週初めの急落からいったん急反発するもFOMCの結果を受けて再急落

先週のタイトルは「年数回しかない買いチャンスの到来」とし、下値は29日のFOMCの結果次第としました。その場合の下値ポイントとして、15,000円を切ると強い抵抗ラインのある14,800円水準、ここを切ると14,500円水準としています。

先週の週初めの27日(月)は、新興国通貨安懸念で世界同時株安の流れから▼385の15,005円と大幅続落で始まるものの、29日(水)は新興国の通貨安不安が利上げによって落ち着いていることや、アメリカ株式の反発を受けて△403の15,383円の急反発となりました。市場では目先底を打ったとの見方もありましたが、この日のチャート分析で、このまま上昇が続くには材料不足であり、調整不足であるとコメントし、FOMCの結果待ちだとしました。

市場は、新興国の通貨安を止める意味で、FRBは量的金融緩和の縮小規模を小さくするか、延期するかを期待していたところ、FOMCでは量的緩和の縮小規模を前回と同じく100億ドル減額することを発表し、新興国通貨安問題にはふれなかったことで通貨安を放置するとの見方から再び新興国の通貨が売られ、30日(木)は▼316の15,007円となりました。週末31日(金)はアメリカ株式の反発から日本株式も反発して始まりましたが、後場になるとユーロ安・円高をきっかけに先物主導で下げ幅を拡大し、売りが売りを呼ぶ展開となって一時▼242の14,764円まであり、大引けにかけては買戻しが入って▼92の14,914円となりました。

先週の日経平均の大きな上下動は、新興国通貨安懸念を背景に投資家心理が弱気に傾いている中ヘッジファンドなど投機筋による売り仕掛けや買戻しによるものといえます。好決算発表銘柄は素直に上昇しており、相場全体が悪化しているわけではありません。

 

株式の下落は新興国の通貨安不安と需給関係の悪化

世界の株式市場下落の要因は色々言われていますが、主因はアメリカのQE3縮小による新興国からの資金の流失が通貨安を引き起こし、その結果金融不安に対する懸念が株式市場を下落させているといえます。週末31日(金)のアメリカ市場は、12月の個人消費は予想を上回ったものの新興国不安が根強く、企業決算も冴えなかったことで一時▼231の15,617ドルまであり、▼149の15,698ドルで引けました。シカゴの日経先物は大証の日中終値(14,850円)を下回る14,610円となっています。

先週の予測コメントで14,800円水準は強力な下値抵抗ラインになるとしており、NYダウでは15,700ドルが同じく下値抵抗ラインとなっており、1月29日(水)に15,708ドルまであって反発したことで、新興国通貨安が落ち着けば日米とも目先反発が期待できました。しかし、FRBが新興国通貨安問題に言及せず放置していることで不安が残ったままになっており、株価はさらに下値を試す形となっています。

日本市場の場合は、以上の新興国不安を背景にヘッジファンドの短期の利益をとるための買い仕掛けや買い戻しによる大きな変動となっています。昨年の11月中旬から12月末にかけて日経先物が日経平均の現物を上回る局面が続き、先物売り・現物買いのポジションが膨らみました。しかし、今年の初めから日経先物が現物を下回るという逆ザヤとなって裁定解消売りの流れが継続しています。その結果、海外勢の売りが裁定解消売りを誘発し、需給要因に振り回されて先週のように1日の動きの中で上下300円以上も上下動するという動きになっています。

 

今週は、下値確認の動きへ。1月米雇用統計に注目

今年初めの予想では、消費増税導入前の3月までは基本的に強い相場が続き、12月30日の高値16,320円を上回れば18,000円に向けて上値を試す可能性があるとしていました。しかし、後半に出てくる問題として、想定していたアメリカのQE3縮小に伴う金融市場の混乱への懸念が早くも新興市場の通貨安という形で出現したことで、悪材料を先取りする形となってきています。新興国は金利引き上げという形で自国通貨を防御していますが、原因はアメリカのQE3縮小ですので、FRBがこのまま新興国問題を放置してQE3縮小を継続していくのかどうかとなります。新興国の通貨安による混乱を収拾できるのはFRBだけですので、イエレン新議長がどうこの問題を片付けるのか手腕を試す展開になっているともいえます。そうであればNYダウが抵抗ラインの17,000ドルを割り込んでいますので、もう一段下げて何らかのFRBの対応を引き出すことも考えられます。そうなった時、日経平均も当面の安値をつけての反発ということになります。

