先週の国内株市場を振り返ると、日経平均は2万円の大台をトライする動きを見せていたのですが、米国から飛び出した「ロシアゲート」疑惑とその警戒の高まりによって、株価水準が一段切り下がる展開へと転じました。週末5月19日(金)の日経平均は19,590円で取引を終え、前週末(5月12日の19,883円)からは290円ほど安くなっています。

早速、足元の株価の動きを下の図1で辿ってみます。

(図1)日経平均(日足)の動き (2017年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

チャート全体の形をざっくり眺めてみますと、「アイランド・リバーサル」という少し気になる形が出現しています。言葉の通り、5月8日から17日までの値動きの塊が、2つの「窓」空けによって、離れ小島のように見えます。一般的にこの形が現れると、上昇トレンドならば天井、逆に下落トレンドならば底打ちのサインとされています。

そのため、さらなる株価下落に注意すべきということになりますが、今回はそうはならない可能性があります。その理由としては、窓空けで下落した5月18日(木)~19日(金)のローソク足の形と並び方です。

まず、両日とも「十字線」です。十字線とは始値と終値がほぼ同値の線です。取引時間中は高値や安値をつけて気持ちが揺らいだが、終わってみればあまり動かなかったことを意味しています。つまり、窓を空けて下落したものの、売り込むような動きにならなかったというわけです。さらに、19日(金)の十字線は、18日(木)の十字線よりも高いところに位置しています。

週末の米株市場や日経225先物市場が反発していることを踏まえると、週明け22日(月)の取引は「アイランド・リバーサル」出現の際に現れた窓を埋めにいくことが想定されます(実際に、22日(月)の日経平均は19,670円でスタートしています)。今週は、アイランド・リバーサルの形を打ち消すことができるかどうかが焦点のひとつになりそうです。

次に週足チャートでも確認してみます(下の図2)。実は、週足チャートでも少し気になる形が出現しています。

(図2)日経平均(週足)の動き その2(2017年5月19日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて、中期的な動きを辿ると、日経平均は昨年6月に底を打ち、もみ合いながらの緩やかな上昇、トランプラリーによる急上昇も含めて上昇トレンドを形成してきました。その後はもみ合いを経て、足元の乱高下という流れになっています。

上の図2にも描きましたが、昨年末からのもみ合い局面と、足元の乱高下局面では、上値が切り上がる一方で、下値も切り下がっていることが分かります。つまり、株価の値動きの幅が拡大しているわけです。こうした形は「ブロードニング・フォーメーション」と呼ばれます。ちょうど、値動きが収斂していく「三角保ち合い」とは反対のパターンです。ブロードニング・フォーメーションも中長期的なトレンドの末期で出現すると、天井や底打ち転換を示すパターンとされています。

通常の場合、トレンドが終盤に向かっていくに従って値動きが収縮しながら勢いを失っていき、次第に三角保ち合いが形成されていくのがですが、ブロードニング・フォーメーションは値動きが荒くなっている時や相場心理が不安定な時に現れるため、比較的珍しい形と言えます。

ただし、今週の値動きが落ち着きを見せることができれば、今度は、通常の三角保ち合いに移行し、そのままひし形の「ダイヤモンド・フォーメーション」を形成していくことになります。現時点では、図1で出現したアイランド・リバーサルの窓を埋めにいく動きが予想されていますので、次第にダイヤモンド・フォーメーションになっていき、しばらくは値固めの動きとなるのが、メインシナリオとして意識されそうです。