

値動きの想定としてメインとなるのは、足元の日経平均が位置している、25日移動平均線とHLバンドの上限の範囲内になります。波乱があるとすれば、25日移動平均線とHLバンドの下限にある「空白地帯」への水準切り下げ、株価下落となります。ちなみに、HLバンドの下限はちょうど75日移動平均線の水準でもあります。

株価下落といえば、別のテクニカル指標でも注意したいものがあります。下の図3は、日経平均とRSIの推移になります。

(図3)日経平均(上段)とRSI(RSI)の動き(2017年6月9日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均は直近で2万円台を回復するなど高値を更新していますが、一方のRSIは高値を切り下げています。また、下値に注目すると、両者共に切り上がっていますので、トレンド転換型の逆行現象になっている可能性があります。先ほども述べましたが、値動きがブロックに分けられるように、継続的でないこともあって、逆行現象のサインとしては強く警戒するほどではないと思いますが、頭の片隅に置いて置く必要はありそうです。