先週は、キプロス問題でスピード調整を想定するも一喜一憂の動きへ

先週の予測として、FOMCで出口戦略の話が出ると波乱要因となるものの、20日(水)に黒田日銀総裁がスタートすることで金融緩和期待が継続し上値を追う可能性もあるものの、「不安がないのが不安」といわれるように高値圏の状況では突然何が起こるかわからないことがあるとしました。

週明けの18日(月)にユーロ圏財務相がキプロスへの支援の前提に銀行預金者への課税を発表し、これを受けてドルが96円台から94円台へ急落したことで、日経平均は▼340の12,220円となりました。この時点では、前週末の大幅上昇の反動もあり、下げても12,000円台くらいのスピード調整を想定しました。 しかし、引け後のアメリカ市場で為替が落ち着き、NYダウの下げも限定的であったことで、19日(火)は△247の12,468円と反発しました。その後はキプロス問題への決着に関して一喜一憂する動きとなり、休日明けの21日(木)は△167の12,635円と4日ぶりの昨年来高値更新となるものの、再びキプロス問題が不透明となったことで、週末の22日(金)は▼297の12,338円と大幅反落して引けました。

今週は、高値警戒感と来週の日銀の金融政策決定会合への期待との綱引き

今週は、キプロス問題の再燃次第では下値を試す可能性もありましたが、本日の寄り付き直後にキプロスとEUの間での支援策が大筋合意の報道がなされたことで△169の12,507円と高寄りしてスタートとなりました。

今週は3月期企業の決算期末であり、甘利経済再生担当相が2月9日の講演で「3月期末の13,000円を目標に努力する」ということを述べたことで「甘利越え」という13,000円超えが市場のターゲットとなっている雰囲気があります。一番心配されていたキプロス懸念が落ち着いたことで、とりあえず目先の悪材料はあまり見当たらず、上値を追っていくのかどうか注目となります。

下支え材料としては、黒田新日銀総裁による初めての金融政策決定会合が来週開かれますので(就任時すぐにでも臨時の会合が開かれるとの期待は外れました)大胆な追加の金融緩和期待が続くことになります。注目されているのは、明日26日(火)が3月配当権利付き最終日ですので、翌日の27日(水)に日経平均で約82円といわれる権利落ちをすぐに埋めて上昇できるのかどうかとなります。埋めることができなければ目先材料出尽くしとなる可能性もあります。

ドル・円の柴田罫線での短期チャート(日足に近い形)でドルの売転換出現

これまで日経平均は主として円安を大きな材料としてここまで上昇してきました。先週の21日の黒田日銀総裁の就任演説のあとはサプライズ的な発言もなかったことで円が買い戻される動きになっています。新体制になるとすぐにでも臨時の金融政策決定会合が開かれ、思い切った追加緩和策への期待があったのですが、今のところ何も出ていません。であれば、来週の日銀の金融政策決定会合までは目先材料出尽くしとなって円安一服局面となる可能性もあります。

13,000円超えとなるには、やはり為替が3月12日の1ドル=96.71円を上回る円安にならなければ指数の大きな上昇にはなりにくいと思われます。柴田罫線の短期チャートの売転換ですので、来週の日銀の金融政策決定会合で大きな円安の材料が出ると、ドルの売転換が解消して円安トレンドを回復し、13,000円に向かう動きが考えられます。

(指標)日経平均

先週の予測では、12671円を突破すると13,000円が意識されるが、短期的には過熱感も高まっており、円安が一服すれば利益確定売りで下げる場面も考えられるとしました。週明けの18日(月)にキプロスの預金課税問題を巡る懸念からドルが急落し、日経平均は▼340の12,220円と大幅な下げとなりました。しかし、キプロスショックは一時的な見方が多く、翌日には△247の12,468円と反発しました。その後は為替も落ち着いたことから、21日(木)には△167の12,635円と4日ぶりに昨年来高値を更新しました。しかし、週末の22日(金)はキプロス問題が再燃し、▼297の12,338円で引けました。結局、週間で▼1.8%と6週間ぶりに下落となりました。

今週は、懸念されていたキプロス問題が大まかな合意に達したことで、3月期末の日経平均の着地点13,000円目標(甘利経済再生担当相発言)に向かう動きとなるのかどうかに注目が集まります。25日(月)は、先週末の大幅下落の反動もあって△169の12,507円で寄り付き、後場も一段高となって△207の12,546円で引けました。出来高・売買代金は増加しておらず、買い戻し中心の上昇だったといえます。柴田罫線からみると、21日(木)の△167の12,635円で更なる上昇の形である「ろく買」が出現していますが、この法則が高値圏で出る場合は、売りに転換しやすいという傾向があります。12,671円を抜くことができずに引線の終値で12,318円を下回ると、久しぶりに短期の売転換が出現し、12,000円台くらいへのスピード調整となる可能性もあります。12,671円を突破して13,000円を目指すには、為替が円安基調を強めるかにかかっています。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、FOMCで金融緩和の出口戦略についての話が出なければ景気回復期待は続き、高値圏での動きとなるが、17日(日)のキプロスの預金課税の問題がどう影響するのか注目としました。結局、キプロス支援を巡り一喜一憂の動きとなりました。18日(月)には一時▼108の14,404ドルまで下げましたが、FOMCでの出口戦略の言及はなく、これまでの金融緩和が維持されることが確認され、20日(水)は△55の14,511ドルとなりました。しかし、再びキプロス懸念で一時▼128の14,383ドルと大幅下落。週末の22日(金)は好調な企業業績を受けて△90の14,512ドルで引けました。結果的には前週比ほど変わらずとなりました。高値圏での上値の重い展開が続いています。

今週は、懸念材料だったキプロス問題がいったん合意されたことで悪材料はなくなり、経済指標に注目することになります。25日には英国でバーナンキ議長の演説があり、28日には2012年10-12月期のGDP確定値が発表されます。予想を上回れば最高値を再び更新する動きとなりますが、そうでなければ高値圏でのもみあいとなってきます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、アメリカの景気回復期待や黒田新体制のスタートで円売り、イタリアの政局など欧州の債務懸念で円買いと一方的に動きにくい展開を想定しました。しかし、週明けの18日(月)にキプロスの預金課税問題を巡る懸念からドルが急落して94円台の円高へ振れることになりました。又、黒田日銀総裁の21日(木)の就任記者会見でサプライズはなく、円が買い戻される動きとなり、目先材料出尽くしととなっています。円安材料はないことになります。

中長期の柴田罫線では、91.8円を下に切らなければドルの売転換(円高)となりませんが、短期分析の柴田罫線では21日(木)の94.9円で売転換が出現しています。

ドル/円