先週の日経平均は反発も14,500円台で止まり、再下落となって14,201円で引ける

先週の10月28日(月)のメッセージで、11月相場は信用期日接近やヘッジファンドの決算日で上値が重いとし、先週の予測として決算見極めで上値重く、個別物色の動きを想定しました。

日経平均の動きとしては、上値の基点を5月23日の15,942円、下値の基点を6月13日の12,415円とする三角保ち合いの中の動きになっており、現状ではこの中で上値14,800円、下値13,600円とし、10月25日(金)に14,088円まで下げて反発し、14,800円水準に向かって上昇すれば再び下落となる可能性があると予測しました。

週前半は、前週末(25日)の大幅下落からの反発とアメリカ株式の上昇で戻りを試す動きとなりました。30日(水)は、前日のアメリカ株式がFOMCで量的緩和策の維持の見方からNYダウが15,680ドル(終値での史上最高値)、S&Pも史上最高値更新となり、為替もやや円安に振れたことで△172の14,502円と14,500円台を回復しました。しかし、翌31日(木)は円高一服にもかかわらず、14,500円台では戻り売りが出やすい水準であったことで、先物に売り仕掛け的な売りが出ると大引け前に急落となって、▼174の14,327円となりました。さらに週末の11月1日(金)は、ソニーの決算が増益予想から一転して30%の減益予想となったことでソニーが売り込まれ、先物売りでマイナスが拡大して14,126円まで下落し、大引けは▼126の14,201円で引けました。

すでに先週までで時価総額で約6割の企業の決算発表が終わり、全体的には通期予想は上方修正となっていることで、14,800円水準までの戻りを試してもおかしくないところでしたが、アベノミクス関連の主要銘柄の一部であるソニーの下方修正に引っ張られる形で週後半は下落となりました。これは、業績の問題というより外国人の買いが細って市場ボリュームが少ない中先物主導の売り仕掛けに反応しやすい状況となっていることがあります。

今週も為替の動向や企業決算を横目に上値の重い展開

先週末の11月1日(金)の日経平均は、朝方は買い先行となったものの前場後半にソニーの予想外の下方修正を受けてマイナスに沈み、後場はECB(欧州中央銀行)の追加緩和観測が広がりユーロ・円で132円台の円高(前日は135円台をつけていた)となったことで円高警戒感が広がり、先物に大口の売り仕掛けが相次ぎ、裁定解消売りを誘って14,126円まで下げ、終値は▼126の14,201円で引けました。25日移動平均線(1日時点14,347円)や10月SQ値14,347円を下回って引けました。

4日(月)の日本市場は文化の日の振替休日で休場。4日(月)のアメリカ市場は8・9月の製造業受注が予想を下回ったことで上値は重いものの、企業決算を好感して△23の15,639ドルとなりました。本日5日(火)の日本市場は、寄り付きは連休中の海外株高の流れを引き継いで△118の14,310円で始まるものの、ソニーに続き日産の下方修正もあって主要企業の決算にやや失望感が出て上げ幅を縮小し、△23の14,225円で引けました。5月高値の6カ月の信用期日が今月下旬に迫り、カラ売り規制の緩和もあって上値の重い展開となっています。

今週は決算発表の本格化が続く中、主力株の一部に下方修正がみられることで方向感がつかみにくい展開となりそうです。この中で6日に発表予定されているトヨタ自動車に注目が集まり、予想を上回る決算だと、いったん反発のタイミングに入っていく可能性がありますが、逆に予想を下回れば下への流れが継続する可能性もあります。アメリカでは7日に7-9月期のGDP発表、8日に10月の雇用統計発表があり、円相場への影響を見極めたい動きとなって様子見ムードが強まることも考えられます。

5日(火)よりカラ売り規制の緩和となります。これまで相場の下落に歯止めをかける対策としての規制でしたので正常に戻るだけですが、現状のような不安定相場の中では逆に売りから入って戻り売り優勢となって下げ幅を拡大する可能性があります。但し、そうなった場合は基本的にアベノミクス相場で中期的には上昇トレンドに入っていますので、下げ止まったところから反発し、踏み上げが起こって大きな上昇となっていくことになります。要するに、下げるほどリスクの少ない買いタイミングとなっていくと考えられます。需給からいうと、信用買い残が10月25日申し込み時点で8月9日以来の3兆円超えとなっており、売買の回転が効いて評価損益率が悪くなければ問題はないのですが、評価損益率が悪化してくるようだと買い残の整理が進まず上値重くなって先物の売り仕掛けに反応しやすくなるので注意が必要です。

