先週末に発表された米雇用統計はまたしても市場予想とかけ離れた数字となった。非農業部門就業者数は2ヶ月連続の20万人増(今回の数字は25.5万人増、前月分も29.2万人増に上方修正)と5月分の落ち込みも一時的なものと受け止められる内容となっている。現在、日本もそうだが雇用統計はどこも悪くない。

ダドリー・ニューヨーク連銀総裁は8月1日のインドネシアでの講演で、「年内の追加金融引き締めの可能性を排除するのは時期尚早だ。私の見通しが今後の経済データで裏付けられれば、労働市場が一段と引き締まりインフレが加速する中で、米金融政策はより中立的な水準に向け、先物相場が示唆するよりも速いペースで動く必要がある公算が大きいと私は考える」と述べており、年内利上げ観測が再浮上している。

米国株は雇用統計でいったん持ち直したが、8月初旬の次は8月下旬から9月相場が要警戒である。いずれにせよ、米国の利上げ観測の再浮上で、8月26日のジャクソンホールでのイエレンの講演に市場の注目が集まるだろう。

米雇用統計の推移(2000年~2016年)

(出所:石原順)

失業率の低下と米国株の上昇は連動している
上段:失業率(青)と移動平均線(赤)
下段:NYダウ月足

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)8月8日)

NYダウ(日足) 次の焦点は8月下旬相場?米国株に強気のラリー・ウィリアムズも警戒?
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(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)8月8日)

雇用統計の日のNYダウは雇用統計の良い数字を素直にうけ191ドル高となったが、ドル/円は良い雇用統計の数字を受けても102円までのおとなしい反応だった。円買いポジションがさほど溜まっておらず、大規模なショートカバーにはならなかったようだ。

8月月初の相場は予想通り荒れたが、ここから8月の中旬まではドルインデックスは堅調に推移しそうだ。しかし、利上げ観測からのドル高の進行は株安要因でもあり、円安という反応にはなりにくい。加えて、ドル/円や豪ドル/円は8月のシーズナリーサイクルが円高を示唆しており、円高バイアスから上値は重くなりそうだ。

ドルインデックスの日足(青)とフォーキャスト(赤)

(出所:石原順)

ドル/円(日足) 200日EMAフィルター付きストキャスティクスの逆張りシグナル
7月21日に売りシグナルが点灯
上段:200日EMA(紫)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)・フィルター付き売買シグナル
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足) 200日EMAフィルター付きストキャスティクスの逆張りシグナル
7月19日に売りシグナルが点灯
上段:200日EMA(紫)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)・フィルター付き売買シグナル
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足)
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(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)8月8日)

現在のトレンドレスな相場環境で、 200日EMAフィルター付きストキャスティクスの逆張り売買とともに筆者がずっと続けているのがドル/円・ユーロ/ドル・日経平均の転換点売買だ。ストップ・ロスを置いて機械的に売買しているが、そのパフォーマンスは悪くない。

転換点売買

<修正平均ADX(パラメータ3)>がピークに達した次のローソク足の方向についていくだけの短期売買手法である。ストップ注文を置いて参入、直ちに利食いをおこなう場合もあるし、利が乗ってきたらトレール注文的な決済をおこなうこともある。いずれにせよ、損切り注文を入れることは必須である。

日経平均CFD(日足)
上段:25日エンベロープ±5%(青)・±10%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)

(出所:石原順)

ドル/円(日足)
上段:13日エンベロープ±2%(青)・±3%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)
上段:13日エンベロープ±1%(青)・±2%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)

(出所:石原順)

「有能なトレーダーにとって重要なのはチャートにおける支持・抵抗水準ではなく、その日の高値や安値でもない。受け入れる苦痛の程度なのである。自分がどれだけの苦痛を受け入れるか前もって決めておくことが大切!学び、習い、考え、備え、そして、行動せよ」(ラリー・ウィリアムズ)

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。