先週は欧州不安で上値追えず、高値圏でのもみあい続く

先週は、3月期企業の決算期末で甘利経済再生担当相の「3月期末の13,000円目標」は、キプロス問題からイタリアの政局もからんで欧州債務問題への懸念が高まり、上値は追えず高値圏のもみあいとなりました。

3月27日(水)の海外では、イタリアの連立樹立に向けた話し合いが難航し、イタリアの格下げ観測、さらにドイツ銀行の信用格付けの引き下げなど欧州の債務懸念から欧米株式が下落し、やや円高方向ということもあり、28日(木)の日経平均は▼157の12,335円と大幅反落となりました。 3月の配当取りが終わり、前日は配当落ち分を埋めたものの、これをきっかけに上昇できなかったことや3月期末で機関投資家が動きにくいことや外国人の買いが減少し、需給面からも売転換に傾きやすい状況となっていました。

週末であり3月期末である29日(金)は、NYダウが最高値更新となったにもかかわらず、翌週に日米に重要イベントを控え様子見ムード強く、日経平均は△61の12,397円と反発するものの、値下がり銘柄数は1,000を超えていました。3月期末の日経平均を終値で高くするために、先物主導で日経平均に影響を与える値ガサ株(ファーストリテイリング、東京エレクトロンなど)を買うことで指数を引き上げたということになります。

28日(木)発表の3月第3週(18~22日)の三市場の投資主体別売買動向で外国人が918億円の売り越し(前週は4,574億円の大量買い越し)となり、連続買い越しは18週連続でストップとなりました。この週は、キプロス問題から買いが手控えられたことも考えられますが、一時的なポジション整理となるのか、いったん積極的な買いが止まり、一部利益確定をするような動きになるのか見極めるところです。

今週は、日銀金融政策決定会合、米3月雇用統計に絡む為替の動きに注目

名実ともに今週から新年度入りになりますが、今週は日米ともに為替に影響を与える重要イベントを控えており、内容次第では相場の転機となる可能性があります。日本では4月1日(月)の日銀短観、3~4日の黒田新日銀総裁の下での日銀金融政策決定会合があり、アメリカでは、3日に3月ADP雇用報告、3月ISM非製造米景気指数、5日(金)には3月雇用統計の発表となっています。 為替にからむイベントが多く、すでに先週述べましたように、柴田罫線の短期トレンド分析では3月21日に売転換が出現しており、これから一段の円高へ進むのかどうかに注目としていました。

3~4日の日銀金融政策決定会合が分岐点になる可能性があり、大胆な追加の金融緩和が期待されていますが、これまでの黒田発言でかなりの対策が既に織り込まれているとみてもよく(3月21日の就任表明をきっかけに円の買い戻し)、想定外の緩和策が出なければ一段の円安とはなりにくいと思われます。そうであれば、3月第3週の19週間ぶりの外国人の売り越しが一時的でなければ、円高基調と外国人の買い手控えで、いったん日経平均は調整色を強くすることを想定しておかなければなりません。主力株の一角には25日移動平均線を割り込み銘柄もみられてきています。いよいよ今年初めてのリスクの少ない買い場チャンス到来となるかどうか、待ってみるところです。

以上が昨日予測したものですが、本日は早くも▼262の12135円と大幅反落となりました。3~4日の日銀金融政策決定会合を控えて手掛かり材料がなかったということは、これまでの黒田新総裁の発言してきた大胆な金融緩和策をすでに織り込んでいるとみることができます。ということは、逆に3~4日の追加の金融緩和策発表をきっかけに、内容がすでに発表されたものであったとしても、反発に転じる可能性もありますし、一方でこれまで過度に期待されてきただけに失望売りが深まる可能性もあります。柴田罫線の短期分析では、すでにドルの売転換となっていたように、93円台の円高となってきたことも利益確定売りにつながりました。

