先週は、黒田総裁の発言をきっかけに円高進行し、14,000円割れで引ける

先週の予測では、7日(月)に翌日の金融政策決定会合の結果発表を控えて▼254の14,808円で引けたことで、再び14,000~15,000円の大きなレンジの中で14,500~15,000円の小レンジの動きを想定しました。 会合での結果が「現状維持」であれば失望売り(先週買われた不動産株や金融株の見切り売り)から日経平均は下げる可能性が高いものの、14,500円を割らないとみていました。但し、相場環境の悪化が加わればもう一段下げる場合もあるとしました。

結局、8日(火)の会合での結果は「現状維持」だったことで▼201の14,606円で引け、その後の黒田総裁の記者会見は、当面追加の金融緩和はないとの発言をしたことをきっかけに一段の円高進行となりました。これにIMFの今年の世界経済の成長率予想の下方修正、ウクライナ情勢の緊迫化、中国の経済指標の悪化などが加わり、為替が1ドル=101円台まで急騰したことで9日(水)の日経平均は▼307の14,299円と14,500円を割り込みました。さらに、週末11日(金)は、前日のNYダウが大幅下落となって柴田罫線では売転換出現となり14,000円をあっさり割り込み、13,885円まであって▼340の13,960円で引けました。4月SQ値は13,892円でしたので、終値では上回って引けています。

日本市場の引け後のアメリカ市場では、引き続いてこれまで相場を引っ張ってきたモメンタム銘柄やバイオテクノロジー株が売られ、さらに金融大手のモルガンスタンレー・チェースの決算が予想を下回ったことで▼143の16,026ドルの大幅続落となりました。16,000ドルの大台を守れるかどうかが注目となります。シカゴの日経先物は13,900円となっています。

 

今週はアメリカでの1-3月期決算発表の本格化をにらみ、安値圏でのもみあい

日経平均は、先週は、8日の黒田日銀総裁の「追加の緩和は考えていない」という発言をきっかけに為替が1ドル=103円台から101円台への急激な円高となり、日経平均も1週間で約1,100円近い下げとなって14,000円を割り込み、年初来安値更新となりました。日経平均は海外の材料に影響を受けやすくなっており、消費税引き上げ後の景気の腰折れ懸念もくすぶっていますが、日経225の予想1株利益は1,028円(10日現在)と昨年来の最高値であり、PERも13.7倍と1年5カ月ぶりの低水準(2012年11月14日の野田首相が衆院解散をした日が13.58倍)となっており、一方的に売られる理由がありません。今の下げは、買い手不在の中を先物主導で外国人が主導している相場ですので、需給関係が落ち着くのを待つところといえます。さらに下げるようですと、8日の発言のあと黒田総裁は追加の金融緩和の可能性を示唆していますので、追加緩和期待が再び台頭して下支えすることになります。

アメリカは今週から1-3月期の企業決算が本格化しますが、先週末に金融大手のモルガンスタンレー・チェースが予想を下回っており、決算発表を横目に安値圏でのもみあいが続きそうです。又、今月末から日本企業も決算を控えており、目先上値を試すのは難しいといえます。今週は、アメリカの決算以外に中国の重要な経済指標の発表もあり、場合によっては下ブレしますが、そうなると追加の金融緩和の催促相場となってきます。目先の動きは13,800~14,000円前後でのもみあいで、下にブレれば13,600円水準に、上にブレれば14,200円水準というところが想定されます。

本日14日(月)は、先週末のアメリカ株安を受けて売り先行スタートとなり、▼72の13,887円と11日(金)のザラ場での年初来安値13,885円をわずかに上回って寄り付くと、そこから下げ渋り、一時プラスに転じて14,008円まで上昇するものの、先週末の終値13,960円を挟んだもみあいとなり、結局▼49の13,910円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、アメリカ株式の下落と日銀の金融政策の「現状維持」と、なれば緩和期待で買われた不動産株が売られ、日経平均は下落することを想定しました。しかし、その場合は、目先の下値のメドとして25日線(14,743円)とその下の14,600円水準を想定していました。つまり、14,000~15,000円の大きなボックスの中で14,500~15,000円のもみあいを想定したことになります。

