先週はシリア空爆先送り背景に、週初めからリバウンド基調で上昇

先週の2日(月)はシリア空爆の先送りから為替が円安方向の動きとなり、△184の13,572円となりました。この時点では、相変わらず薄商いの中を先物主導で上昇している状態であり、きっかけ次第ではすぐに下落する可能性もありました。その場合は13,300円水準以下は再度買っていったほうがよいとしました。

しかし、1日(日)発表の中国製造業PMIが予想を上回り、2日(月)の国内の4-6月期法人税統計で設備投資が前年比△0.02%と3四半期ぶりにプラスに転じ、8月のユーロ圏のPMIも予想を上回り、3日(火)は為替が99円台半ばへの1円を超える急激な円安となったことで△405の13,978円の高値引けとなり、柴田罫線で短期の買転換出現となりました。そのため、4日(水)のコメントでは、シリア問題の行方、FOMC(17~18日)の金融政策の方向を確認するまでは三角保ち合いの中で上限を試す動きになるとし、14,050円を超えると14,300円水準までは期待できるとしました。

結果的に、アメリカの経済指標(特に自動車販売)も予想を上回ったことで為替が100円にのせる場面もあり、5日(木)には14,156円まで上昇しました。しかし、6日(金)はオリンピック開催地決定を控えて利益確定売りに押され、▼204の13,860円の5日ぶりの反落となりました。

週末のアメリカ市場は、シリア問題でロシアがアサド政権を支援するという報道が流れ(あとで誤報とされる)、一時NYダウは▼148の14,789ドルまで下落し、8月の雇用統計が予想を下回り、さらに6月分、7月分も下方修正されたことで雇用の改善が遅れているとの見方からドルが売られ100.23円をつけたあと98.54円まで急落し、引けは99.11円でした。

目先は14,300円水準を高値にもみあいの展開か

週末のアメリカの8月雇用統計が予想を下回って円高方向となったものの、昨日の日曜日の早朝に2020年東京オリンピックの開催が決定したこと、寄り前の4-6月期GDP改定値が△3.8%に上方修正されたこと、為替が1ドル=100円の円安となってきたことで、本日9日(月)は△280の14,141円の大幅高で始まりました。先週末ポジション調整していた機関投資家等の買い戻しが入り、中国株式の大幅上昇もあって、先物の売買規模が大きく増加したことに連れて現物の出来高も大きく膨らみ、ボリュームを伴った上昇となって△344の14,205円で引けました。出来高も29億3,756万株、売買代金も2兆1,007億円と大きく増加してきました。ただし、前場につけた高値14,251円を更新することができずに終わり、14,300円水準の上値の重たさを感じさせる展開でした。

すでに先週の4日(水)のコメントで、8月14日の14,050円を上に抜ければその上は14,300円水準としていましたが、ここは柴田罫線での三角保ち合いの上限となるところです。ただし、三角保ち合いを明白に上放れするには、8月2日の14,466円を終値で抜けることができるかどうかですが、先週末の8月米雇用統計が予想を下回ったことで、量的緩和縮小の時期についてFOMC(17~18日)がどういう方針を出すのかわかり辛く、又シリア空爆問題もロシア・中国の反対で不透明感が漂い、又来月2日に消費増税問題の決定があることで、このまま三角保ち合いを突破して上昇するとは考えにくいところです。しかし、今週は週末にメジャーSQを控えており、買い仕掛けが入っていったん大きく上昇する可能性もありますが、基本的には14,300円水準を上値に様子見となってもみあいとなっていく可能性が高いと考えられます。高値圏でもみあえば、安いところで買った株や下げていた保有株が水準訂正してくる可能性が高いので、短期売買の方は利益確定を優先しキャッシュ化していくとよいでしょう。過去の経験では9月は後半にかけて下げる確率が高いので、新規に買っていくのではなく、キャッシュ化優先を考えて次の下げを待つスタンスでいるとよいでしょう。

