先週は今年最低水準の薄商いの中、円高進行し日経平均は14,500円割れ

先週の予測としては、7日(金)に為替が1ドル=103円台の円安進行となったことで先物主導で一段高となり△139の15,274円で引け、今年初めての4日連続の上昇となりました。そして引け後のアメリカでは、2月雇用統計が予想を上回って景気の回復期待が高まり、為替は1ドル=103.76円までドルが買われ、日経先物は15,315円となっていたことで、先週は堅調な動きの期待が持てました。但し、週末の14日(金)にメジャーSQを控え、ウクライナ情勢次第では荒い動きの可能性があるとしました。又、円安の進行が続かなければ、出来高・売買代金の増加が伴っていないために先物主導で振り回されることになるともしました。下値は、柴田罫線の先細三角形の型からは3月3日の14,652円を切らない限り、戻りを継続するとしましたが、結果的に週末の14日(金)に14,652円を大きく下回り、▼488の14,327円で引けました。

下げた理由としては、クリミアのロシアにつくかどうかの住民投票を巡って欧米とロシアが対立しウクライナ情勢が緊迫したことや、中国の経済指標の悪化で経済の減速懸念が生じたこと、アメリカの経済が大雪の影響で不透明となった部分があり、アメリカ株式が5日続落となってドルが売られ、又リスク回避の円買いもあり1ドル=101円台への急激な円高進行となったことにあります。 しかし、14日(金)の日経平均の下落は今年3番目の▼488の14,327円となり、▼3.3%という大幅な下落率ですが、NYダウは▼1.4%、上海株式は▼0.5%というように、日本株式のみ企業業績が好調の中、異常な下げ方となっています。 この理由として、12日(水)のメッセージで次のように書きました。『最近の株式市場は、薄商いの中を外国人主導の先物中心の動きとなっており、外国人が先物を買えば大きく上昇し、売れば大きく下落するのは当たり前のことで、日経平均の動きに一喜一憂することはないと思われます。14,500~15,000円、14,000~15,000円のどちらのボックス圏の動きになるのかわかりませんが、14,500円を割ってくると、買いそびれている人は買いチャンスとなります。』結局、ウクライナ情勢の緊迫化、中国経済の減速懸念を悪材料に先物主導で売られ、14日(金)は一気に▼488の14,327円と14,500円を割り込んで引けました。

 

クリミア共和国の結果を受けて欧米とロシアの対応に注目

今週は、ウクライナ情勢とアメリカのFOMCに注目となります。クリミア共和国におけるロシアへの編入を巡る16日(日)の住民投票は、編入賛成派が95.5%にのぼり圧勝となっています。今後この結果に反対する欧米とロシアの緊張が高まればリスク回避の円高となり、日本経済は下値模索の展開が想定されます。その下値は、チャートのフシからみても、東証1部のPERからみても(先週末PER14倍水準。15年3月期の収益予想から考えると更に低下)14,000円水準以下は割安となりますので、もし日経平均が急落して14,000円を割っても一時的であり、そこは買いチャンスと考えられます。

柴田罫線では2月5日の13,995円の安値からの上向き先細三角形(B)を先週末の14日の14,327円で下放れする形となりましたので、14,000~15,000円のボックス圏の下限を試す動きとなってきました。日足チャートでは、25日移動平均線(14日14,790円)、200日移動平均線(14日14,505円)や週足チャートでは、2月以降の下値支持線となっていた52週移動平均線(14日14,371円)も下回り、先週末の14,327円の終値は3月SQ値14,429円を下回って引けており、今週は2月5日の13,995円が意識されます。

現時点での下値ポイントは、ウクライナ情勢次第で2つの下値ポイントが想定されます。欧米とロシアの間で経済制裁対応がエスカレートし武力衝突のリスクまで高まれば、円高進行(100円台)となって日経平均は13,600円台ぐらいの下げは想定されるでしょう。欧米とロシアの応酬が限定的であれば14,000~15,000円のボックスの下限を試すことになります。

短期的には、薄商いの中を先物主導で大きく下げていますが、中長期の上昇トレンドは依然上昇基調にあり、特別悲観することはありません。但し、日本株式の本格的な戻りは日銀の異次元金融緩和の第2弾を待つことになります。個別株に関しては、業績好調銘柄の安いところを仕込んで反発を待つスタンスとなります。

本日は、後場にウクライナ情勢への不透明感から14,203円まで下落し、大引けは▼49の14,277円で引けました。商いは盛り上がらず、出来高は19.9億株、売買代金1兆8,680億円となっています。

(指標)日経平均

先週の予測では、為替が引き続き円安の動きとなり、ウクライナ情勢が落ち着いていれば堅調な相場展開となって先細三角形の上放れも想定されるところでしたが、週末にSQを控えており、先物主導での荒い動きも考えられるとしました。

結果的に、為替はウクライナ情勢の緊迫化や中国の景気減速懸念からアメリカ株式が下落したことでリスク回避の円高となりました。1ドル=101円台半ばの円高進行となって3日続落となり、週末14日(金)は▼488の14,327円の急落となって先細三角形の下放れとなりました。

今週は乱高下が警戒されます。14日(金)は日本市場の引け後の海外市場で円高・ドル安が進み、シカゴ日経先物は14,150円となっており、クリミアの住民投票の結果も絡んで売り優勢で始まりそうです。14,000円水準を下回れば企業業績からみても売られ過ぎとなり、絶好の買いチャンスとなると考えられます。

週明け17日(月)は、クリミアのロシアへの編入を巡る欧米とロシアの対立を警戒し、一時14,203円まで下げて▼49の14,277円で引けました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、引き続きウクライナ情勢が重しとなり、又寒波の影響で経済指標も読みにくく、高値圏でのもみあいを想定しました。

結果的に、ウクライナ情勢や経済指標の不透明さから利益確定売り優勢で12日(水)までは3日連続の小幅続落でしたが、13日(木)になると中国経済の減速が改めて意識され、クリミアの住民投票を巡ってウクライナ情勢が緊迫化したことで▼231の16,108ドルの急落となり、週末14日(金)も▼43の16,065ドルの5日続落となりました。

今週は、クリミアのロシア編入の結果を受けて、欧米は結果を認めない方針のため、地政学的リスクが高まり神経質な展開が想定されます。一方で19日のFOMCで金融政策に変化があるかどうかに注目するところです。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、前週末のアメリカの雇用統計の改善を受けてアメリカの景気回復期待からドルが買われ、ウクライナ情勢が落ち着いていれば引き続きドル買い・円売りの流れが続くとしていました。

しかし、クリミアの住民投票を巡って欧米とロシアが対立しウクライナ情勢が緊迫、更に中国の経済指標の悪化で景気減速懸念が生じ、アメリカ株式は5日続落となり、為替はリスク回避の円買いとなって週末14日(金)は1ドル=101円台前半までの円高進行となりました。

今週は、ウクライナ情勢とFOMCが注目となります。クリミアの住民投票の結果、欧米とロシアの対立が深まればリスク回避の円買いが強まる可能性が高く、又FOMCでイエレン議長が低金利政策をいつまで続けるかを示す「金融政策運営方針」を見直すかによってドル買いかドル売りのどちらかに振れることになります。100~103円のレンジの動きが想定されます。

ドル/円