約1年半ぶりに日経平均株価が20,000円の大台を突破しました。トランプ大統領就任からここまで、日経平均株価は4,000円上昇しましたが、個別銘柄をみると決して同じような値動きにはなっていません。一体なぜ?そしてここからどうする?
日経平均株価が1年半ぶりに20,000円の大台を突破
6月2日(金)、日本株は大きく上昇し、日経平均株価は一時20,239円81銭の高値をつけました。日経平均株価が20,000円の大台を突破したのは、2015年の12月以来、実に1年半ぶりのことです。
アベノミクス相場が始まって以降の最高値は、2015年6月の20,952円71銭ですから、あと700円ほど上昇すれば、2年ぶりの高値更新ということになります。
通常、株価が以前の高値を超えて上昇した場合、新たな上昇ステージに突入したととらえることができます。その意味では、ぜひとも2015年6月の高値を超えてもらいたいものです。
日経平均株価と個別銘柄の値動きは大きく異なっている
トランプ大統領決定後、ここまでの日経平均株価の推移を大まかに表すと、次のようになります。
- 昨年11月9日(水)以降、年内いっぱい上昇して20,000円目前へ。
- 年明けから3月いっぱいは、上下1,000円幅のボックス相場となり横ばい続く
- 4月はじめ~中旬まで下落
- 4月17日(月)に底打ち後は、5月下旬のもみ合いはあるものの上昇トレンド続く
一方、個別銘柄の動きをみると、銘柄によりまちまちの動きとなっています。
例えば、ミクシィ(2121)や日本M&Aセンター(2127)など、右肩上がりで上昇を続け、年初来高値を更新している銘柄も数多くあります。
その一方、トヨタ自動車(7203)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)などは今年に入ってからずっと軟調な動きですし、新日鐵住金(5401)は3月初旬まで値を保っていましたがそこから崩れてしまいました。
このように、「トランプ相場」が始まってからの7カ月間、どの銘柄に投資するかにより、個人投資家の投資パフォーマンスも大きく差がつく結果となりました。
個別銘柄ごとの値動きの違い、その原因は?
では、なぜミクシィ(2121)や日本M&Aセンター(2127)が右肩上がりの上昇を見せる中、トヨタ自動車(7203)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)は今年に入ってずっと軟調な動きを続けていたのでしょうか。
その答えは、「為替レート」、特にドル/円相場の値動きの推移にあります。
ドル/円相場は、トランプ大統領当選の昨年11月9日(水)に101円19銭まで円高が進んだものの、そこからは円安となり、12月16日(金)には118円39銭をつけました。
その後はずっと円が強含む動きが続き、4月17日(月)には1ドル=108円13銭まで円高が進みました。
このドル/円相場の動きと日経平均株価の動きを組み合わせると、日経平均株価が年末年始に高値をつけたのとほぼ同じタイミングで、為替は最も円安が進んだことがわかります。また、為替が108円13銭の円高となったのと同じ日に、日経平均株価も18,224円68銭の安値をつけています。
今に始まったことではありませんが、日経平均株価はドル/円レートに非常に大きく影響を受けていることが良く分かります。
これ以上に為替レートの影響を受けているのが、東証1部上場の輸出関連株です。トヨタ自動車(7203)が高値をつけたのは、為替レートが最も円安に振れたのと全く同じ、昨年12月16日(金)だったのです。トヨタ自動車(7203)の日足の株価チャートをご覧ください。まさにドル/円相場とそっくりであることが良く分かります。
同様に、三井住友フィナンシャルグループ(8316)の株価チャートもドル/円相場とそっくりの形です。銀行株は為替レートにはあまり影響を受けないはずですが、円安にならない限り、日本株には大量の投資資金が流入してきません。そのため、輸出関連株に限らず、東証1部の主力株については円高傾向にあるかぎり株価が上昇しにくくなってしまいます。
一方、内需系中小型成長株は、為替レートが業績に及ぼす影響は小さいですから、円高に振れたとしても投資資金が継続して流入し、その結果右肩上がりの上昇を続けたのです。
ここからの日本株の投資戦略は?
では、ここからの日本株についてどのような戦略を立てていけばよいでしょうか。やはりポイントとなるのは為替レートが円高に振れるか、円安に振れるかだと思います。
もし為替レートが円安に振れれば、今年に入ってから軟調な株価の動きが続いている東証1部の主力株が買われる可能性が高いです。逆に為替レートが円高傾向を続けるのであれば、引き続き、内需系中小型成長株が上値追いを続けることになるでしょう。
とはいえ、為替レートの先行きを読むのはほぼ不可能に近いです。であるならば、やはり株価のトレンドに応じて、投資対象を決定していくのが現実的だと思います。
内需系中小型成長株の多くは上昇トレンドが続いています。一方、東証1部主力株には、下降トレンドの銘柄や、ようやく上昇トレンドに転じたばかりの銘柄が数多くあります。
月足チャートで過去の個別銘柄の値動きを振り返ってみると、内需系中小型成長株は為替レートに関係なく、アベノミクス相場開始以降、右肩上がりの上昇を続けている銘柄が多いことが分かります。一方、東証1部主力株(例えば鉄鋼株、自動車株、銀行株、証券株など)は、その多くが右肩上がりの上昇にはなっていません。
そこで、筆者としては内需系中小型成長株への投資を主軸とし、東証1部主力株については上昇トレンドになった場合にサブ的に投資することを基本戦略とします。
そのうえで、内需系中小型成長株の多くが下降トレンドに転じ、東証1部主力株の多くが上昇トレンドになったような場合は、物色の変化が起こっていると判断し、東証1部主力株に資金をシフトさせていきます。
結局、今後の日本株を正確に予測するなどできないのですから、株価のトレンドの変化による物色対象の変動の有無を見極めて、投資する銘柄を決めていきたいと思います。
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