先週は、週前半下げれば週後半高を想定するも、予想を大きく超える急騰へ

先週は、柴田罫線の短期トレンドで円高転換となっていることから、日経平均も目先調整に入ることを想定し、4月1日(月)に▼262の12,135円と25日移動平均線を切る下落となったことで、このまま週前半安となれば押し目買いが入って週後半は高くなることを想定しました。 下値は基本的に12,000円が堅く、ここを守れるかどうかとしましたが、2日(火)は92.56円まで円高が進行したことや4日(木)の日銀金融政策決定会合での追加の金融緩和発表で材料出尽くしになる可能性があるとみた投資家が多量の利益確定売り(売り仕掛けも入る)を出したことで、一時11,805円まで急落しましたが、大引けは▼131の12,003円と何とか12,000円を守って引けました。この予想以上の下げによって予想される悪材料を織り込み、4日(木)の日銀金融政策決定会合の結果はこれまで発表された追加の金融緩和程度であっても、日経平均にとってはプラスに評価されることが考えられました。

ところが、4日(木)の日銀金融政策決定会合での発表は予想を大きく上回るものであり、黒田サプライズとなって前場の▼213の12,149円から、後場発表後は急反発となり、△272の12,634円で引けました。黒田サプライズの内容は、2%の物価上昇率目標の達成期間を「2年程度」と明示し、マネタリーベースの保有額を2年間で2倍に拡大するとし、長期国債買い入れの平均残存期間を現在の3年から7年間に延長するというものでした。欧米でも革新的と受け取られました。 結果的に週末5日(金)の前場は、海外からの投資資金が殺到し一時13,225円となり、前場の終値は△475の13,109円と2008年8月29日以来の13,000円台を回復しました。しかし、後場になると、国債利回りが過去最低水準となっていたことで国債先物に売りが集中して急落し、サーキットブレーカーが5年半ぶりに発動したことで、これを嫌気して株式市場は上げ幅を縮小して△199の12,833円で引けました。

目先は、懸念材料・短期の過熱感あるが、先高感は強い

5日(金)の日足チャートをみると、長い上ヒゲの陰線となり、出来高も64億円超えと過去最高となりましたので、普通は目先ピークを暗示する形となります。しかし、追加の金融緩和策の予想を超える内容が織り込まれたことで、いわゆる「罫線破り」というチャートの経験則を無視した上昇になることもあります。 3月第3週の外国人の投資主体別売買動向が19週間ぶりの売り越しとなり、ヘッジファンドの決算を5月に控え、4月は外国人買いがどうなるのか注目するところですが、3月第4週(21~29日)は再び2,725億円と外国人が買い越してきています。

基本的には、3月21日に12,650円の高値をつけて29日の12,397円まで日柄調整となったあと、4月1日(月)、2日(火)と2日間の値幅調整となって11,805円まで約6%下げて反発に転じ、先週末の5日(金)に13,255円まであって、終値で12,833円と12,650円の高値を更新したことで調整完了ということができます。そういう意味では、上述した長い上ヒゲ陰線は、短期間に解消されることになると思われます。

週明けの本日8日(月)は、為替が海外で1ドル=97円台後半の円安となった流れを引き継いで日本市場では98円台の円安進行となり、これを受けて日経平均は△248の13,082円で寄り付き、9時5分には5日(金)の高値13,255円と並ぶ高値をつけて、長い上ヒゲを完全に埋めてしまいました。その後は上海株式の大幅安や北朝鮮情勢への不安から利益確定売りとなって上げ幅をやや縮小する動きとなるものの円が98円台で円安が安定していることで高値圏を維持して△358の13,192円で引けました。