日経平均の下値ポイントをチャートでみると、先週コメントしたように14,800円水準(26週移動平均線2月3日時点14,837円)を切ると14,500円水準としていました。但し、上述しましたようにヘッジファンドの先物主導による売買が1日の方向性を決めますので、下への行き過ぎの可能性もあります。又、ヘッジファンドのNYダウや為替の動きを利用して売り仕掛け・買い戻しを実行していますので、短期売買の人は目先の動きに振り回されることになります。しかし、好業績の個別株の動きをみていると、それほどの大きな動きは出ていませんので、安いところはじっくり買い下がっていき、次の大きな反発を待つことになります。

本日は、アメリカ株安、円高を受けて▼125の14,788円で寄り付き、一時14,648円まであって前引けは▼185の14,728円でした。先週と同じように、先物を中心とした目先の需給に振り回されるという相場になっています。後場になっても新興国経済に対する不安が消えず、下げ幅を拡大して▼295の14,619円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、15,000円を挟んだ下値模索の展開になるとし、下値は終値で12月6日の安値15,112円を終値で切ると14,800円水準になるとしました。

結果的に、27日(月)は▼385の15,005円と終値で12月6日の安値15,112円を切ったものの、29日(水)は△403の15,383円と反発しました。しかし、この日の分析では、このまま上昇するには材料不足であり調整不足としましたように、翌30日(木)は▼376の15,007円と大幅急落し、週末31日(金)は一時14,764円まで下落し▼92の14,914円で引けました。その後のアメリカ市場では、アメリカ株安・円高を受けてシカゴ日経先物は14,610円となっていました。

今週も新興国の通貨安不安があり、先物主導で先週に引き続き不安定な展開となる可能性があります。特にアメリカでは、重要な経済指標が相次ぎ、特に週末7日(金)の1月雇用統計が注目となります。下値は終値で14,800円水準と14,500円台を想定していますが、メッセージで解説したように、ヘッジファンドの先物を利用した売り仕掛け・買い戻しにより、行き過ぎの下げも考えられます。目先の上値は15,200円水準、その上は15,400円というところです。

週明け3日(月)は、通貨安から新興国に対する不安が消えないなか先物主導で売られ▼295の14,619円となり、2回連続でろく売出現となりました。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、下値模索の動きになるとし、そのカギを握るのは29日のFOMCのQE3の縮小規模(毎月100億ドルの減額)をどうするかにかかるとしました。

先週は、ロシアやトルコ、南アフリカなどの通貨安をきっかけに、欧米株式市場でもリスク回避の動きが強まり、アメリカ市場では週前半は自律反発の動きとなっていましたが、新興国の通貨安が再燃すると29日(水)は▼189の15,738ドルと3カ月ぶりの安値をつけ、30日(木)は昨年10-12月期GDPの好調さを受けて△109の15,848ドルと反発するものの、週末31日(金)は再び安値を更新する15,617ドルまで下げて▼149の15,698ドルで引けました。

今週は、新興国の通貨安不安が長引くかどうかが相場の行方を左右することになります。それに影響を与えるのがアメリカの経済指標の発表、特に週末7日(金)の1月雇用統計となります。さらに下値を探るか、値ごろ感からいったん買いが入るかに注目となります。31日(金)の終値15,698ドルは75日移動平均線(15,963ドル)や12月12日の安値15,703ドルを切っていますが、26週移動平均線(15,679ドル)でかろうじてサポートされています。ここを切ると15,400ドル水準が抵抗ラインとなります。今のところ、2012年11月16日の12,471ドルからの上昇トレンド(B)を切るような悪材料にはならないと思われます。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、FOMCや中国の理財商品が焦点になるとし、102~104円のレンジを想定しました。

結果的に、中国の理財商品のデフォルト懸念は中国政府により解消されましたが、FOMCでは期待されていたQE3縮小の規模が既定通り実施されたことで再び新興国の通貨安懸念が進み、欧米株式が下落となって為替はリスク回避の円高の動きとなりました。29日(水)は新興国通貨安が一服したことで、ドルは日本市場で103.4円まで買い戻されましたが、引け後のアメリカでFOMCの結果を受けてリスク回避のドル売り・円買いとなって102.1円までドルが売られ、週末31日(金)は一時101.96円まで円高進行となりました。

今週は、アメリカで重要な経済指標の発表が予定されていますが、新興国通貨安不安で不透明感が漂っており、市場が安定を取り戻せるかどうかの重要な週との指摘がされています。注目は週末7日(金)の1月雇用統計の結果ですが、予想を上回れば円安・ドル高の方向に動きことになります。101.5~103.5ドルのレンジを想定。

ドル/円