先週は、想定した13,000円±400円の動きのあと、週末上放れへ

先週は、13,000円±400円の値固めができるかどうかとし、それにはバーナンキ議長の量的緩和スケジュールを受けたアメリカ株式に影響を受けるとしました。中国の信用問題も出てきたことで、世界的にリスク回避の流れから世界的な資金の流れに変化が出てきているとしました。反面、日本の場合はG8でアベノミクスが評価され東京都の参議院選挙で圧勝したことで、参議院選挙も期待が高まり、先高感が出てきているため上昇はきっかけ次第ともしていました。

週前半は、アメリカの早期の量的緩和縮小の思惑や中国の信用不安から海外株式が下落し、日本株もつれ安する場面がありました。しかし、週後半にかけてはFRBの高官が量的緩和縮小は経済状況次第と発言したことで緩和時期がズレ込むとの見方が出て、NYダウは3日連続の100ドルを超える上昇となり、中国人民銀行が信用不安に対して資金供給などで市場の安定を図る方針を示したことで、27日(木)は△379の13,213円の大幅反発となりました。さらに週末の28日(金)は為替が1ドル=98円台に進行し、6月末のドレッシング買いもあって△463の13,677円と今年3番目の上げ幅となりました。

25日移動平均線(28日13,291円)75日移動平均線(28日13,418円)を上回り、柴田罫線でも買転換出現となりました。

今週は13,000円台半ばで値固めしながら14,000円を目指す動きを想定

今週は、先週末に引き続いて中国の信用問題とアメリカの量的緩和問題が落ち着いていれば円安基調を背景に戻りを試すことになりそうです。ただ、中国の信用問題は政府主導のインフラや不動産への設備投資に依存している状況に変わりはなく、経済成長の鈍化によって至る所で大規模開発の地域がゴーストタウン化しており、過剰投資の状態ですので、いずれ処理されなければならない問題です。中国政府は独専政治ですので、国際的影響を無視してこのバブル潰しをやる可能性もあり、今回は必要な流動性供給を行いましたが、今後はわかりませんので絶えず注意しておく必要があります。上海指数の底打ち感はまだ出ていませんので、今週の中国の経済指標に注目となります。日本市場の出来高は減少していますので、中国で何か悪材料が出ると先物主導による売り仕掛けで株価が下落する可能性があります。もちろん現状では、下値は限定的ですが。

アメリカ市場に関しては、量的緩和の縮小を巡る思惑から、経済指標の結果によって不安定な動きが続きそうです。特に7月5日(金)の6月雇用統計が注目となります。市場予想を大きく上回れば緩和縮小が前倒しになるとの見方で株価は下落しますが、日米金利差拡大から為替は円安基調となります。その場合、日経平均はNYダウに追随するのか、為替の円安に反応するのかわかりにくいところがあります。

以上海外要因では、今週はアメリカの雇用統計や中国の経済指標への警戒感がありますが、国内では参議院選挙が4日公示で21日開票となり、安倍政権への政策期待が高まってきます。都議選で自公民が全員当選したことは参議院選でも圧勝の可能性が高く、そうなると「ねじれ国会」が解消して政府が安定して政策を実行できる環境が生まれます。これは政治が安定し、景気対策をスピーディーに行えるということになり、「安倍首相の長期政権」も確実となり、国際的に日本の信頼感につながっていきます。そうなると、これから本格的に株式市場を動かす要因は、自民党の安定した政権を評価する上昇であると考えられます。

本日は、寄り前の好調な日銀短観を受けて△69の13,748円で始まりましたが、その後利益確定売りに押され前場は▼65の13,611円で引けました。後場になると、中国の経済指標が悪化したにもかかわらず、日経平均はしっかりした動きとなってプラスに転じ、99円半ばへの円安を好感して△175の13,852円となりました。13週移動平均線の13,738円も上回って引けました。

