【米ドル/円】スペインの格付け見通し引き下げ受け一時米ドル買い・円買いが強まる

昨日までの動向

米ドル/円は3日続けての陰線引け。
東京市場では、米ドル/円は小幅な値動きとなりました。朝方は日本の7-9月期GDP(二次速報)が事前予想を下回る下方修正となり根強いデフレが示されたことで一時円売りが強まり、米ドル/円が小幅に上昇。88.60-65レベルを付けたのち、88円台前半レベルでもみ合う展開となりました。

欧州勢参入後、米ドル/円は軟調に推移。
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の信用不安が再燃して安全資産の円が再び買われ、米ドル/円は88円台を割り込む展開となりました。ドバイ傘下の不動産会社ナキールは9日、1-6月期の業績が36.5億ドルの赤字になると発表。ドバイの政府系企業の債務拡大などが報じられると、欧州勢参入後円買いが再び強まり、米ドル/円は一時87.30-35レベルにまで下げる展開となりました。

欧米市場では、ユーロが主要通貨に対して下落。
8日、格付け機関のフィッチがギリシャの格付けを引下げたことに続き、9日、格付け機関S&Pがスペインの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へと引下げたことが引き金となったようです。また、格付け会社ムーディーズが「米英Aaa格付けの限界を試す可能性」と指摘していることなどから、英国の格下げが近いとの噂が広がるなど、ここ数日、ソブリン・リスクに市場の注目が集まっているようです。このソブリン・リスクを背景に、欧州株式市場は昨日同様、全面安の展開となりました。

ユーロ/米ドルは一時1.4770-75レベルから1.4670-75レベルへ下落。
ユーロ/円は、リスク回避の円買いにより130台を割り込み一時128.70-75レベルにまで下げる展開となりました。ユーロ/円を始めとするクロス円が再度下落したことで、88円台を回復していた米ドル/円は連れ安となり、再び87.60-65円台まで下げる展開となりました。

NY市場に入り米ドル/円は落ち着いた値動きに。
ガイトナー米財務長官が「新たな危機に備えるため、TARP(不良資産救済プログラム)を2010年10月まで延長する」と表明。これが好感され、米株式市場は下げ渋る展開となりました。米ドル/円は米長期金利の上昇を背景に87.90-95円台まで上昇。その後、88円台を挟んだレベルでのもみ合いとなりました。

他方、NZドル/円が急伸。10日東京時間早朝5:00に発表された RBNZ(NZ準備銀行) RBNZオフィシャル・キャッシュレートで政策金利は2.50%で据え置おかれたものの、ボラードRBNZ総裁が「2010年半ばに刺激策解除を開始する見込み」等と声明を発表。同氏の発言が好感され、NZドル/円は急上昇となり、発表前62.20-25レベルから一時63台後半レベルにまで急伸する展開となりました。米ドル/円は豪ドル/円、NZドル/円の上昇に牽引され10日、東京時間朝方88.30-35レベルにまで上昇する展開となりました。

本日の展望

米ドル/円は続落。直近サポートの一目均衡表の転換線と基準線も一時下抜く展開となりました。下値目途として直近上げ幅の半値押しにあたる87.80-85レベルやフィボナッチ61.8%押しに該当する87.10-15レベルで下げ止まるかが焦点となりそうです。

また、今年の米ドル/円は雇用統計発表前後にドル高ピークを付けて、その後反落に転じるというパターンが多く見受けられます。今回も同様の展開を懸念する市場参加者も少なくなく、思わぬ深押しとなった場合、11月27日の安値84.75-80レベルを再度試す展開も予想されます。

一方、上値ターゲットとして一目均衡表の転換線が位置する88.30-35レベルや昨日高値、88.65-70レベルなどがあげられます。

本日の主な指標

東京時間22:30:(米)貿易収支-10月 予想-369億ドル 前回-365億ドル
東京時間22:30:(米)新規失業保険申請件数 予想45.5万件 前回45.7万件
その他、
東京時間17:30:SNB(スイス国立銀行)政策金利 予想0.25% 前回0.25%
東京時間21:00: BOE(英中銀)政策金利 予想0.50% 前回0.50%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。

【豪ドル/円】リスク回避の円買い継続も、NZ中銀総裁発言や豪雇用統計の改善が好感され一時急伸

昨日までの動向

豪ドル/円は下ヒゲを残す陰線引けとなりました。
9日に発表された豪10月貿易収支は事前予想-18.05億豪ドルのところ結果は-23.79億豪ドル赤字予想を上回る内容に。また、豪10月住宅ローン約定件数は前月比-1.4%となり事前予想の-2.0%を上回る内容となりました。数値そのものは強弱まちまちの内容となり、豪経済指標に対する市場の反応は限定的となりました。

昨日は、9日同様、欧州や英国情勢に左右される展開となりました。
ドバイ信用問題の再燃やスペインの格付け見通しの引け下げなどを受けリスク回避の円高により、豪ドル/円は下値を探る展開となりました。80円レベルを割り込むと下げ幅を拡大し、79.20-25レベルにまで下落する動きとなりました。

本日10日、東京時間朝方豪ドル/円は急伸。
東京時間9:30に発表された豪州雇用統計で11月の新規雇用者数は事前予想の5,000人増を大幅に上回る3.12万人増に、また 11月の失業率は事前予想の5.9%を下回る結果5.7%たなりました。また、NZ中銀が来年半ばの利上げを示唆したことも、同じオセアニア通貨の支援材料となったようです。豪ドル/円は再び80円台を回復し、80円台後半レベルにまで急伸する動きとなりました。

豪ドル/円 日足チャート

豪ドル/円 週足チャート

本日の展望

引き続き、強弱の分岐点80.00レベルを巡る攻防に焦点が集まりそうです。
直近の下値目途として直近上げ幅の半値押しあたる79.70-75レベルや61.8%押しに該当する79.00-05レベルなどがあげられます。一方、上値ターゲットとして一目均衡表の雲の下限が位置する80.80-85レベルや雲の上限が位置する81.55-60レベルなどがあげられます。

なお、週足チャートでは一目均衡表の雲の上限を巡る攻防に直面しています。週足チャートでは雲の上限(先行スパン2)79.65-70レベルほぼ水平に推移したのち、73.90-74.10レベルの方向に切り下がる動きとなっています。
また、目先では「変化日」を示唆する雲のネジレが観測されています。

このまま雲の上限の上抜けを維持した場合、下値リスクが一服し、同ラインでの下固めに移行する展開が予測されます。一方、同ラインを下抜けた場合の豪ドル一段安にも引き続き注意を払いたい場面です。

本日の主な指標

東京時間09:00:(豪)消費者インフレ期待-12月 結果3.6% 前回3.2%
東京時間09:30:(豪)新規雇用者数-11月 予想0.50万人 結果3.12万人 前回2.72万人
東京時間09:30:(豪)失業率-11月 予想5.9% 結果5.7% 前回5.8%
東京時間09:30:(豪)労働参加率-11月 予想65.2% 結果65.2% 前回65.2%
その他、
東京時間05:00:RBNZ(NZ準備銀行)政策金利 予想2.50% 結果2.50% 前回2.50%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。