今日のまとめ

  1. インド人民党が単独過半数を確保し大勝
  2. 国民会議派は惨敗
  3. 「小さな政府」を目指す
  4. 外資歓迎、インフラ建設促進などが目先の課題
  5. インド人は変化を嫌う国民性
  6. これまでの実績には見るべきものは無い

インド人民党(BJP)が単独過半数確保

5週間に渡って繰り広げられてきたインド総選挙がようやく終わりました。結果はインド人民党(BJP)の地滑り的大勝に終わりました。

現地5月16日(金曜日)夜の時点でインド選挙管理委員会が発表した議席数は、インド人民党(BJP)が282議席、国民会議派が44議席でした。インド議会の定数は545なのでBJPの単独過半数が確定しました。

これは連立政権を形成するまでもなくBJPが多数派を占め、政権に就けることを意味します。なおBJPは過去にもインドの政権を握ったことはありますが、単独過半数は今回が初めてです。

由緒正しい国民会議派は惨敗

一方、建国の父、ジャワハルラル・ネールの政党で「ネール・ガンジー王朝」の支持母体である由緒正しい国民会議派がこれほどまでに惨敗したことも世界にショックを与えました。それだけインド国民はこれまでの国民会議派の采配に不満をもっていたということだと思います。

BJPはレーガン、サッチャーを彷彿とさせる「小さな政府」を目指す

BJPのリーダー、ナレンドラ・モディ氏はアメリカのロナルド・レーガン大統領ならびにイギリスのマーガレット・サッチャー首相が提唱した「小さな政府」という価値観を持っています。

今回、BJPが単独過半数を獲得したことでモディ氏が次期首相になることは確実となりました。

BJPは選挙戦を通じて、経済成長戦略に重点を置き、雇用創出を目指し、とりわけ製造業セクターをテコ入れすると公約してきました。

インドはこれまで「外資に対してフレンドリーじゃない」という印象を与えてきました。これを是正するのが最初の仕事だと言われています。

さらにインフラストラクチャ・プロジェクトの多くがお役所仕事で遅延しており、それらの早急な承認と工事開始が望まれるところです。

期待が先行していることに対する警戒感も

一方、BJPに過大な期待をかけることに対する警戒論もあります。

なぜならインドは大きな国で、様々な伝統や因習が残っており、インド人は変化を受け入れない国民性だからです。

またBJPそのものも小売業の外資への開放に対して反対の立場を取るなど、ちぐはぐさを残しています。

インド経済の基礎的要件は悪い

これまでの実績としてのインド経済のパフォーマンスは、むしろ新興国の中では悪い方に属します。

かつて10%以上あったGDP成長は去年、4.4%に鈍化しています。

その一方でインフレは高止まりしています。

政府は慢性的に赤字財政です。

さらに経常収支も赤字です。

このように経済の基礎的要件の面からはインドに買い材料はありません。

もし外国人投資家のセンチメントが暗転すれば、すぐにインド株は下落局面に入るリスクもあります。