(指標)日経平均

先週は、6日(金)の米8月雇用統計や7日(土)のオリンピック開催地決定を控え、又シリア情勢もあり、神経質な展開を想定しました。特にシリア攻撃はある程度織り込んでおり、下振れがあって13,000~13,300円の範囲であれば買うところとしていましたが、シリア攻撃が先送りとなり為替が円安方向となったことで、薄商いの中を2日(月)は△184の13,572円の反発となりました。そこで、8月23日の13,774円を終値で超えると短期の買転換となって14,000円までの上昇が期待できるとしました。

結果的に、シリア情勢への懸念が和らぎ、アメリカや中国の経済指標が予想を上回ったことを好感して先物主導で大きく上昇し、3日(火)は△405の13,978円となって短期の買転換出現となりました。柴田罫線では、まだ三角保ち合いの中での買転換のため上値は14,300円水準を想定していましたが、5日(木)に14,156円まで上昇後、週末6日(金)は利益確定売りで▼204の13,860円で引けました。

今週は、週前半は東京へのオリンピック開催決定で戻りを期待できそうですが、SQを週末に控えて荒い値動きになる可能性もあります。来週のアメリカのFOMCの金融政策を巡って様子見ムードも広がりやすく、上昇しても上値は14,300円水準というところでしょう。

週明け9日(月)は、東京オリンピック開催決定、4-6月期GDP改定値の上方修正、中国株式の大幅高を受けて△344の14,205円の大幅反発となりました。ただし、前場の寄り後の高値14,251円を更新することができず、14,300円水準では上値の重たさを感じさせます。14,300円水準は三角保ち合いの上値斜線にあたるところですので上値は重くなりますが、この三角保ち合いを完全に上放れとするのは、8月2日の14,466円を終値で抜けてからとみた方がよいでしょう。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、6日(金)の8月雇用統計を控えて思惑が交錯した動きが想定され、シリア空爆も限定的であれば一時的な下げとなるが、14,758ドルを終値で切ると一段安になるとしました。

1日(日)にオバマ大統領がシリア空爆の議会承認を受けると表明したことで空爆が先送りとなり、海外市場は一時上昇しましたが、連休明けの3日(火)は大幅上昇して始まるものの、シリア情勢への懸念から△23の14,833ドルの上昇で引けました。その後2日連続の反発となるものの、週末6日(金)はロシアがシリア政権を支援するという報道から一時▼148の14,789ドルまで急落するものの、8月雇用統計が予想を下回ったことで早期の緩和縮小が延長するという期待で▼14の14,922ドルまで戻しました。

今週も引き続きシリア情勢と8月雇用統計を受けてのFOMC(17~18日)の金融政策を巡る観測が交錯する展開となりそうです。下値は14,758ドルを終値で切ると一段安となる可能性が高いことに注意しておく必要があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、シリア情勢や米8月雇用統計やオリンピック開催地決定を前に方向性に乏しい展開が想定され97~99円を想定レンジとしましたが、シリアへの空爆が先送りとなったことでドルが買われ、2日(月)は99.3円となって柴田罫線でドルの買転換(円の売転換)となりました。三角保ち合いの上限に到達してきたことで確実に上放れするには100円台のせが必要になるとしました。

5日(木)には、経済指標が予想を上回り長期金利が上昇してドルが買われ100.09円で引けました。しかし、週末6日(金)には100.23円までドルが買われたものの、米8月雇用統計が予想を下回りドルが売られて一気に98.54円まで下げ、99.11円で引けました。

今週は、米8月雇用統計を受けて雇用の改善ペースが鈍っているとの思惑が広がり、量的緩和縮小時期に改めて不透明感が出てきました。又、シリア情勢も不透明で投資家がリスクをとりにくい状況となっていますので、リスク回避の円高の流れとなります。国内では消費税増税の実施の可能性が高まれば円売りの流れとなりますので、円高も限定的となります。チャートでは、引け値で9月6日の100.2円を上回れば柴田罫線で三角保ち合いを上放れる形となり、103円に向かう動きが出てくることになります。

ドル/円