月跨ぎとなった先週の国内株市場ですが、週末6月2日(金)の日経平均終値は20,177円となり、ようやく(?)2万円の大台に乗せてきました。とりわけ、週末に向けた木曜日と金曜日の上昇が顕著でした。先週は週末に注目の米雇用統計を控え、様子見の小動きを予想する向きが中心だったこともあり、やや「意外」と感じられた方も多かったのではないでしょうか。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年6月2日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

いつもの通り、足元の状況を上の図1で確認します。

ローソク足の動きを辿ると、週の前半は上向きの角度がついた25日移動平均線がサポートとなり、6月1日(木)と2日(金)の両日で一気に上昇したことが確認できます。上昇のきっかけとなったのは、1日(木)の取引開始前に発表された1-3月期法人企業統計の結果が良かったことが要因のひとつとして挙げられています。

具体的には、経常利益が前年同期比で26.6%増加し、過去最高を記録した2016年10-12月期以来の高水準だったことや、設備投資もリーマンショック前の水準を回復したことなど、企業の稼ぐ力が改めて評価されたことが考えられます。また、日本株の割安感(海外株市場に比べてPERが低めの水準にとどまっている)や、さらに、月初の取引日がこれまで11カ月連続で上昇してきたという傾向があったことも意識されたようです(6月1日も上昇し、記録は12カ月連続となりました)。

前回、日経平均が終値ベースで最後に2万円台をつけたのは2015年12月1日ですから、約1年半の歳月をかけてようやく取り戻した水準ということになります。そこで、当時からの動きを週足チャートでも振り返って見ます(下の図2)。

(図2)日経平均(週足)の動き(2015年12月〜)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均は、2015年12月の2万円から大きく値を下げる展開となり、2016年4月にかけていわゆる「トリプルボトム」を形成していくことになりましたが、そのトリプルボトム自身も明確な底打ち反転になる前に崩れてしまったため、その後の日経平均は、トリプルボトム形成時のネックラインや、安値どうしを結んだトレンドラインを意識しながらの動きとなりました。これまでにも何度か紹介しました「トリプルボトム崩れの呪縛」です。とりわけ、安値どうしを結んだトレンドラインは、現在に至るまで影響を与えていたように見えますが、トリプルボトム形成前の2万円水準を回復したことで、やっと呪縛から解き放たれたと見て良さそうです。

さらに、直近で中々抜けきらなかった2万円台の壁をあっさり突破したことも先高観を感じさせる印象です。ただ、今週末はメジャーSQ、前回も指摘した通り、思惑や需給で「ふらつきやすい」地合いである点には留意が必要ですが、今回の上昇のきっかけが日本株の再評価という点を踏まえると、海外で余程の不安材料がない限りは、下値で買いが入りやすく、堅調な展開が想定されます。足元の日経平均2万円突破を「通過点」にできるかが試される週になりそうです。

その一方で、「6月1日(木)〜2日(火)の上昇に過熱感はないのか?」という見方もあります。これについては、あまり心配しなくても良いかもしれません。というのも、日経平均の値動きのクセからは、あまり違和感がないからです。下の図3は、日経平均と移動平均乖離率(25日)の推移です。

(図3)日経平均と移動平均線(25日)の動き

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

日経平均はここ2年ぐらいの間、25日移動平均線から、上下3%、もしくは6%の範囲で動いています。6月2日の25日移動平均線は19,692円でしたが、+3%は20,282円です。この日の取引時間中の高音は20,239円でしたので、3%の水準にまだ達していません。もしかしたら、意識されたのかもしれません。ちなみに、このまま6%に向かうのであれば、2日(金)の取引終了時点では20,876円となり、予想する声が多い「日経平均2万1,000円」の水準近くになります。