先週は15,000円を目指すとしたが、一段の円安進行ですぐに15,000円台回復

先週の予測では、前週末のG7で円安に対して表立った批判がなく、日本のデフレ脱却のための金融政策は容認されたという見方から円安基調が続くことを想定し、円相場を睨みながら15,000円を目標に上値を試す動きとなりそうだとしました。

週明けの13日(月)は、1ドル=101円台の円安を受けて△174の14,782円と続伸し、15日(水)は前日に大手ヘッジファンドの運用者がアメリカ株式の先行きに対する楽観的な見方を示したことが好感され、NYダウは△123の15,215ドルと史上最高値を更新し、ドル買いが進行して1ドル=102円台の円安となったことで、△337の15,096円と一気に5年4カ月ぶりの15,000円台回復となりました。週末の17日(金)は、NYダウは反落となり、為替も102円台で推移していたことで前場は利益確定売り先行となり、14,902円まで下げましたが、後場になると調整していた不動産株が買い直され、又、この日引け後の安倍首相の成長戦略の政策をテーマとする物色(農業関連、リース関連など)も加わり、△100の15,138円と年初来高値更新で引けました。

17日(金)のアメリカ市場では、5月ミシガン大学消費者信頼感指数や4月景気先行指数が予想を上回ったことで消費者心理や個人消費の改善期待から、NYダウは△121の15,354ドルと史上最高値を更新し、ドルが買われて1ドル=103.31円まであって103.20円で引けました。シカゴの日経先物は15,350円で引けました。

今週は、アメリカのバーナンキ議長のQE3についての見解に注目

今週は、基本的には円安基調と株価の上値を試す状況は続きそうです。決算発表のピークが過ぎ、改めて今期業績の上振れ期待からの物色や安倍首相の成長戦略による政策(TPP関連、リース関連、含み資産関連など)の物色が続く可能性が高いといえますが、相場の一巡感もあり、テーマや業種全体が買われるのではなく、個別物色が鮮明になるかもしれません。

アベノミクス効果としては、先週16日(木)発表の1-3月期GDPが前期比△3.5%と予想を上回り、17日(金)の3月機械受注も△14.2%と2カ月連続の増加となっており、さらに21日(火)~22日(水)の日銀金融政策決定会合では、景気の現状判断を上方修正する方向にあり、海外からの資金のさらなる流入を期待する見方もあります。本日は月例経済報告が発表され、2カ月ぶりの上方修正となりました。

最近は、株価の上昇によって企業のESP(1株利益)は欧米に対して割高感となっていましたが、6月時点の予想PERは16.8倍(4月下旬は23倍台)と割高感はなくなってきています。そうすると、7月中旬から2014年3月期の第1四半期(4~6月)決算に向け、大幅増益期待を織り込む動きも始まりますので、どこかで大きな調整が起きても買いチャンスとなると思われます。

今週は、22日(水)にFRBのバーナンキ議長の議会証言でQE3からの「出口論」に言及があるかどうかがポイントとなります。QE3の早期縮小に慎重な姿勢を示してきたバーナンキ議長の見解に変化があれば、アメリカの株式市場は大きく反応する可能性があります。

本日の日本市場は、先週末の海外株高と円安を受けて△122の15,260円で寄り付き、そのまま上値を試す形となって15,300円を5年5カ月ぶりに回復し、大引けは△222の15,360円となりました。すでに決算も一巡し、業種別にもテーマ別にも一巡感が出てきていますので、目先は円安が一服していれば日経平均の指数はあまり大きく上昇せずに個別銘柄の選別物色となっていくものと思われます。

円安の流れは日銀の金融政策だけでなく、アメリカの景気回復期待も加わる

ドルはアメリカ経済の回復から買われていますが、アメリカ経済が回復するということは、これまで続けてきた超金融緩和(現在はQE3)がどこかの時点で縮小されることになります。この縮小のプロセスが出口戦略と言われるものですが、これがハッキリしてくるとアメリカ国内では債券が売られてドルが買われ、日米関係では金利差の拡大(日本の場合は、物価目標2%まで金融緩和を続ける)からドルが買われ、円が売られるということになり、一時的な円高への可能性があります。中期的には2008年8月15日の110.05円を目指すものの、目先は103円台→105円台としたように、すでに103円台となってきましたので、目先は105円台を目指すことになります。この105円台水準では、上値のフシとなるところですので、今のところいったん円高へブレることも考えられます。その時日経平均が16,000円台に入っていると日経平均もいったんの調整ということも考えられます。というのは、1991年以降の長期的なチャートをみると、16,000~17,000円ではもみあっている期間が長く、上値抵抗ゾーンとなる確率が高いからです。ここを抜けると2007年7月9日の18,261円(サブプライム問題からの暴落前の高値)が目標となってきます。

