はじめに

今回のアンケート実施期間は、3月31日~4月2日でした。

3月の日経平均の動きを振り返りますと、3月末の終値(14,827円)は前月末比で約13円安となり、月間ベースであまり変わらない結果でしたが、日々の値動きは比較的大きく、前月と同様に月間の値幅は1,000円を超えています。

ただし、値動きが大きかった割には方向感に乏しく、月間を通じて2段階のレンジ相場を形成しました。第1段階は月初からメジャーSQ日前日までの期間(3月1日~13日)で、25日移動平均線と75日移動平均線に挟まれた範囲、14日以降はそのSQ値(14,429円)を挟んだ上下約240円の範囲でのもみ合いが続き、最後になってこのレンジを上抜けしたところで月末を迎えました。

今回のアンケートは、相場が上昇基調となった月末に実施されたわけですが、日経平均の1カ月先の見通し以外は、株高・円安の見通しが多くなる結果となりました。消費増税の直前で不安が燻る一方で、日銀の追加緩和期待が高まっていた地合いが反映されたと思われます。

次回も是非、本アンケートにご協力頂ければ幸いです。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田 雅之

1.日経平均の見通し

  • Q1:3月31日と1カ月後の日経平均の見通し DI=2.39
    (2月24日と1カ月後の日経平均の見通し DI=11.38)
  • Q2:3月31日と3カ月後の日経平均の見通し DI=11.63  
    (2月24日と3カ月後の日経平均の見通し DI=△0.95)

今回の日経平均見通しDIですが、1カ月先のDI(2.39)が前回(11.38)から後退する一方、3カ月先のDIについては、前回(マイナス0.95)から再びプラスに転じ、11.63と大きく改善しました。前回は1カ月先のDIが改善、3カ月先のDIが悪化でしたから、前回とは正反対の結果となりました。

今回のアンケートは、3月31日~4月2日の消費増税を挟んだ時期に実施されましたが、この期間の日経平均は250円超の上昇となっていました。その背景には、日銀の追加緩和が「思ったよりも早く実施されるのでは?」という思惑があったようです。

とはいえ、回答の内訳(強気・中立・弱気)の比率を見ると、前回に続いて、1カ月先・3カ月先ともに中立の回答が多数派を占めており、中長期的な見通しの不透明感や投資スタンスの慎重さが根強い状況に大きな変化は生じていないと見て良さそうです。

消費税が増税されるにあたり、景気や株式市場への影響について、「駆け込みの反動で落ち込んだ後、予算執行の前倒しや政策期待などで持ち直す」というシナリオが大半となっていますが、では、どのくらい落ち込んで、どのくらい持ち直すのか、そしてどのくらいの期間続くのか等についての見方には、かなりのバラツキがあります。

また、今回のアンケート期間中に日銀短観の発表がありました。足元のDIが、大企業の製造業で17となり、2007年12月調査以来の高水準となりました。さらに、非製造業については24で、1991年の調査まで遡れるぐらいの高水準でした。ただし、今回注目されたのは消費増税後の影響を見極めるため、3カ月先の見通しを示す先行きのDIの方で、こちらはそれぞれ、8と13になり、かなりの落ち込みとなっています。

この日銀短観の結果を受けて、「消費増税の影響は意外と大きいかも」という見方が強まった印象ですが、先行きへの不安が高まったことが却って、先程のような日銀の追加金融緩和期待につながり、今回の楽天DIの結果に反映されたと考えられます。

4月7日~8日に開かれた日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持が決定され、その後の黒田総裁の記者会見でも早期の追加緩和をイメージさせる発言はありませんでした。日経平均なども3月末の上昇前の水準まで下落しており、ひとまず「ふりだし」に戻った格好です。

ただし、今後も追加緩和への期待は折に触れて相場の材料となりそうです。現在は消費増税の影響を見極める段階ではありますが、タイムスケジュールとしては次の消費税率引き上げ判断が予定されているため、悠長に構えている時間はあまりなく、それが根強い緩和期待の理由となっていると思われます。

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

2.為替相場の見通し

基準日 ドル/円 ユーロ/円 豪ドル/円
3月31日 DI=35.59 DI=23.19 DI=21.88
2月24日 DI=22.87 DI=16.75 DI=9.80

2月に101円割れし年初来安値をつけたドル円は、アメリカの景気回復やリスクオンの動きから3月米雇用統計では103.70円まで上昇しました。

3月31日実施のDIは、米ドル35.59(前回は22.87)、ユーロ23.19(同16.75)、豪ドルは21.88(同9.80)という結果となり、DIは大きく円安方向にみる向きが増加しました。