しかし、結果は半年振りの14,000円割れで、2月5日の13,995円の安値を更新する動きとなりました。きっかけは8日(火)の黒田総裁の会見で追加緩和期待が遠のき、アメリカ株式の下落や中国の経済不安も加わって円が急騰し、日経平均は急落となりました。先週1週間で1,000円を超える下げとなり、11日(金)は13,885円まで下がって、▼340の13,960円となりました。

今週は、アメリカの1-3月期の企業決算や中国の経済指標をにらみながら安値圏での一進一退の動きとなりそうです。先週はアメリカ株高と日銀の追加緩和期待という2つの株価下支え要因が薄れ、先物主導の売りで1週間で1,100円近い下げとなり、2月5日の13,995円を下回りました。チャートでは13,600~13,800円は抵抗帯であり、PERが13.9倍という水準や為替も101円台で踏み止まっていれば14,000円を大きく割り込むことは考えにくいとえます。

週明け14日(月)は▼72の13,887円と安寄りして、ここをこの日の安値に下げ幅を縮小し一時プラスに転じて14,008円をつけるものの、その後は材料不足から先週末の終値を挟んだもみあいとなり、結局▼49の13,910円で引けました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、高値圏で調整気味の動きとなりそうだとしました。金融政策への不透明感や1-3月期の決算の業績見通しの引き下げ懸念があるため、高値警戒感が強まっているともしました。

先週末の3月雇用統計が予想ほどでなかったことで材料出尽くしから下げたことを引き継いで、7日(月)は▼168の16,245ドルの大幅下落となりました。9日(水)になるとFOMC議事録が公開されたことを受けて利上げ懸念が後退し△181の16,437ドルと反発しました。しかし、この反発は買い戻しによるものであったことで、10日(木)は再びモメンタム銘柄やバイオテクノロジー株が売られ▼266の16,170ドルとなって柴田罫線で短期の売転換となりました。週末11日(金)も引き続いて売られ、金融大手モルガンチェースの決算が予想を下回ったことで下げ幅を拡大し▼143の16,026ドルで引けました。16,000ドル水準までは高値圏のもみあいの範疇に入りますが、ここを切ってくると調整が長引くことになります。

今週は、1-3月期決算発表が本格化し、寒波による悪天候とドル高から業績修正発表企業のほとんどが予想の引き下げとなっており、結果発表が注目となります。決算発表をにらみながら16,000ドル水準でもみあう展開となる可能性があります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、もみあいながらも円高方向に振れるかもしれないとしました。その背景は、アメリカの長期金利の低下によるドル売り・円買い、日銀の金融政策が現状維持であれば一部の失望売りを誘ってドル売り・円買いとなる可能性が高いからでした。

8日(火)に日銀金融政策決定会合で「現状維持」となり、黒田総裁が記者会見で追加の金融緩和は当面ないことを発言したことをきっかけに円高が進行し、海外市場ではIMFの今年の世界経済見通しを下方修正したことで、リスク回避の円高進み一気に101円台半ばまで円が買われました。10日(木)には101.33円まで円高が進行しましたが、週末11日(金)は101円台後半で引けています。

柴田罫線では2月5日の100.8円を円の高値、4月3日の104.1円を円の安値とするボックスの中で三角保ち合いとなっています。アメリカの低金利政策の長期化やウクライナ情勢の緊迫化や中国の経済指標が予想を下回ればリスク回避の円買いとなりますが、一方で黒田総裁が「追加緩和は考えていない」との発言以降、追加の可能性を示唆したことで、一方的な円高にはなりにくく、101~103円の中でのもみあいが続く可能性が高いといえます。

ドル/円