三角保ち合いの下限からの反発期待も、シリアへの空爆報道で下値模索へ

先週の予測では、22日(木)に13,238円の安値をつけ、終値では三角保ち合いの下限にあたって反発となり、23日(金)は一時△409の13,774円まで上昇し、△295の13,660円で引けました。そのため、悪材料が出なければ三角保ち合いの中で上限に向かって、まずは8月14日の14,050円を試すことを想定しました。

しかし、残念ながらアメリカのシリアへの空爆という強硬手段が報道されたため27日(火)のNYダウは▼170の14,776ドルの大幅下落となり、リスク回避の円買いで一時96円台までの円高となって、28日(水)の日本市場は一時▼354の13,188円と約2カ月ぶりに13,200円を割り込み、終値は▼203の13,338円となりました。

週末30日(金)は、シリア情勢が一服して円安へ振れたことで寄り付き直後には11,615円まで上昇するものの、徐々に上げ幅を縮小しマイナスに転じると、13,335円まで下げて▼70の13,388円で引けました。海外からの資金流入も少なく、薄商いの中を先物主導によるプログラム売買に振り回される状況が続いています。

今週は、週末のアメリカの8月雇用統計に注目

相場格言に「2日新甫は荒れる」というものがありますが、9月2日(月)はそれに当たります。格言の当たりはずれは別にして、9月相場は日経平均の月別騰落率をみると、1年のうちで下落率が大きく、▼2.2%(1990年以降の平均)となっています。これは、アメリカの投資信託が決算対策で9月に保有株を売るため、NYダウと連動する日経平均も下げやすいためといわれています。

又、9月になると、重要イベントが目白押しとなっています。9月5日~6日のロシアで開催のG20首脳会議、6月の8月雇用統計、7日のオリンピック開催地決定、9日の日本の4-6月期GDP、17日~18日のFOMCでの量的緩和縮小についての方向などです。これにシリアへの空爆がどうなるかが加わり、神経質な展開が想定されます。

今週の注目は、アメリカの8月雇用統計といえます。足元の経済指標には弱いものもみられますが、4-6月期のGDPや雇用関連は好調であり、8月の雇用統計が予想を上回ればFOMCで量的緩和の縮小の時期が今月にも決定される可能性があります。その場合は、ドルが買われ円安となって日経平均の上昇も期待できますが、予想を下回れば縮小時期が先延ばしとなり、ドルが売られて円高となり、日経平均は軟調となる可能性があります。又、オリンピック開催期待が高まれば、不動産、建設株の内需株が買われることになります。

9月2日(月)は、オバマ大統領がシリア攻撃は議会の承認を得る手続きをとることを明言したことで、議会が始まる9日以降に先送りされ、円安の動きとなって主力の輸出関連株が買い戻されオリンピック関連で不動産、建設株が買われ△184の13,572円となりました。ただし、売買代金・出来高は減少しており、売り物が少ない中を先物主導で上昇していると考えられますので、きっかけ次第ではすぐに下落することになります。要するに、先週は先物主導による最低解消売りが日経平均の指数を引き下げ、本日は先物による裁定買いが日経平均の指数を引き上げているということですので、単に指数が上下動しているだけの動きといえます。本格上昇には市場ボリュームの増加が必要です。基本的に見送りですが、下に大きくブレて13,300円水準を下回れば少しずつ買っていくところと考えられます。

(指標)日経平均

先週は、22日(木)に13,238円のザラ場安値をつけたあと、23日(金)に△295の13,660円の大幅反発となったことで三角保ち合いの下限に達しての反発であるため、今度は三角保ち合いの中で上限を目指す動きを想定しました。当面は13,300~14,000円のボックスの中で13,300円に接近すれば買い、14,000円台で利食いという投資となるとしました。

しかし、アメリカの金融政策を巡るイベントを控えて海外資金の流入も少なく売買に盛り上がりを欠いていたところにシリア空爆報道が出て、金融・自動車など主力株が大幅下落となり、28日(水)は一時▼354の13,188円と約2カ月ぶりの13,200円割れとなり、終値は▼203の13,338円となりました。29日(木)は△121の13,459円と反発するものの、週末30日(金)は▼70の13,388円で引けました。

今週は、週末9月6日(金)にアメリカの雇用統計や7日(土)のオリンピック開催地決定を控えて神経質な展開が想定されます。目先のシリア攻撃も局地的で短期のものであればある程度織り込んでおり、材料出尽くしとなる可能性があります。この場合は、下値は13,000~13,300円が抵抗ゾーンであり、この水準では買っていくところです。シリア攻撃は中旬以降に先延ばしされましたが、長期化すればもう一段下も想定しておくことが必要です。

週明け9月2日(月)は、シリア攻撃が先送りとなったことで目先の不安が後退し、為替が円安に振れたこともあり、買い戻し優先となって△184の13,572円で引けました。出来高・売買代金とも減少し、薄商いの中を先物主導による上昇ですが、8月23日の13,774円を終値で超えると短期の買転換出現となって14,000円水準までの上昇が期待できます。ただし、市場ボリュームが増加しない限り、指数だけの上下動の可能性が高いので、基本的に様子見と考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、目先の下値抵抗ライン14,758ドルに接近していったん反発となっているものの、出来高が薄い中での反発ですので、神経質な展開が続くとしました。29日(木)の4-6月期GDPが予想を上回ればドル買い・株高を想定しました。

しかし、週前半はシリア空爆懸念から地政学的リスクで株式が下落し、27日(火)は▼170の14,776ドルの大幅下落となりました。週後半は4-6月期のGDP2.5%への上方修正を受けて反発するものの、30日(金)は連休を控えたポジション調整売りで▼30の14,810ドルで引けました。28日(水)にはザラ場で14,760ドルまで下げて下値抵抗ラインを試す動きとなっています。

今週は、週末の8月雇用統計の発表を控え、17~18日のFOMC前の量的緩和策の縮小時期を決める最後の重要指標として位置づけられているため、思惑が交錯しそうです。シリア空爆が限定的であれば一時的な下げとなりますが、14,758ドルを終値で切ると14,500ドル台までの下げの可能性があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、住宅関連指標や4-6月期GDPが予想を上回れば9月の量的緩和縮小の思惑が高まり、ドルが買われて1ドル=100円を試す場面もあり、逆に予想を下回れば円安一服となって97円を試すとし、レンジを97~100円としました。

しかし、アメリカのシリアへの空爆報道から株が下落し、ドルが売られて一時96.82円の円高となり、GDPが△2.5%へ上方修正されたことでドルが98円台まで買い戻されて98.18円で引けました。

今週は、週末6日(金)に米量的緩和策の縮小時期を決める材料としての8月雇用統計や、9日(土)のオリンピック開催地決定を控えて方向性に乏しい展開が想定され、97~99円が想定レンジ。シリアへの空爆があれば一時的にドル売りで96円台も考えられます。

ドル/円