【米ドル/円 パニック的な円買い後退も、ドバイショックの行方や当局の対応見極める展開】

昨日までの動向

米ドル/円は5日続けての陰線引けとなりました。
東京市場序盤、米ドル/円は底堅く推移。
日銀の白川総裁は30日の講演で「円高の市場への影響にも十分注意を図る」、「必要なら迅速かつ果敢に行動を行う」などと発言。日銀総裁の円高配慮発言を受け先行きの円高対応に対する警戒感が広がり、円が主要通貨に対して売り戻される動きとなりました。また、ドバイ信用不安に対しアラブ首長国連邦(UAE)中央銀行が資金供給を実施すると発表したことで不安が後退。ドバイ・ショックの折り込み一服などにより、アジア太平洋株は大幅に反発、過度なリスク回避によるパニック的な円買い制御に寄与したようです。

東京市場後半に入り米ドル/円はやや軟調に推移。日経平均が上げ渋りに転じると共に米ドル/円、クロス円も戻り売りがやや優勢となりました。また、注目された白川日銀総裁の午後の会見で、円高防止への具体策が示されなかったことや、藤井財務相が為替動向について「一日一日の動きに右往左往するのはおかしい」、「(為替相場は)トレンドを見るべきだ」と円高けん制を鈍化させたことなども円買い戻しに寄与したもよう。

加えて、ロイター通信がドバイのナヒール(不動産開発会社)が「ナスダック・ドバイに上場している3本のイスラム債の一時売買停止を要請」と報じたことが信用不安を再燃させ一時円買いを加速させたようです。米ドル/円はレンジ内での動きながら一時値を下げ、東京市場引けにかけて86円台を割り込み85.85-90レベルまで値を下げる動きとなりました。

欧州市場序盤、米ドル/円、クロス円が一時急伸。
菅直人副総理・国家戦略・経済財政局担当相は30日、ドバイショック後の新たな状況を踏まえ「第2次補正予算では想定していたよりも積極的に対応する、円高に歯止めをかける、日銀ともできるだけ協調していく」という3点の方向性を本日の基本政策閣僚委員会において合意したと発言。政府が円高の抑制措置を講じることで合意したとの発言を受け米ドル/円、クロス円で円が一時全面安となりました。米ドル/円は86円台前半レベルから一時86.60-65レベルにまで上昇する展開となりました。ただ、欧州株とダウ平均先物が共に下げ幅を広げると円売りが失速、米ドル/円は再び86円台前半レベルに戻す動きとなりました。

NY市場に入り、米ドル/円は86円台前半からなかばレベルでもみ合いに。
シカゴ購買部協会景気指数-11月が事前予想の53.3を上回る結果56.1に、また ダラス連銀製造業活動指数-11月も事前予想の0.0%を上回り結果0.3%と共に事前予想を上回る内容となり、一時米ドルが買われ、米ドル/円は一時86.70-75レベルにまで上昇する動きとなりました。ただ、NYダウが伸び悩むと再びリスク回避の円買いが優勢となり86円台前半レベルにまで下げ、その後同レベルでのもみ合いとなりました。

本日の展望

先週末の暴落から84円台を示現したのち、相場はやや落ち着きを取り戻しつつあるようです。相場の変動率を示すATRがやや下向きに転換しつつあるようです。

ただ、大局的なリスクは依然下方向にあり、米ドル/円の戻り売りリスクを注視しての取引となりそうです。直近下値の目途として11月27日に記録した84.75-80レベルがあげられます。戻り売りがことのほか強まった場合、1995年に記録した最安値79.75レベルも視野に捉える可能性も否定できず、再び米ドル売りが加速した場合での一段安にも注意を払いたい場面です。

一方、84円台を示現したことなどから、円高のクライマックスをにらんだ反発上昇のリスクにも注意を払いたい局面です。上値ターゲットとして一目均衡表の転換線が位置する87.10-15レベルや基準線が位置する88.55-60レベルなどがあげられます。

本日の主な指標

東京時間24:00:(米)ISM製造業景況指数-11月 予想54.8 前回55.7
東京時間24:00:(米)中古住宅販売保留-10月 予想-1.0% 前回6.1%
東京時間24:00:(米)建設支出-10月 予想-0.5% 前回0.8%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。

【豪ドル/円 急激な円買い後退も上値の重い展開】

昨日までの動向

豪ドル/円は昨日、小陰線引け。

東京市場で豪ドル/円はやや軟調に推移。東京時間朝方発表された7-9月期企業営業利益や民間部門信用などが予想を下回る内容となったものの、日本株や豪州株価の自律反発に支えられ影響は限定的となりました。

またこの日、NY金先物相場やNY原油先物が一時軟調に推移。海外勢の年末決算を前にしたドバイ危機により、リスク選好相場の手仕舞いによる売りが継続。ドル調達キャリートレードの巻き戻しにより、主要通貨に対して米ドルが買い戻される動きが観測されました。米ドルの対欧州通貨、対資源国通貨での上昇が豪ドル/円の上値を抑え、豪ドル/円は79円なかばレベルより小幅に下げ、79円台前半レベルでのもみ合いとなりました。

本日の展望

豪ドル/円の続落リスクには当然要注意ながら、短期的には売られ過ぎ状態にあり調整的な反発上昇にも注意を払いたい場面です。日足チャートでは遅行スパンが26日前のローソク足を下抜き下落を継続、暗転を示唆しているものの雲の上限で支えられ反発上昇となりました。また、オシレーター系テクニカルチャートのRSIも売られ過ぎの領域より上方転換しつつあるようです。直近上値の目途として一目均衡表の転換線が位置する79.80-85レベルをこなしつつ強弱の分岐点として寄与する80.00レベルを早期に回復出来るかが焦点となりそうです。

一方、下値目途として10月2日の安値76.30-35レベルがあげられます。11月2日の安値79.45-50レベルをしっかりと回復できず、再び戻り売り優勢となった場合、10月23日と12月12日の高値から短期的にダブルトップ・リバーサルパターン(※アルファベットのMの字に似た古典的なチャートパターン。高値圏で出現すると相場天井打ちを示唆すると言われる。)を形成しうる可能性もあり、更なる下落も予想されることから一段の注意を払いたい場面です。

本日の主な指標

東京時間09:30:(豪)住宅建設許可件数-10月 予想2.0% 結果-0.6% 前回95.1%
東京時間09:30:(豪)住宅建設許可件数-10月(前年比) 予想9.6% 結果11.7% 前回11.7%
東京時間12:30: RBA(豪準備銀行)政策金利 予想3.75% 前回3.50%

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
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