大型連休を控え、わずか2営業日だった先週の国内株市場ですが、様子見と思いきや、意外(?)にも強い動きを見せ、5月2日(火)の日経平均は19,445円まで上昇して取引を終えました。さらに、連休明けの5月8日(月)には一段と株価水準を切り上げ、19,700円台に乗せてのスタートを見せています。

連休中の注目イベントだった、米4月雇用統計の結果が強いものとなり、6月の米FOMCでの利上げへの意識が高まったことや、欧州でも仏大統領選挙でマクロン氏が勝利し、政治不安のひとつが後退したことが背景となったようです。

(図1)日経平均(日足)の動き (2017年5月8日9時30分時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

こうした足元の株価の動きを上の図1で辿ってみます。

まずはローソク足の並びです。先週の2営業日のローソク足は大きめの陽線が続く格好となりました。前回、ローソク足の並びが「はらみ足」であることを指摘しましたが、それを打ち消すかのように、5月1日(月)の陽線が「抱き線」となって上値を更新し、翌2日(火)も陽線が続きました。さすがに19,500円台には乗せられませんでしたが、それでも上昇に弾みをつけたような印象を持たせています。

そして、冒頭でも触れた通り、5月8日(月)は19,700円台乗せで取引が始まり、これまでの年初来高値(3月2日の19,668円)をも突破してきました。これまでの日経平均は「19,600円台の壁」に何度となく阻まれてきましたが、あっさり上抜けてきました。

外部環境が落ち着いてきたことと、国内企業決算発表のピークを迎える中、今週末は日経225先物mini取引とオプション取引のSQを迎えます。これらの取引では権利行使価格250円刻みが比較的売買が多いこともあって、5月8日(月)の19,700円台乗せでのスタートは19,750円が意識されているものと思われます。ですので、今週はこれまでのレンジ突破水準を維持し、さらに上値を伸ばせる素地を作れるかがポイントになりそうです。

また、足元の値動きが「窓」を3つ空けて上昇していることも分かります。特に最初と3番目の窓は大きく空いていて、変則的ながら「三空」と捉えることもできます。力強い上昇を見せているわけですが、それ故にいったん上昇がピークアウトし、落ち着きを見せ始めるのではという見方もできてしまうわけです。

「三空」というのは、いわゆる酒田五法における相場の考え方のひとつです。上昇局面では「三空踏み上げに売り向かえ」と言われています。最初の窓は相場のムードの変化に気付いた新規の買い、2番目の窓はムードの変化による売り方の買い戻しと買い乗せ、3番目の窓は遅れて参加した投資家の買いという考え方です。売り方の買い戻しが一巡し、遅れた買いが入ってくる頃には、最初に買った投資家が利益確定を出し始めることが想定されるため、相場は天井を迎えることが多いとされています。

仮に上昇が一服となった場合は、これまでに空けた窓を埋めに行くことになります。

先ほどのオプション取引の権利行使価格で整理するのであれば、上値は19,750円や20,000円、下値は19,500や19,250円、19,000円などが意識されることになります。ただ、実際にはSQの週であっても相場の値動きが落ち着くことは多く、その場合、権利行使価格の中間地点、例えば、19,875円、19,625円、19,375円辺りでもみ合い、「どちらの権利行使価格でSQを迎えるのか」という展開になります。

では、直近の力強い値動きが中期的なトレンドで見たらどうなのかを下の週足チャートでも確認してみます。

(図2)日経平均(週足)の動き その2(2017年5月8日9時30分時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図2に記載されている中期トレンドラインは、前回も紹介しましたラインです(2016年に形成したトリプルボトム崩れの安値どうしを結んだ線)。昨年の夏場以降、日経平均はこのラインを挟んで強気と弱気のムードを繰り返してきたことが判ります。前回はこのラインへの復帰を目指している状況であると指摘しましたが、見事に復帰しつつあり、今後このラインを上抜けて強気ムードになれるかが焦点になります。

もちろん、この中期トレンドラインが抵抗線(レジスタンス)になることも想定されますが、週足の移動平均線(13週・26週・52週)が3本とも上向きになっていますので、仮に上昇が一服したとしても、下値の支持線(サポート)として機能しそうです。