図:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

ドル高一辺倒、パラジウム高も続く(2016年11月21日(月)掲載分より)

先週、ドル高の動きはほとんど衰えるところなくほぼ一本調子に一週間を通して上昇しました。ドルインデックスは、週初の99.30から金曜日の引けは101.34と2003年3月以来の14年ぶりの高値となっています。ドル円も106.90から110.96と4円もの円安が進みました。ゴールドは1,229ドルから1,208ドルと21ドルの下落となりましたが、ドルの大きな上昇の割りにはゴールドは1,200ドルは割り込まず、円建てでは上昇する結果となりました。

ドルのこの大きな上昇は当然その裏側にある通貨の下落があるわけで、円・ユーロは言わずもがな、新興国通貨がまた大きく下落する動きとなっています。メキシコペソは壁の話もあり史上最安値となり、南アランドも再び大きく売られています。前回よりももっとひどいドル一極集中。このまますすんでいいのでしょうか?

ドルが上がって、株が上がって、アメリカの金利が上がって、そして大統領が新しくなって。このまま世の中上手くいくのでしょうか。心配です。

パラジウムはリースレートが落ち着いて、少し反落するかなと思いましたが、思ったほど大きくは下げず、逆にちょっと下げてからまた戻して、そして再びリースレートも上昇。その地合いの強さが示されました。まだまだ基本強いですね。

CFTC Commitment of Traders Report as of 15 Nov 2016(2016年11月21日(月)掲載分より)

出所:池水氏のレポートより抜粋

右軸:投資家ポジション(トン)

左軸:ドル建てゴールド価格

11/8発表の数字784トンのロングから620トンへ大きく164トンの減少。

ドル円110円台、パラジウム続伸(2016年11月18日(金)掲載分より)

更なるドル高にゴールドもまた若干売られました。ドル円はほぼ110円、ドルインデックスは100.95まで上昇、これは過去13年で最高値。ドルが天井知らずの上昇を続けています。米住宅着工件数、失業保険申請件数など発表されたいくつかの経済指標はいずれも予想よりもよい数字が出たことがさらなるドル買いにつながりました。ゴールドはドル高を受けて1,230ドルから一時1,211ドルまで下落しました。ただ円安との同時進行のため、円建ては結局ほとんど動かずです。そして注目のパラジウム、やはりその上昇の動きは続いています。。昨日は735ドルまで上昇しました。ただリースレートが緩んできました。ちょっとこのあたりで天井感があるかもしれませんね。

パラジウムの上昇続く(2016年11月17日(木)掲載分より)

今日はまた一段と静かな一日となりました。ドル円は109円台でしっかり。ゴールドは1,221-1,230ドルの非常に狭いレンジでの推移となりました。株価も大きくは動かず様子見の一日となりました。

引き続き注目すべきはパラジウム。まだ続伸です。リースレートが大きく上昇し、つまり先物レート(Forward Curve)は一年先まですべてディスカウントです。基礎的な話ですがこれは現物の方が先物よりも安い、半年で1%、1年で0.6%の先物安になっています。単純にいうと現物が不足しており、将来のものよりも、現物をみんなが欲しがっているということです。リースレートとはこの場合パラジウムの金利のこと、つまりパラジウムを借りるレートのことですが、spotを買って同時に6ヶ月先物を売ると、6ヶ月分の資金手当ての金利(昨日のLibor1.2754%)と、先物を1%安く売ることで、6ヶ月間のパラジウムの調達コストは2.2754%となり、これがリースレートとなります。これまでほぼゼロもしくは理論上はマイナス金利であったのが、今は2.3%くらいに高騰していることになります。パラジウムの供給不足は、僕の知っている限りすべてのファンダメンタルアナリストレポートで指摘されています。JMのレポートでは2016年は過去最大の20トンもの供給不足が予想されています。その最大の需要分野である自動車触媒の需要は過去最高が予測されています。ですから、650ドル以下は拾いどころとし、おそらく需要家の手当てはあるとしました。そしてそれでも600ドル台前半まで下がったことに納得がいかないと書いたわけです。やっぱりこうなりました。Forward rate - リースレートに動きにしばらく注目ですね。パラジウムのようなメタルはゴールドとは違います。持ってないものを売ってはいけません。昔日本の投資家はそれでひどい目にあったことがあります。

