今日のまとめ

  1. 政府の数量的目標は概ね達成出来ている
  2. 天然ガス、建設、サービス業などが好調
  3. インフレ率は比較的安定
  4. 対外債務はGDP比では下がってきている
  5. 外貨準備は増えているが未だ輸入の3.8カ月分と少ない
  6. 財政赤字はGDPの3.75%だが徴税基盤の拡充が期待できる

年次協議報告書

国際通貨基金(IMF)がミャンマーに関する年次協議報告書(ArticleⅣ consultation)を提出しました。

その中でIMFは、最近の政治改革によりミャンマーは世界経済の一員となるべく急いで経済改革を進めているけれど、経済改革を進めながら環境変化に順応し、国際支援を生かしてゆくのは簡単ではないと論じています。

これまでのところ政府の数量的目標は概ね達成出来ているものの、中央銀行法の可決の遅れが金融システムの確立の遅延原因になっていると指摘しています。

天然ガス、建設、サービス業などの好調でミャンマー経済は順調に成長しています。GDP成長率は2012/2013会計年度で6.5%でした。

ミャンマーのGDP成長率(%、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

インフレ率は2013年3月に〆た会計年度では前年比+4.7%でした。

ミャンマーの消費者物価指数(%、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

対外債務は金額ベースでは横ばいで推移していますが、GDP比ではどんどん下がっています。

ミャンマーの対外債務(%、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

経常赤字はGDPの4.5%に拡大しています。

ミャンマーの経常収支(GDPの%、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

海外からの直接投資は高水準です。

短期的には経済成長は少し加速すると見られており、3月末の時点で46億ドル(=輸入の3.8カ月分)ある外貨準備も増加する見込みです。

ミャンマーの経常収支(10億ドル、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

財政政策はインフラ整備と社会福祉支出のバランスが取られており、経済の安定に寄与すると見られています。財政赤字はGDPの3.75%であり、これは税収の好調を反映して縮小基調です。

ミャンマー政府の収入と支出(GDPの%、2012/2013年度は概算、2013/2014年度は予想、IMF)

景気には下ぶれリスクがあります。

IMFはミャンマー経済の長期見通しも明るいとしていますが、経済の潜在力を導き出すためには金融システムの監視と管理の体制を早く構築する必要があるとしています。

ミャンマーは過去に実施していた固定為替レートを廃し、2012年4月から「管理フロート制度」と呼ばれる為替体制を導入しています。また輸入の自由化、外国為替に関する制限も緩和しています。さらに銀行融資に関する制限も緩和しています。税制も改革中であり、これまでの極めて脆弱な徴税基礎は拡充される見込みです。

ミャンマー議会は憲法の見直しを通じて政治改革を押し進めていますが、次の焦点は2015年に控えた総選挙になります。最近起こった一連の官僚の入れ替えは、政府の統治能力の強化のための措置であると見做されています。