(指標)日経平均

先週の予測では、現状は三角保ち合いの中の動きとなっており、戻りを試せば14,800円水準が上値で、下値模索となればまずは14,000円水準、ここを切ると10月8日の13,748円が下値ポイントとしました。

週初めは、前週末の急落からの自律反発とアメリカ株式の上昇と好決算期待で、30日(水)には14,500円台を回復しました。しかしガンホーの急落やバルチック指数の下落をきっかけに先物主導で下げ幅を拡大する動きとなり、31日(木)は▼174の14,327円、さらに週末11月1日(金)はアベノミクス効果で期待の高まっていた主要企業の1つソニーが予想外の下方修正となったことで売りに押され、▼126の14,201円で引けました。

今週も本格化している決算を前に一進一退の動きとなりそうです。すでに6割の企業が発表を終えて全体では通期予想の上方修正が多いものの、ソニーやコマツ、日産自動車など主力銘柄の下方修正が目立ち、相場全体を押し上げる状況とはなっていません。その背景には外国人買いが細って市場ボリュームが低い中先物主導によって振り回されているところがあります。さらに今週はアメリカで重要な経済指標の発表もあり、円相場への影響を見極めたい動きも強く、目先は14000~14,600円のレンジでの動きが想定されます。

連休明け5日(火)は、海外株高の流れを引き継いで△118の14,310円と高寄りするものの、ソニーに続き日産が下方修正して急落となったことで日経平均も上げ幅を縮小する動きとなり、終値は△23の14,225円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、9月18日の15,709ドルのザラ場での史上最高値を試す形となるが、現水準からの上値は重く、高値圏でのもみあいになりそうだとしました。

週初めは、主要企業の好決算とFOMCでの量的緩和継続期待で、29日(火)には終値で15,680ドルと史上最高値を更新。その後はFOMCの声明文の中に緩和継続について積極的な表現がなかったことで材料出尽くしから反落となりましたが、週末11月1日(金)は10月ISM製造業景況指数が予想を上回ったことで△69の15,615ドルで引けました。

今週は、経済指標に注目となります。7日の7-9月期GDP、8日の10月雇用統計となりますが、GDPは4-6月期比鈍化の見通し、10月雇用統計は政府機関の閉鎖の影響で悪化の見通しですので、量的緩和策の継続がより確実となってきます。季節的にはクリスマス商戦に入り需給が好転する時期ですが、財政問題は先送りされたといっても年明けには再び問題となるので、それを無視して上昇が続くのかどうか注目となります。チャート上は9月18日の15,709ドルを終値で上回って15,800ドルを超すことができれば、短期上昇トレンド(B)を上放れする形となりますので、一段高の可能性はあります。基本的には高値圏でのもみあいが続くことになりそうです。

週明け4日(月)は、8・9月製造業受注が予想を下回り買い材料がない中、一部の値ガサ株の決算が相場を支え△23の15,639ドルで引けました。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、FRBによる金融緩和策の長期化観測が広がりドル安圧力となっており、29~30日のFOMCで景気に慎重な見方が示されるとドル売り基調となる可能性があり、レンジを96~98円台としました。

週初めの28日(月)、29日(火)は97円台後半での動きとなっていましたが、30日(水)はFOMCでの現行の量的緩和策維持の見方からNYダウやS&Pが史上最高値を更新したことでリスク志向の円売りとなり、98円台の動きとなりました。FOMCでの声明では緩和策維持だったものの、実体経済への悪影響についての言及がなかったことで早い時期の緩和縮小への思惑で金利が上昇し、ドル高・円安となって98円台後半までの円安となりました。週末1日(金)は98.35円で引けました。

今週は、量的緩和長期化への思惑も来年の3月以降までは継続という見通しが大半となってきたことでドル売りは一服しつつあります。但し、アメリカの景気回復の程度については見方が分かれるため、上下どちらか一方的に進む動きとはならず、96.5~99円のレンジでの動きとなりそうです。8日発表の10月の雇用統計は政府機関の閉鎖の影響で正確な雇用情勢を反映していないため、相場の方向性を決定づける要因にはならないとみられています。

ドル/円