パラジウム続伸、インドゴールド輸入禁止の噂(2016年11月16日(水)掲載分より)

昨日は小動きに終始。1,219-1,231のレンジでした。相変わらずドルは強く、ドル円はとうとう109円台。ドルインデックスは100を完全に超えました。10ヶ月ぶり。ただこのドル高の動きにかかわらず、ゴールドは底固い動きでチャートの形が、これまでまったく対照的に動いていたのに、ゴールドだけが下落せず平行線。そのい結果円建てのゴールドは4,300円を回復し、先週の金曜日の急落前のレベルに戻しました。ゴールドにはショートカバーとバーゲンハンティングの買いも入っているようです。Gold ETFからの資金流出は続いていますね。第三四半期のETFの持ち高発表があり、Sorosは売って、Paulsonは維持しているのが明らかになっています。これに関してはまた別途。

一方パラジウムはその上げが止まりません。昨日は700ドルを回復。この一週間で90ドル近く上げたことになります。下げの場面ではパラジウムが下がることに納得がいかないと書きましたが、無理してショートをしていた筋がいるようですね。それが今squeezeにあっているような雰囲気です。リースレートが急騰、そして価格も急騰。そうだとしたらどうしてパラジウムをショートしたのかが理解不能ですが。

インド、ゴールド輸入禁止になるという噂(2016年11月16日(水)掲載分より)

まだあくまで噂の域を出ませんが、インドの新聞に、ゴールドの輸入を完全に禁止するという政策が発表されるという噂が出ています。これはIndian Bullion & Jewellers Association(IBJA)という業界団体がその2,500もの構成メンバーに伝えたものとのことです。

先日、インド政府は500と1,000ルピー紙幣を廃止すると発表しましたが、これの影響で資金洗浄のため、紙幣をゴールドに変える動きが出ているらしく、小額紙幣でゴールドを買う客には大きなプレミアムを課す業者が続出しているようです。それをやはり政府が問題視し、こうなったら金の輸入そのものを禁止する、ということになりそう、という話です。

そんなことをしたら余計に密輸が増えると思うのですが。。。さて本当にそうなるのでしょうか?

CFTC Commitment of Traders Report as of 8 Nov 2016(2016年11月16日(水)掲載分より)

出所:池水氏のレポートより抜粋

右軸:投資家ポジション(トン)

左軸:ドル建てゴールド価格

投資家ロングポジションは775トンから784トンへ若干ながらの増加。11/8のmarket on close (MOC)の数字なので、今週土曜日に発表される数字は大きくロングが減少しているはず。

トランプラリー続くドルインデックス100へ(2016年11月15日(火)掲載分より)

ドル買い、株買いが止まりませんね。ドルインデックスは一時100を超えました。これは2015年3月以来で、それ以前となると2003年3月まで遡らなければならず、歴史的にもドルインデックスが100を超えるのは非常にまれなことです。

これを受けてゴールドは一時5.5ヶ月ぶりの安値、1,211ドル台をつけました。怒涛のリスクオン相場となってしまい、まさにゴールドは必要なしという局面になっています。Gold ETFでさえ、急速に売りが嵩み、その残高は先月つけた2,006トンのピークから2,000トンを割り込み1,971トンまで減少しています。

トランプの米国のインフラに対する財政支出や、金融経済全般への規制緩和等、今後のインフレを予想させるという意味で、米国の国債やその他の国の国債が売られ金利が上昇しており、これもまたゴールドにとっては逆風になっています。まあ、FRBにとってはトランプのおかげで12月の金利上げの条件が整ってきたといえますね。

ただこのEuphoriaいったいどこまで続くのかそれが不安です。これだけの株価の上げに対する反動は結構なものがありそうで。それともこのトランプラリーはまだまだ持続可能なものなのでしょうか。

そしてこんな中、パラジウムだけはまったくドルや株の動きに対する否定的反応はありません。逆に昨日は大きく670ドルからほぼ700ドルまで上昇、逆にトランプラリーがパラジウムを上げているような感じです。やはり売られすぎたパラジウムに対する反動買いは強いですね。物が無い以上やはりこれは必然の帰結なんでしょう。