先週は、上値抵抗ゾーンとした14,800円水準となったあと、急落

先週の10日(月)は△255の14,718円の大幅続伸となりましたが、予測としては、目先の戻りを試す展開もここからは上値は重いとし、目先の上値のフシは柴田罫線では26週移動平均線(14,827円)と同じ14,800円水準としました。ここを突破して15,000円台にのせるような動きとなれば別であるが、ふつうは大きくリバウンド(2月5日の13,995円の安値から)したあと再度下値確認の動きとなってダブル底(もしくは2番底)を形成して、その後本格的な戻りに入ることになるとしました。

11日(火)の休日明けの12日(水)は14,874円まであって14,800円で大引けとなり、翌日の13日(木)は▼265の14,534円、週末14日(金)は14,243円まで下落して▼221の14,313円で引けました。先週は「底打ち確認はまだ早い」としましたように、14,800円台にのせたあと急落となりました。但し、私は急落のきっかけは新興国通貨安の再燃という見方をしていましたが、新興国通貨安は一服しており、急落した悪材料は特別見当たりません。敢えて探せば需給関係の悪化を利用して先物主導で売り仕掛けで下落させ、急上昇後の利益確定売りや手仕舞いを誘ったということでしょう。トレンドを無視した「短期の大きな上下動はヘッジファンドの投資の結果」というコメントを書きましたが、今週もヘッジファンドの先物主導の売買となっており、先週の動きもそうだったといえます。

 

日本株式市場はヘッジファンドの動きに左右される展開へ

先週は、リバウンドしても底値確認はまだとして、14,800円水準を上値に2月5日の13,995円に対するダブル底(もしくは2番底)を試す動きになるとしました。結果的に、先物主導で2月5日の13,995円の安値から12日の14,874円まで上昇後、同じく先物主導で今度は急落となり、週末14日(金)は14,243円まで下落して▼221の14,313円で引けました。決算発表は好調であるにもかかわらず、先物市場に振り回される展開となっています。つまり、今の日本の相場は「ヘッジファンドがどう動くか」というのが大きなポイントとなっているようです。NYダウはゆるやかに戻りを試しているものの、日本株との連動性は薄まっているのもヘッジファンドの影響でしょう。海外投資家はアベノミクスへの期待が薄まり、為替も101円台で高止まり(3月期末のヘッジファンド解約45日前告知ルールで絡んだ円買い観測)しており、ポジション圧縮の動きとなっているようです。

 

~~ 当面の相場展開の2つのシナリオ…ヘッジファンドの動きにかかる ~~

(1)新興国通貨問題が起こらない場合

ヘッジファンドが新興国の通貨安を仕掛けない場合は、新興国問題は一服が続き、日経平均の下値は先週想定したように14,000円前後でのダブル底形成か2番底を形成して日柄調整に入り、そのあと本格的に戻りを試す動きとなることが想定されます。柴田罫線では、陰線の終値で13,980円を切らずに14,800円以上で引けると一段高の形となります。

 

(2)ヘッジファンドが新興国の通貨売りを仕掛ける場合

11日(火)にイエレンFRB議長は、新興国通貨安は国際市場の変動に対して「実質的なリスクでない」と判断を示しましたが、果たしてそうかということをヘッジファンドは試す可能性があります。FRBの量的緩和の縮小開始で「ドル・キャリートレード」の手仕舞いにより新興国から資金の流失が続いており、今後もFRBのQE3の縮小継続となれば資金の流失は止まらず、新興国通貨問題は再びヘッジファンドのターゲットになる可能性は大きいといえます。これは同時にFRBや世界がどう動くのかを試してくることになります。そうなれば、日経平均の下値は14,000円を切って昨年8月28日の13,188円を試す動きも想定しておく必要があります。

 

2月17日(月)は△30の14,343円で寄り付いたあと10-12月期GDPの発表が予想を下回ったことで14,214円まで下落し、日銀の早期の追加緩和期待が浮上して再びプラスに転じ14,427円まで上昇するものの、終値は△80の14,393円でした。為替が101円台の水準で高止まりしているため上値を追う動きとはなりませんでした。今のところシナリオ(1)の動きを想定していますが、週後半の20日(木)の2月中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の内容次第では世界の株式市場に悪材料を与える懸念もあります。

(指標)日経平均

先週の予測では、自律反発後は上値の重たい展開となるとし、目先は14,800円水準が上値抵抗ゾーンになるとしていました。そして、ふつうは反発後の後は再度下値を確認する動きが出て、ダブル底もしくは2番底を確認してその後本格的な戻りになるとしました。

10日(月)は△255の14,718円の大幅続伸となり、11日(火)の休日明けの12日(水)は、ザラ場では14,874円まで上昇するものの終値では上げ幅を縮小し14,800円で引けました。そしてここをピークに先物主導で売られ、13日(木)は▼265の14,534円、週末14日(金)は前場の初めには14,678円まで反発するものの1ドル=101円台の円高をきっかけに一時14,243円まで急落して、▼221の14,313円で引けました。

今週は、新興国問題が一服していれば下値は14,000円前後でダブル底もしくは2番底をつけて海外指標をにらんで一進一退のもみあい(日柄調整)が想定されます。

週明け17日(月)は△30の14,343円で寄り付くものの14,214円と2月14日の安値14,243円を更新し、ここから大きく切り返し後場には14,427円まで上昇、終値は△80の14,393円となりました。柴田罫線で確率の高い買転換が出るのは終値で14,800円以上で引けてからですが、その前に2月SQ値14,536円、200日移動平均線(17日14,467円)をクリアーできるのかどうかとなります。逆に戻りが弱く13,980円を終値の引線で引くとろく売となって一段安の形となります。今週は、週後半の海外指標は要注意といえます。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、新興国問題が一服していることでNYダウは戻りを試す展開が想定されるとしました。但し、イエレン議長の11日(火)の議会証言で金融政策の内容に変化があれば上値は限定的になるともしました。

11日(火)のイエレン議長の議会証言は量的金融緩和の縮小継続を確認し、新興国通貨安に伴う国際市場の変動はリスクではないと判断を示したことで買い安心感から△192の15,994ドルの大幅上昇となりました。その後は弱い経済指標が発表されるもののゼロ金利政策継続期待が下支えとなり、13日(木)は△63の16,027ドルと1月23日以来の16,000ドル台を回復し、週末14日(金)は△126の16,154ドルと続伸しました。

今週は、この冬の歴史的な大寒波がアメリカの景気や金融政策に及ぼす影響が注目となり、16,200ドル台からは上値が重くなることが想定されます。特に小売売上高は予想を下振れしており、小売関連の決算発表に警戒感があります。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、新興国の通貨安一服が続くのかどうか、そのために11日(火)のイエレン議長の議会証言の内容を待つとするものの、基本的には相場の方向性は出にくいとし、101~103円のレンジを想定しました。

イエレン議長は11日(火)の議会証言で新興国通貨安に伴う国際市場の変動はリスクではないと判断を示しましたが、現状では通貨安とはなりませんでした。ほとんど1ドル=102円台前半での小動きでしたが、週末14日(金)は米国債償還利払いの円買い観測や製造業指標を嫌気したドル売りで101.57円まで下落し、101.85円で引けました。

今週は、先週末の流れを引き継いでやや円高・ドル安の方向となりそうです。イエレン議長が新興国の動きと関係なくQE3の縮小を進める姿勢を示したことで新興国不安が再燃する懸念があり、中国の理財商品を巡る懸念もあり、リスク回避の円買いとなりやすい状況です。今週は100~103円のレンジを想定。

ドル/円