【米ドル/円 7-9月期米GDP改定値の大幅下方修正などを受け円買い優勢に】

昨日までの動向

米ドル/円は実体部がしっかりとした陰線引け。一時88.35-40円レベルと約1ヵ月半ぶりの安値を付ける展開となりました。

東京市場で米ドル/円は終始軟調に推移。
アジア株や米株価先物が下落したことなどを材料にリスク回避によるクロス円の売りが米ドル/円に波及し、米ドルは対円においてもじりじりと下げる展開となりました。また、月末の日本国内輸出企業の米ドル売り/円買い手当や週後半に控える米感謝祭休暇に向けたクロス円でのポジション調整による円買い戻し観測も米ドル/円の重しとして寄与したようです。

欧州市場に入り、米ドル/円は下げ幅を加速。
中国・上海株は、中国銀行業監督管理委員会による商業銀行の自己資本比率規制の強化が警戒され、銀行株を中心に売りが膨らみ、上海総合指数は前日比3.44%安の大幅下落となりました。中国銀行業監督管理委員会は中国銀行を始めとする中国本土の大手銀行に対し、信用リスクの強化を要請。自己資本比率を2010年に13%まで引き上げる通達を出したとの噂(同委員会はのちに噂を否定)が広まり中国・上海株が大きく下げる展開となりました。中国株の大幅下落を受け投資家のリスク回避の動きが再燃。円買い/米ドル買いが優勢となり、米ドル/円はクロス円での円買い戻しなどに牽引され一時88.55前後まで下げる展開となりました。

NY市場では、米ドルは主要通貨に対しほぼ全面安の展開となりました。
第3四半期個人消費(改定値)が結果2.9%と速報値の3.4%から大きく下方修正されたことに加え、米商務省が発表した同期の実質GDP(国内総生産)伸び率(改定値)は、個人消費の弱さを反映し、速報値の3.5%から2.8%に下方修正されました。また11月リッチモンド連銀製造業指数も結果(1)と、事前予想も(8)大きく下回る内容となりました。一連の米経済指標の悪化を受け、リスク回避の円買い/ドル売りが強まり、米ドル/円は一時88.35-40円レベルと約1か月半ぶりの安値を付ける展開となりました。

ただ、リッチモンド連銀製造業指数と同時刻に発表された11月の米消費者信頼感指数が、事前予想の47.5を上回る結果49.5となり、3カ月ぶりに改善したことなどを受け、米ドル売りの流れが一旦は弱まったもよう。その後は、米感謝祭を前に、様子見ムードが広がり、NY市場終盤にかけては、88円台なかばレベルを中心としたもみ合いとなりました。

本日の展望

目先サポートとして寄与していた88.60~80円レベルを下抜き、一時88.35-40レベルを示現。先週初の16日より形成してきた88.55~89.70円レベルのレンジを割り込んできたことなどから米ドル続落リスクを注視しての取引となりそうです。

88円台前半レベルでは買い意欲も強いとの声も多いものの、昨日安値88.35-40レベルを下抜けてきた場合、10月7日の安値88.013円を下値ターゲットとして視界内に捉えることとなりそうです。

一方、上値では一目均衡表の転換線が抵抗線として意識されそうです。米ドル/円はこのところ、この一目均衡表の転換線に上値を抑えられる動きを継続しています。本日、転換線は89.35-40レベルに位置しており、同レベルでは上値の重い展開が予測されます。

本日の主な指標

東京時間22:30:(米)新規失業保険申請件数 予想50.0万件 前回50.5万件
東京時間24:00:(米)ミシガン大学消費者信頼感指数-11月(確報値)予想67.0 前回66.0(速報値)
東京時間24:00:(米)新築住宅販売件数-10月 予想40.4万件 前回40.2万件

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。

【豪ドル/円】

昨日までの動向

豪ドル/円も実体部がしっかりとした陰線引け。23日の上昇分を失う動きとなりました。

東京市場を通じて米ドル/円は軟調に推移。日経平均が増資や円高への警戒感から続落。リスク回避からクロス円主導で円を買い戻す動きが強まり豪ドル/円もじりじりと値を下げる展開となりました。また週後半(26日)に控える米感謝祭休暇に向けた海外短期筋のポジション手仕舞いによるクロス円での円買い戻し観測も豪ドル/円の重しとして寄与したようです。

東京市場終盤から欧州市場序盤にかけて豪ドル/円は下げ足を加速。中国銀行業監督管理委員会が融資の目立つ商業銀行に対し信用リスクの管理強化を要請との一部報道を受け中国株が大幅下落。これを受け投資家のリスク回避による円買いの動きが強まり豪ドル/円は一時81円台割れを窺う展開となりました。

欧米市場に入り、豪ドル/円は一時乱高下。
欧州株やダウ平均先物が下げ渋る展開となったことなどを受け、リスク回避の動きがやや緩和され、豪ドル/円は小幅反発。81.00-05円レベルから81.65-70円レベルにまで一時値を戻す展開となりました。しかし、NY時間に発表された米経済指標の悪化をによりリスク回避の円買いが再燃すると豪ドル/円も再度下落。再び81.00-05レベルにまで下げる展開となりました。下攻め一巡後は、米感謝祭を前に、様子見ムードが広がり、NY市場終盤にかけては、81円台なかばレベルを中心としたもみ合いとなりました。

なお、NY商品市場では、当面米国が超低金利政策を継続するとの見方から安全資産としての金が買われ、終値で最高値を更新。一方、原油先物は米第3四半期経済指標や米住宅関連指数が事前予想を下回ったことから景気回復期待が後退、これを受け大幅下落となりました。

本日の展望

下値では雲の上限が引き続きサポートとして寄与しているもよう。今後、雲の上限は年末にかけ82円台前半レベルまで緩やかに上昇しています。今後、雲の上昇に沿って、同レベルを支持線とし下値を切り上げ、上昇に回帰となるか、または雲を下抜け下降トレンドに転換するかを見極める局面にあるようです。本日、先行スパン1は81.45-50円レベルに、また先行スパン2は80.55-60レベルに位置しています。

ただ、一目均衡表の遅行スパンは26日のローソク足を下抜け暗転を示唆。また、一目均衡表の転換線も下向き転換し基準線を下抜くデッド・クロス=売りサインを示唆していることが気がかりです。

一方、上値では一目均衡表の転換線や基準線線が位置する82.25~40レベルがターゲットとなりそうです。ただ、目先サポートであった83円台前半レベルが下抜け後は直近の抵抗線として寄与しており、同レベルでは上値の重い展開が予想されます。

本日の主な指標

本日主な豪州の経済指標の発表は予定されていません。

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

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