しかし、ここでは、下げれば下げるほどリスクの少ない買いチャンスと考えるべきところです。まず1つ目の下値ポイントは25日移動平均線(4月1日時点12,121円)ですので、本日の終値12,135円水準を守れるかどうかとなります。その下は3月SQ値12,072円、12,000円となってきます。個別銘柄を買う場合は、今日の水準からの買い下がりもよいですが、基本は日経平均の12,000円台から指数の100円程度の下げに合わせて買っていくとよいでしょう。これまで急騰してきただけに、3月の米雇用統計まで悪化して円高が進むようだと12,000円を割れる局面も考えられるところです。外国人買いが復活すれば、下値は限定的といえますが、今のところまだわかりません。

(指標)日経平均

先週の予測では、3月期末に向かって高値圏のもみあいが続くとし、27日(水)の配当落ちの日にその配当落ち分(90円)をすぐに埋めて上昇できるかどうかとしました。ただし、柴田罫線の短期為替チャートで3月21日に売転換が出現していることで、為替に連動してきた日経平均の上値は重いことになるとしています。

結局、キプロス問題への一喜一憂が続き、イタリアの政局不安も絡んで伸び悩み、週間では0.5%高のほぼ横ばいとなりました。柴田罫線では3月21日の12,650円をピークにもみあいとなって、週末の12,335円の終値は22日(金)の12,338円を3円下に切る形で終わっています(現在、柴田罫線の2文切りは、金額の大きい場合は2文=20円として計算していますが、2文=2円とすれば売転換が出現していることになります)。

今週の最大の注目材料は、3~4日の日銀金融政策決定会合です。国債買い入れ拡大の目標などすでに黒田新総裁に言及していることは相場に織り込んでいる可能性高く、内容に予想以上のものがなければ目先材料出尽くしとなって、いったん円の買い戻しが進めば日経平均は利益確定売りということになります。又、週末のアメリカの3月雇用統計も為替の変動要因となります。週明け4月1日(月)は、手掛かり材料不足の中3~4日の日銀金融政策決定会合の内容はすでに織り込み済みとの見方が多く、為替も円高に進んだことで利益確定売り優先となり、▼262の12,135円の大幅下落となって、柴田罫線で短期の売転換が出現しました。チャートのフシは12,000円の大台ですので、まずはここで止まるかどうかに注目となります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、キプロス問題もいったん落ち着いたことから経済指標に注目することになり、予想を上回れば最高値を再び更新する動きとなるとしました。

週明けの25日(月)に欧州債務懸念から14,395ドルまで下落するものの、その後は予想を上回る経済指標が相次いだことで、28日(木)は△52の14,578ドルと最高値更新となり、S&P500も△6の1569Pと2007年10月以来の最高値更新となりました。

先週は、NYダウの史上最高値更新と同時にダウよりも広範な業種の値動きを反映するS&P500が約5年5カ月ぶりに最高値をつけたことで、市場は明るいムードとなっています。しかし、この堅調相場が長続きするかどうかはイタリアの政局やキプロス問題を含めた欧州情勢とアメリカの3月雇用統計次第となってきます。高値圏での波乱要因を含んだ週といえます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、3月21日に94.9円で短期のドルの売転換出現となっており、3月12日の96.71円を上回ることができなければ、次は93円台の円高となってくるとしました。

結果的には、キプロス問題やイタリアの政局からユーロが売られ、ドルの戻りも弱く、94円台でのもみあいとなりました。

今週の注目は、日本の3~4日の日銀金融政策決定会合の内容にかかっています。すでに国債の購入枠の拡大目標など黒田新総裁が発言した政策はすでに織り込まれているとみてよく、予想以上のものが出なければ円の買い戻しが進むことになります。又、アメリカの5日(金)の3月雇用統計が予想を下回ればドル売り・円買いとなり、予想を上回ればドル買い・円売りとなりますので、様子見が基本となります。92~95円のレンジを想定。

ドル/円