当面の上値と投資スタンスをどう考えるか

チャートをみると、目先の上値抵抗ゾーンは14,000円水準となります。すでに13,000円水準から下は買っていくと考えますと、買推奨銘柄を出してきていますので、短期では利益確定を考えてもよいと思います。ただ、当面は参議院選挙に向けて上昇し、自民党が勝利すればその後一定期間は上昇する可能性は高いと思われます。それを考えると、新規の買いは13,000円半ばは中途半端な位置ですが、好業績の銘柄の押し目買いとなると考えられます。(ただし、損切りポイントは入れておきましょう)

チャートをみると、目先の上値は14,100円水準ですが、自民党の圧勝となれば15,000円を目指す動き(その前に14,500円水準)も想定されるところです。今年後半のスパンで考えますと、下値は1/2押しの12,200円、上値は今年の高値近辺の16,000円が想定の1つとして考えられます。

(指標)日経平均

先週の予測では、13,000円±400円の水準での値固めとし、7月の参議院選挙に向けてきっかけ待ちとしました。柴田罫線では13,534円以上で買転換が出現するが、6月11日の13,584円を上回れば目先は13,700円台、それを超えると14,000円を試すことが想定されるとしました。

結局、25日(火)に12,758円まで下げて27日(木)に13,213円と13,200円台を回復し、週末の28日(金)はNYダウの15,000ドル台回復、中国の人民銀行の資金供給を行う方針で上海指数が反発、為替が1ドル=99円台と好材料が相次ぎ、13,724円まで上がって△463の13,677円となり、柴田罫線で買転換出現となりました。

今週は、先週末にこれまでのもみあいの上限(13,500円)を上に抜けたので、チャートでは14,000円水準を目指す形と考えられます。為替が円安方向にあり、7月21日の参議院選に向けて自民党勝利の期待から反発期待が続きそうです。ただし、出来高・売買代金が縮小していますので、中国問題やアメリカの量的緩和問題など海外の材料に振り回される可能性は強いと思われます。

週明け7月1日(月)は、寄り前の好調な日銀短観を受けて△69の13,748円で始まるものの利益確定売りで前場は▼65の13,611円で引けました。しかし、後場になると中国の経済指標の悪化にもかかわらず、為替が1ドル=99円台半ばの動きとなったことで△175の13,852円の大幅続伸となりました。

日経平均

(指標)NYダウ

5月22日に15,542ドルの史上最高値をつけたあと高値圏で三角保ち合いとなっていましたが、6月20日に14,758ドルで短期の売転換が出現しました。そのため、値幅調整か日柄調整かは別として暫く調整が続くことになりそうだとしました。バーナンキ議長が量的緩和の縮小スケジュールを示したことで目先下落となりましたが、その後他のFRB高官から量的緩和は経済状況次第というコメントを出し、緩和縮小時期のズレ込む見方も出て25日(火)から3日連続の100ドル以上の上昇となり、27日(木)は15,024ドルと15,000ドルを回復しました。しかし、チャートの形からは15,000ドルから上値は重くなるとしたように週末の28日(金)は▼114の14,909ドルと反落して引けました。

今週は、量的緩和縮小の時期がFRB高官の間でくい違っており、思惑が絡んで不安定な値動きが続きそうです。柴田罫線では、引線の終値で15,200ドルを超えて引けると買転換出現となって調整が終わることになります。5日(金)の雇用統計が注目となります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、中期的には日米金利差の拡大から円安基調の見通しが強いものの、海外株式の下落などによるリスク回避の円買いの局面もあり、目先は不安定な動きの可能性があるとし、96~99円のレンジを想定しました。

結局、24日(月)に中国の信用不安から上海指数が▼109の1,963Pと急落し、2009年8月以来の大幅下落となり、リスク回避の円買いで98円台から97円前半までの円高となりました。その後はアメリカの好調な経済指標を受けてNYダウが3日連続の100ドル超えの上昇となり、ドルが買われて再び円安基調となり、上海株安も一服したことで週末28日(金)は99円台で引けました。

今週は引き続いて量的緩和の時期を巡って神経質な展開が想定されます。経済指標が好調でNYダウが上昇すれば金融緩和の時期が近づく観測を生み、長期金利が上昇して円安・ドル高が進むことになります。特に週末の6月雇用統計が注目となります。98~101円を想定。

ドル/円