目先は、5日(金)の2008年8月以来の13,255円の高値をつけて長い上ヒゲとなったところを一気に埋めてきましたので、相場は強いということになります。但し、目先は13,255円と同値になって利益確定売りで下げ、出来高・売買代金ともに5日(金)よりは大きく減少していますので、このままさらに一段高となるかどうかは何ともいえません。為替がさらに一段安となれば別ですが、株・為替共に目先は過熱感があり、ユーロ圏の経済の悪化、イタリア政局、中国の引き締め策や鳥インフルエンザ、北朝鮮の情勢などもあり、懸念材料となるところです。 ここでは再び利益確定売りを優先し、調整があれば再度強気で買っていくところです。12,600~12,800円台の大きな上値抵抗ゾーンを突破したことで、今度はこのゾーンが下値抵抗ゾーンとなり、たとえ調整があってもさらに上値を目指す新しい局面に入ったとみてよいでしょう。

(指標)日経平均

先週の予測では、4日の日銀金融政策決定会合の内容によっては材料出尽くしからの下落を想定し、1日(月)に▼262の12,135円となって短期の売転換が出現したことで、12,000円を守れるかどうかに注目としました。

結局、2日(火)に円高への振れを嫌気し、金融緩和策の発表で材料出尽くしとなるとみた投資家の利益確定売りが集中し、ザラ場では11,805円まで下落しましたが、終値では△131の12,003円と12,000円を守りました。その後はNYダウの史上最高値更新をきっかけに反発し、4日(木)の黒田日銀総裁の発表は予想を大きく上回る内容となったことでサプライズとなり△272の12,634円となって、すぐに再度の買転換出現となりました。週末の5日(金)は一時13,225円と13,000円台を回復しましたが、その後急速に上げ幅を縮小し、△199の12,833円で引けました。

今週は、終値で13,000円台にのせることができるかどうかに注目となります。週末5日(金)の日足でみると、長い上ヒゲの陰線となり出来高も64億株と大商いとなっていますので、チャートの形からいうと、いったんピーク(天井)ということを暗示するものです。しかし、予想外の材料ですので、欧米の投資マネーの流入によって円安を追い風に13,000円をすぐに回復する可能性もあります。懸念材料はまだほとんど織り込んでいない「北朝鮮の挑発行動や中国の鳥インフルエンザの深刻化」です。

週明けの8日(月)は、為替が97円台の円安の流れを引き継いで日本市場で98円台の円安進行となったことで寄り付きから13,000円台を回復し、長い上ヒゲである13255円を一気に埋めて(5日(金)の高値13,255円と同値をつける)、大引けは△358の13,192円となりました。目先は短期の過熱感もあり、中国株式の下落、欧州不安、北朝鮮情勢もあり、一服する場面も考えられます。上値抵抗ゾーン12,600円台をクリアしましたので、次の下げの局面では、12,600円台が下値抵抗ゾーンに転換します。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、NYダウに続きS&P500も史上最高値を更新したことで市場は明るいムードとなっているものの、堅調相場が続くかどうかは欧州懸念の行方と3月雇用統計次第としました。

週前半は、欧州の落ち着きやアメリカの経済指標の改善を受けて史上最高値を更新する動きとなったものの、週後半は経済指標が予想を下回ったことや北朝鮮との緊張の高まり、さらに週末は雇用統計の予想を下回る結果を受けて一時▼171の14,434ドルまで下げて、▼40の14,565ドルで引けました。

今週から主要企業の1~3月期決算発表が始まるため業績や今後の見通しが投資家の関心を集めることになり、又8日のバーナンキ議長の演説や10日のFOMC議事録の公表で金融緩和の出口を巡り、どのようなものが出るのか注目となります。最高値圏での一進一退の動きが想定されます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、短期の円高トレンドが阻止できるかどうかは、4日の日銀金融政策決定会合の内容にかかっているとし、92~95円のレンジを想定しました。その4日の金融政策決定会合の内容は予想を大きく上回りサプライズとなって急激な円安進行となり、4月2日の92.56円から5日のNY市場では97.83円まで進みました。

柴田罫線では、4日に96.32円でドルの買転換(円の売転換)と円安トレンドを回復し、5日には3月12日の96.71円を更新し97円台半ばの動きとなりました。当面は日銀による市場の調整方針が浸透してくれば円安基調となっていくものと思われます。

週明けの8日(月)は、NY市場の流れを受けて1ドル=98円台まで円が進行しました。今週は、96~99円のレンジが想定されます。

ドル/円