先週は、週末の24日(金)に終値15,391円となって追加の売法則出現

先週の予測では、日経平均は大きな上下動を繰り返しているが、NT倍率の修正が続いているために、日経平均の指数に惑わされず出遅れの中小型株を個別物色していく場面だとしました。チャートをみると、日経平均は1月14日の15,383円を安値に1月16日まで上昇し、終値では1月15日の15,808円が上値となっており、基本的には日柄調整であれば15,400~15,800円の中でのもみあいのあと上値を試すことになるとしました。しかし、15,383円を終値で切ると15,100円台が下値ポイントになるとしていました。

先週は、週半ばまでは為替の104円台前半から後半への円安を背景に日経平均は戻りを試す動きとなっていましたが、23日(木)の前場に15,958円と大台の16,000円目前となるものの、後場になると中国の経済指標の悪化をきっかけに失速し、▼125の15,695円となりました。さらにこの日の引け後のアメリカ市場で、中国の経済指標悪化とアメリカの経済指標の悪化が重なったことでドルの全面安となって株も売られ、NYダウは▼175の16,197ドルの大幅安となりました。これを受けて週末24日(金)の日経平均は先物主導で売られ、一時15,288円と1月14日の安値15,383円を下回り、終値は▼304の15,391円となって柴田罫線でろく売という追加の売法則が出現しました。1月14日の安値15,383円を終値で切ると15,100円台(12月6日の安値15,112円)としましたが、視野に入ってきました。

 

新興国懸念が台頭し、目先は様子見へ

今年の予測で、日経平均は中長期上昇トレンドを維持するが、昨年のようなスムーズな上昇ではなく、波乱要因を含んでいるとし、その中で中国問題やQE3縮小の問題をあげていました。先週末は、中国の経済指標の悪化をきっかけに世界同時株安の様相を呈してきました。

中国の経済指標の悪化と同時にアルゼンチンのペソが外貨準備の不足や経常赤字などを理由に12%の急落となり、それがトルコ、南アフリカなどに波及しています。その根底にあるものは、今月から始まるアメリカの量的金融緩和の縮小により、新興国から投資資金が流出する懸念があるためです。そのため、今週は28~29日のFOMCが注目となります。想定通り実施すれば、目先は材料出尽くしとなるのかどうか、縮小の規模が拡大したり縮小したりすれば、FRBの金融政策の変更となって混乱を起こすことになるのかどうかなど、様子見するところとなります。

週末のアメリカ市場は、アルゼンチンなどの新興国への懸念からアジア、欧州株式が大幅下落となったことでアメリカ株式も売り先行で始まり、恐怖指数といわれるVIX指数も10月15日以来の水準まで上昇(18.14)し、さらに企業決算も予想を下回るものが多く、又債務上限問題への不安も再燃し、NYダウは▼318の15,879ドル、ナスダックは▼90の4,128Pの急落となりました。

日米の経済指標に売転換出現、調整長引く可能性も。まずはリバウンド狙いで

柴田罫線をみると、今年になって日経平均は1月9日に15,880円で売転換が出現し、さらに先週の24日(金)にろく売という追加の売法則が出現しました。トピックスは14日(火)に1,269Pで売転換出現となっています。アメリカではNYダウが23日(木)に16,197ドルで売転換出現となり、24日(金)に▼318の15,879ドルと急落しました。トピックスは大きく下げていますが、まだ売法則は出ていません。

日経平均は、基本的に日銀の異次元の量的緩和を通じて円安を促し、主力の輸出株中心に上昇する形となっていますが、先週の24日(金)に1ドル=102.25円で引けて、柴田罫線ではドルの売転換(円の買転換)の出現となっています。日足でみてみると、12月30日の105.4円、1月2日の105.4円とダブル天井となっており、又中長期トレンドでは2007年6月22日の124.1円の高値から2011年10月28日の75.32円の安値までの下げ幅の61.8%戻しが105.49円ですので、達成感からの調整入りの見方もできます。次に円が105.4円を更新する円安となってくるのは4月の消費増税に合わせて日銀の異次元の金融緩和第2弾が行われると予想されていますが、そのタイミングを待たなければならないかもしれません。

 

下げ止まりはFRBの金融政策次第だが、15,000円水準以下は買いチャンス

現在の急落は、今年の後半にはアメリカの量的金融緩和策(QE3)が終わるために、今月より資産買い入れ額を100億ドルずつ縮小していくことで、新興国市場から資金が流出するとの懸念からアルゼンチンのペソが急落し、他の新興国にも波及している結果を受けての急落といえます。以前にも指摘しておきましたが、欧米株式は史上最高値圏にあるため、何かきっかけ次第では大きな下げになるとしていました。上がり過ぎたものは下げるのが当然ですので、この下げは格好の買い場となります。

どこで下げ止まるかは、FRBが28~29日のFOMCでQE3の縮小幅をどうするのかが注目となります。先週末のNYダウの▼318の15,879ドルは、QE3の縮小幅を拡大するのではないかという懸念から始まっていますので、現在の世界同時株安的な様相やドル安に対してFRBがどういう対応をするのかを見極める必要があります。その対応によって、さらに一段安となるのか、それともこの水準から反発していくのかとなります。