(指標)日経平均

先週の予測としては、9~10日のG7で円安批判を受けなかったため1ドル=100円を突破し、このまま円安基調が続けば日経平均は15,000円を視野に高値圏での動きが想定されるとしました。

週初めの13日(月)は、1ドル=101円の円安進行となったのを受けて△174の14,782円と続伸し、14日(火)に▼23の14,752円と一服したあと、15日(水)は102円台の円安を受けて△337の15,096円と早くも2007年12月28日以来の15,000円台回復となりました。16日(木)は、円安一服と利益確定売りで一時14,879円まで下げ▼58の15,037円となるものの、週末の17日(金)は押し目買いから△100の15,138円の年初来高値更新となりました。

先週末に為替が103円台となっており、このまま105円台まで円安が進むようなら日経平均も15,500~16,000円のゾーンまでの上昇が期待できそうです。円安一服となれば15,000円水準での値固めが続くことになります。22日(水)にはバーナンキ議長の議会証言があり、出口戦略が意識されるとドル高・円安の流れが継続することになります。逆に、緩和縮小が否定されると一時的なドル売り・円高となり、日経平均も下げる局面がありますが、下値は限定的といえます。

週明けの20日(月)は、先週末の欧米株高、円安を受けて△122の15,260円で寄り付くとすぐに15,300円台を回復し、この水準でのもみあいとなって△222の15,360円で引けました。5年5カ月ぶりの15,300円台回復となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測としては、世界的な金融緩和から資金が株式に向かいやすく、相場に過熱感が乏しいことから下値不安は少なく、アメリカの景気回復を裏付ける経済指標の好結果が出るとさらに上昇することが期待されるとしました。

14日(火)は大手ヘッジファンドの運用者がアメリカ株式の先行きに対する楽観的な見方を示したことでNYダウは△123の15,215ドルと史上最高値更新となりました。その後は高値圏でもみあいましたが、週末の17日(金)は、5月ミシガン大学消費者信頼感指数や4月景気先行指数が予想を上回ったことで個人消費の改善期待から、NYダウは△121の15,354ドルと史上最高値を再び更新し、ドル買いが加速して103.31円までのドル買い・円安となりました。

NYダウは、先週末の17日(金)で過去最高値更新で引け、週間では4週連続上昇となりました。日米欧の金融緩和による金余りが株高をサポートしているため、まだ高値圏での動きが続く可能性があります。しかし、ここにきて雇用や消費関連の改善を示す経済指標が相次いでQE3からの「出口論」が株式市場に影響を与える可能性が出てきました。FRBのQE3の先行きが注目となってきます。「出口論」がはっきりしてくるとアメリカの金融緩和はいったん停止の流れとなり、株価はいったん調整に入る可能性が高い反面、為替は日米金利差の拡大期待からドルが買われ、円安基調が続くことになります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測としては、9~10日のG7で日本の円安批判を受けなかったことで円安基調は継続し、目先は103円台、その次は105円台としました。

結局、先週はアメリカの経済指標の改善からのNYダウの連日の史上最高値更新を受けてドルが買われ、円安の流れが継続しました。特に週末の17日(金)は、5月ミシガン大学消費者信頼感指数や4月景気先行指数が予想を上回ったことでNYダウは△121の15,354ドルとなり、ドル買いが加速して103.20円で引けました。

このところ、アメリカの景気指標の改善期待からFRB幹部による金融緩和策の縮小(QE3の規模の縮小)を示唆する発言が出ており、これを受けてドル買い・円安の流れが継続しています。今週は22日(水)にバーナンキ議長の議会証言があり、緩和縮小に前向きでないと受け取られればいったんドル売りに転じる可能性もあります。その場合は、101円台ぐらいまでの円高の可能性があり、想定レンジは101~104円とします。

ドル/円