図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

春節Kung Hei Fat Choy! トランプ不安でメタル買い(2017年1月30日(月)掲載分より)

パラジウムの次はシルバー、このところゴールドとは関係ない各メタル独自の動きが目立ちます。金曜日ニューヨークでゴールドは動かず、シルバーだけが16.70から17.25とほぼ50cents 大きくジャンプしました。

フォルクスワーゲンが、自動車のガラスの霜取りにシルバーを使う新しい技術を発表したことがそのきっかけになったようです。シルバーがゴールドと違う独自の動きをしたことはずいぶんとひさしぶりです。これがどれほどの技術なのか続報が待たれます。ここまでの報道をみるとこれまでは、ほぼ見えないような細いワイヤーに熱を通していたのですが、これでは対向車のライトで影響を受けるので、新たな技術としてシルバーの極薄の見えない層をガラスに埋め込みそれに電気を通すというもののようです。

ゴールドとPGMもシルバーほど極端ではないにしても、先週の火曜日からの下げをある程度戻しました。トランプ大統領の実質的な政権運営スタートで、少なくともまた「トランプ相場」が復活してきたようにドル買い、株買い、メタル売りがすすみましたが、ここでちょっと一息。ビザがあってもアメリカ入国の拒否(あなたの先祖はnative Americanなの?)など、新たな政権の極端な政策もどんどん明らかになってきており、世界とそしてアメリカ国内でも大きな波紋を生んでいます。それがやはりドル高からの単純なメタルの売りでは終わらないようになるでしょう。将来に対するuncertainty は高まる一方です。そうそう楽天的ではいられるわけがないですよね。

個人的にはアメリカにはもはや行くのを躊躇させるような感じですね。不都合な真実は消し去り、データの捏造もいとわない、自由の国アメリカだとはとても思えない。どこかの独裁国家のようではないですか?ほんとこの先いったいどうなるんでしょ。少なくとも不都合な真実は真実としてそのまま無視でもしておいて、ほっとけばいいのに。虚構を作り上げて自分の都合のよいようにする必要がどうしてあるんでしょうね。

CFTC Commitment of Traders Report as of 24 Jan 2017(2017年1月30日(月)掲載分より)

右軸:投資家ポジション(トン)

左軸:ドル建てゴールド価格

381トンから385トン、これで三週間ほぼ変わりなし。

トランプ相場復活?(2017年1月27日(金)掲載分より)

世界中の株式マーケットの上昇とドルの上昇が貴金属にとっては売り材料になっています。NYダウは昨日もまた2万ドル超え。日経は344円高。大きく下げてるのはメキシコ株くらい。(かわいそう!)ドルインデックスも100を超えました。米長期金利も上昇基調、国債が売られています。昨年の選挙直後からのトランプ相場と似たような動きになってきました。ただAmerica Firstにのっているのだと思いますが、トランプ大統領の壁問題で、メキシコとの首脳会談は中止。そら一方的に壁を作るって言って、それをメキシコに払えと言ってるのだから、メキシコはたまったもんじゃないですね。メキシコからの製品に20%の関税をかけるぞ、とか、壁の建設費払わなければ首脳会談をやらないとか。(メキシコ側からキャンセルしました。そりゃそうでしょう。)まるでやくざの脅迫としか思えません。少なくとも一国の、それも米国の大統領がいうこととはとても思えません。彼の言ってることが報道されるたびに唖然としてしまいます。ほんとにこの男に4年間、米国の人たちは付き合うのかしら?ドル高(円安)とメタル安で円建てはほとんど変わらず。

パラジウム金曜の急騰を消す最大級の急落(2017年1月26日(木)掲載分より)

NY Dowがとうとう2万ドルを超えて引けでも20,068.51ドルとトランプ大統領のAmerica No.1 に素直に反応しています。これを受けて書くメタルは頭の重たい展開になりました。ゴールドは一時1,200ドルを割りこみました。トランプ政権の方針からアメリカ経済がとりあえず受ける恩恵とそしてそれが世界経済に与えるであろうネガティブな面とのせめぎあいが今後も続きそうです。

しかし昨日のもっとも大きな注目はパラジウムです。なんと過去10年で最大の一日での下げを記録しました。790ドルから730ドルと60ドルもの下げです。ほぼ7.5%の下げでこれは少なくとも過去10年にこれだけの一日の下げはありませんでした。何か大きなニュースがあってもよさそうですが、とりあえずこのsell offのきっかけになるような重要なニュースは何も見たりません。マーケットが2015年半ば以来の高値圏にあったのですが、大口の利食い売りが出たというくらいしかないですね。そもそも20日金曜日の750ドルから790ドルまでの大きな上げも、何もない中での唐突な上げであったのも確かです、そこで買った人が売ったのかもしれません。貴金属の中ではもっとも流動性の低いメタルであり、おそらくその許容範囲を超えた買いと売りが先週の金曜日と昨日に入ったのでしょう。それにしてもこの動きは、パラジウムの流動性に対する考え方を改めて再認識させるものですね。

マーケットは小動き、新政権の動きを注視(2017年1月25日(水)掲載分より)

昨日は全体的に静かなマーケットでドルの動きをみながらの小動きでした。トランプ政権の動きだしを注目しています。Big3の首脳との会談でFord 首脳が、ドル高に対して不満を漏らしたようです。トランプ大統領自身も高いドルは米国の国益ではないという態度なので、為替市場はそれによりドル買い113円から113.80円まで、それを受けてゴールドは1,218ドルから1,210ドル割れまで下げました。プラチナ・パラジウムはしっかり。ちょっと他のところに書きましたが、電気自動車おそるるに足らず。自動車全体の売り上げは7%なんていうスピードで伸びており、電気自動車のシェアはわずか1.2%です。これが少々伸びたところで(そしてその伸び率はガソリンやディーゼルよりはるかに低いものです。)まったく相場に影響はなしと考えるほうが現実的です。自動車が売れる限りやはり基本的PGMにとっては強い材料ですね。

トランプ門出、ドル安・ゴールド高続く(2017年1月24日(火)掲載分より)

トランプ大統領の実質的な船出となった月曜日、ドル売りとゴールド買いから始まりました。ゴールドは今朝、ほぼ二ヶ月ぶりの高値である1,220ドルまで上昇する場面がありました。ドル円はじわじわとドルが売られて、114.50前後で始まり、今朝はさらに112.50まで円高がすすみました。トランプ大統領はさっそくTTPからの離脱の大統領令にサインをしました。ゴールドにはやはりトランプ大統領による政治の先が見通せない不安、UncertaintyからのSafe Haven buyingが入っています。まあ、これしばらく続くのでしょうね。