米ドル

米ドルは、DIが35.59、前月比+12.73上昇し、円安を見る向きも昨年12月以来50%を超えました。 3月の米ドルの動向は、7日の米雇用統計で103.70円超まで上昇したものの、ロシア&ウクライナ問題で円高となり101円台前半まで下落しました。3月末実施のDIでは、3月中旬以降の米景気回復への期待感やリスクオンの動きから順調に円安方向に再進行し3月末には103.50円近辺まで上昇したのをうけ、円安期待があらわれた格好となったようです。

ところが、その後4月に入ると米ドルは意外なうごきとなりました。本日4/10、日足一目均衡表をみると円安感がなく雲の下で推移しています。テクニカル分析的には、3月中旬からの上昇トレンドを帳消しにし、直近のサポートライン101.20円をうかがう展開になりそうです。この意外な動きは、4/8の黒田日銀総裁の景気回復に強気であり、追加緩和にふれなかったことが、楽観的な姿勢であると判断され、失望感とともに円高、株安が進んだことにあります。ただし市場では、4/30に開催される日銀金融政策決定会合の結果とそのあとの総裁発表に注目しており、実質GDPの成長率見通しが下方修正されるようなことがあれば、6月または7月の決定会合で追加緩和の可能性を見込んだうえで、円安トレンドが再燃する可能性があります。

ユーロ

ユーロDIは23.19と前回より+6.44ポイントとなりました。

また、方向感別では、円高派-1.5%、変わらず派-3.5%そして円安派が+5%となりました。

米ドルが対円レートで下落するにつれ、ユーロの対円レートも下落しましたが一目均衡表では雲の中入っては上に出るといった展開となっています。これは、ギリシャ問題が利回り低下していることもあり鎮静化してきているという見方もあり、世界の投資家がユーロ回帰の動きになり、ユーロの対ドルレートが上昇しているからです。

ユーロは対円レートで144円ダブルトップを形成していますので、これを抜ければ145円トライ。米ドルの動きも重要ですが、ユーロの対ドルが1.4をどうトライするかも上昇のハードルになりそうです。

豪ドル

豪ドルDIは21.88。前回比+12ポイントですが、前回値が9.8だったことを考慮するならば、円安派が増加したことがわかります。

ギリシャやウクライナ問題が一旦落ち着きをみせてきていることによるリスクオンの動きや、オーストラリアの企業景況感指数も上昇してきており、豪ドルの上昇を支えています。実際、2月初旬の88円台からみると96円まで8円近く上昇しており、米ドルの対円レートが下落すると若干96円で停滞していますが、豪ドルの対米ドルレートは強気トレンドを崩しておらず、チャート的には次のレジスタンスラインは0.9530。このレベルを上抜けすると0.9800も見えてきそうです。

豪ドルに加え、高金利通貨であるニュージーランドドルも上昇しており、オセアニアは強気です。10日発表のオーストラリアの失業率も予想6.1%のところ結果5.8%、新規雇用者数も予想2500人のところ結果1.8万人と強く下支えしており、今後も上昇の展開がうかがえそうです。ただし、下押しには注意が必要です。

楽天証券 FX本部長 永倉 弘昭

3.今後注目する投資先

  今回 前回
アメリカ 55.01% 59.54% △4.53%
EU諸国 14.87% 16.02% △1.15%
ブラジル 16.02% 14.86% 1.17%
ロシア 7.40% 6.22% 1.18%
インド 22.57% 20.97% 1.60%
中国 7.09% 7.90% △0.82%
中東・北アフリカ 7.32% 8.22% △0.90%
東南アジア 32.97% 33.40% △0.43%
中南米 6.55% 4.32% 2.23%
東欧 3.70% 3.48% 0.22%

4.今後注目する投資商品

  今回 前回 前回比
国内株式 76.58% 78.19% △1.61%
外国株式 23.57% 25.08% △1.50%
投資信託 40.52% 41.94% △1.42%
ETF 14.71% 18.97% △4.25%
FX(外国為替証拠金取引) 12.25% 13.28% △1.03%
国内債券 5.93% 6.01% △0.07%
海外債券 7.86% 9.06% △1.20%
15.87% 12.75% 3.12%
原油 4.01% 2.74% 1.27%
商品 1.62% 2.42% △0.81%
REIT 15.02% 15.60% △0.57%
CFD 1.16% 1.05% 0.10%

「DI(Diffusion Index)」とは

景気判断に用いられる諸指標を選定し、現状認識がどちらの方向に向いているかを示す指数。『楽天DI』では、日銀短観と同じ計算方法を採用し、「(強気回答数-弱気回答数)÷全回答数×100」、「(円安回答数-円高回答数)÷全回答数×100」で算出いたします。
【各指標の見方は以下の通りです。】
日経平均 DIがプラス→強気、DIがマイナス→弱気
為替   DIがプラス→円安、DIがマイナス→円高
すべての回答が中立だった場合、DIは0となります。