図1:NY金 先物 (期近)日足チャート
単位:ドル / トロイオンス

出所:マーケットスピードより楽天証券作成

雇用統計予想を大きく下回る(2015年10月5日(月)掲載分より)

一週間を通じてドル高、メタル安傾向にありました。雇用統計Non-farm payroll(非農業部門雇用者数)が市場予想の20万人を大きく越えるようなことがあれば、ゴールドはさらに売られる可能性があると心配していましたが、東京時間21:30に発表されたNon-farm payroll(非農業部門雇用者数)は14万2000人と予想を大きく下回る数字となりました。また前月の速報値17万3000人も13万6000人に下方修正されました。7月分も下方修正されて修正幅は5万9000人になり。雇用者数の増加が市場に追いついていないことがはっきりしました。失業率は5.1%で変わりませんでしたが、就業可能な人で実際に職に就いている人の割合を示す労働参加率は62.4%と前月の62.6%から0.2%低下し、1977年10月以来の低水準になっています。 10人に4人が働いていないということ。米国の経済の減速傾向がはっきりしてきています。中国経済が不安である中、現在世界を引っ張っている米国経済がこの状況あることは不安です。FRBはやはりそう簡単に金利を上げるというわけにはいかないでしょう。

これによってドルは売られ、ゴールドは大きく買われました。これにより、おそらく年内の金利上げはほぼ無くなり、ドル高の修正、そして株価は発表直後は売られましたが、ほぼゼロの金利水準維持ということが評価され、最終的にはNYダウは200ドル上げて終わりました。この数字でまたゴールドマーケットの雰囲気は一変したと思います。シルバー、パラジウムも大きく上昇しましたが、プラチナだけはかろうじて900ドルを回復した程度で、ほかのメタルに比べるとやはり頭が重たいことがはっきり。ただリーマンショック時の世界経済危機の時の最安値が800ドルを割り込んだ程度で終わっているという過去の歴史を考えると、現在の世界経済の状況を考えるとそこまで下げるとは思えません。

雇用統計待ちで静か(2015年10月2日(金)掲載分より)

昨日はアジアも欧米も静かなマーケットでした。今晩の雇用統計を前にみんな様子見。Non-farm payroll(非農業部門雇用者数)の市場予想は20万2000人の増加。8月の数字は4月以来はじめての20万人を割る数字でしたが、さて9月の数字はいかに。マーケットの雰囲気がよくないだけに、20万人を大きく上回るようなよい数字が出たらドル買い・ゴールド売りとなるでしょうね。

パラジウム上昇、プラチナ下落。プラチナ対パラジウムの比価は1.43。これは過去10年でもっとも低い(パラジウム高・プラチナ安)レベルです。やはりプラチナとパラジウムの価格は近づいてきており、今回のVW事件はそれをさらに加速するということになっています。

ADP雇用統計良化でゴールド売り(2015年10月1日(木)掲載分より)

アジアはいつものごとく静かでしたが、NYのオープンでのADP non-farm employment(民間部門の雇用者数)が予想の19万人を上回る20万人であったことからドルが買われ、ゴールドは1,124ドルから1,111ドルまで下落。1,115ドルまで戻してNYが終りました。中国の8月のゴールド保有高が16トン増えていることも発表されました。これまで何年も何も言ってこなかったのが、先々月から毎月ベースで発表することになりました。(変わり過ぎやろ。)発表された過去3ヶ月の数字及び、数年ぶりに発表された数字を見ていると一月あたり10トン前後のゴールドを買い入れているようです。昨日の発表では、ゴールドの市場規模や流動性、そして金利を生まないことを考えると中国の保有高は多いというようなコメントが出ており、逆にこれが弱材料になったようです。あとは金曜日の本ちゃんの雇用統計待ち。ちょっとメタル(のみならず商品全体に)にはいい雰囲気ではないですね。これで雇用統計がよい数字が出てくると嵩にかかって売ってくる向きがあるかもしれません。

(元)Fixing であるLBMA Priceの有料delay化(2015年10月1日(木)掲載分より)

皆さん、もうご存知だと思いますが、PGM LBMA Priceは現在、価格決定後24時間たたないと公表されません。そして今日からゴールドとシルバーもリアルタイムでの公示は終り、30分のdelayになります。まあ24時間よりはだいぶ増しですが、リアルタイムで見たかったら金を払えということのようです。

世界の取引のbench mark priceは誰でも見ることができる公表された価格で、誰でも取引できるべき価格のはず。それが一日たたないと公表されないというのはどうなんでしょうか。そんなのbench markと呼べないと僕は思います。もうロンドンの価格を使うのみんなでやめて、アジアでbench mark作ってそれを使うほうがよいのではないですか?そもそもから時差だってあるのだし。世の中変な方向に向かってますよね。

Glencore危機が来るのか?(2015年9月30日(水)掲載分より)

昨日はアジアも欧米も同じようなレンジでの動きとなりました。落ち着いた動きだったといえるでしょうね。VWの排ガス不正問題に加えてGlencoreの巨額債務、Shellがそのアラスカでの採掘からの撤退、アルミ大手Alcoaの会社分割、とコモディティー企業が大変なことになっています。日経は700円を超える下げで、コモディティー企業でもある大手商社株も大きく売られました。これら動きの一番根源にあるのは、中国需要の不振による相場の下落。好き嫌いにかかわらずもはや中国が世界の経済を左右する時代になっているのですね。コモディティマーケット全体がちょっといやな雰囲気ですが、昨夜は小康状態だったようです。Glencoreの株価も月曜日に30%下げたのですが、昨日は17%戻しました。リーマンショックのようなパニックにはならないことを祈りますが、投資家の間には警戒感も広がっており、短期的にもGlencoreの行く末には注意が必要ですね。ゴールドはいい雰囲気だったのが、ちょっとこれで水を指された感じになってしまいました。明日からはその中国が国慶節で一週間の大型連休、金曜日は米雇用統計、とただでさえ流動性がない薄っぺらい最近のマーケットにいろいろと相場かく乱要因があります。油断禁物。

ドル高要因で欧米で売られる(2015年9月29日(火)掲載分より)

アジアは中秋節でほとんど動きがなかったのですが、ロンドンが始まると同時にメタルは売られ始め、1,146ドルからロンドンの朝に1,136ドルまで、そしてニューヨーク直前には1,130ドル近くまで下げ、ニューヨークでは一時1,128ドルまで下げました。ドルの上昇、年内金利上げのイエレン発言が欧米でじわじわと効いてきたようです。実需面では中国のゴールデンウイークが今週木曜日から始まり、そもそもあまり買っていませんが、中国のマーケットからの不在が続くことになります。水曜日にはまたイエレン議長の会見が予定されており、他のFRB理事もスピーチが予定されている人が多く、それらの発言からのドルの動きでゴールドが動く可能性があります。そして金曜日はまた米国の雇用統計。今のところのNon-farm payroll(非農業部門雇用者数)市場予想は20万2000人の増加だそうです。