日経平均は、先週の予測では、14日(火)の安値15,383円を切っても昨年の12月6日の15,112円を守ることを前提にして、下値ポイントを15,100円台としていましたが、アルゼンチンペソの急落という予想外の悪材料が出て、先週末の24日(金)のシカゴ日経先物は14,930円までありました。15,112円を切ると心理的なフシは15,000円ですが、次の下値抵抗ラインは14,800円水準となります。この14,800円水準は強力な下値抵抗ラインとなりますが、ここを切ると14,500円が次の下値抵抗ラインとなります。そこまでいくのかどうかは、FRBの金融政策に変化があるのかどうかを確認する必要があります。どちらにしろ、アメリカの景気は回復しており、日本もアベノミクスによる中長期トレンドは続きますので、日経平均の15,000円以下は、好業績の個別株は買っていくところです。

本日は、前場はシカゴ先物の14,950円にサヤ寄せする形で14,933円まで下げた後は下げ渋り、前引けは▼382の15,009円でした。日銀のETF買いが意識され、又為替がやや円安の動きとなったことで後場は15,000円台でのこう着状態となり、▼385の15,005円の大幅安で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、基本は1月14日の終値15,422円から1月15日の終値15,808円の間での値動きを想定しました。結局、為替に左右されて先物主導の大きな上下動となり、ザラ場の高値は1月23日の15,958円、安値は1月24日の15,288円でしたが、終値では高値は1月22日の15,820円、安値は1月24日の15,391円と15,422~15,808円を基本としたレンジを上下共に少しはみ出すものの、ほぼ想定して動きとなりました。但し、1月9日の15,880円の売転換に続き、1月24日の15,391円でろく売という追加の売りの形が出て、8月28日の13,188円からの短期の上昇トレンド(B)を明確に下に切ってきました。

今週は、15,000円前後での下値模索の展開となりそうです。特に終値で12月6日の安値15,112円を切ると目先下放れの形なり、次の下値ポイントは14,800円水準となります。まずは28~29日のFOMCでの量的緩和縮小が新興国の通貨安を通じて新興国の経済に与える影響を見極めるため、目先は安値圏での動きとなりそうです。そのため、本格化する企業決算の元で好業績の個別株中心の相場となることが予測されます。

週明け27日(月)は、前場に14,933円まで下げたあとETF買いが意識されて下げ渋り前引けは▼382の15,069円となり、後場には15,000円台でもみあい、終値は▼385の15,005円と何とか15,000円の大台を守りました。この水準から反発するのか、それとももう一段下が出るのかはFOMCの結果次第となります。

日経平均

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、チャート上16,240ドルを終値で切ると柴田罫線では売転換出現となって値幅調整が必要になるが、そうでなければ日柄調整が続くことになるとしました。又、決算が本格化するが、これまでのところ決算が低調な内容となっているため、上値を試すのは難しいともしました。

連休明けの2日間はNYダウは続落するものの、ナスダックは高値を更新するというまちまちの動きでしたが、23日(木)は1月の中国製造業指数が悪化、さらにアメリカの経済指標も予想を下回ったことで▼175の16,197ドルと続落し、柴田罫線で売転換出現となりました。そして週末の24日(金)は、アルゼンチンのペソの急落から新興国の通貨安に波及し、世界同時株安の様相となって▼318の15,879ドルの急落で引けました。

今週は下値模索の動きとなりそうです。そのカギを握るのは28~29日のFOMCで、資産購入額を毎月100億ドルずつ減額することを実行するかどうか注目となります。このQE3の規模の減少によって新興国から資金を引き上げられる懸念から新興国の通貨安の一因となっているため、FOMCでFRBの政策金利の手直しがなければ予想外のドル売り・円買いとなってNYダウも売られる可能性があります。下値ポイントは、まずは12月12日の安値15,703ドルを守れるかどうかとなります。ここを切ると10月9日の14,719ドルの安値から12月31日の16,588ドルまでの上昇幅の1/2押し(15,654ドル)が下値ポイントとなります。その下は15,387ドル水準というところです。

NYダウ

 

(指標)ドル/円

先週の予測では、翌週にFOMCを控えて主な経済指標の発表もなく、手掛かり材料に乏しいために103~105円のレンジを想定しました。

20日(月)から22日(水)までは104円台半ばでの狭い動きでしたが、23日(木)には中国の経済指標をきっかけに欧米株式が急落し、ドルの全面安となって一時102.98円まで下落し、その後は103円台前半の動きとなりました。ここまでは想定のレンジの動きでしたが、24日(金)の引け後のアメリカ市場でアルゼンチンのペソが急落し、新興国通貨安に波及したことでリスク回避の円買いとなって102円までの円高となり、102.25円のドル安・円高で引け、売転換出現となりました。

今週はFOMCや中国理財商品が重点となります。FOMCで今月からスタート予定の毎月100億ドルの資産買い入れ額の縮小が決定される予定ですが、延期されたり規模が小さくなれば円安が進みにくくなります。又、今週末に償還期限を迎える中国の理財商品のデフォルト懸念が高まっており、リスク回避の円買いとなる可能性もあります。102~104円のレンジを想定。

ドル/円