先週は、6日(水)の11,498円をピークに、目先節分天井となったのかどうか

先週の予測では、2010年4月5日の11,408円に挑戦する可能性は高いものの、「節分天井、彼岸底」の格言に注意としました。過去の経験則からも1月が大きく上昇した場合は、需給関係から目先下落する確率が高く、それが「節分天井」と言われているもので、先週の週は何か悪材料が出るなどのキッカケ次第で下落となるので要注意としました。テクニカル指標もすべて過熱感を示しており、投資家も高値圏での警戒感をもっているところですので、高値圏での強弱感が出やすいところでもありました。

5日(火)は、前日のヨーロッパでスペイン・イタリアの政局不安が起こり、欧州債務問題が再燃しかかったことで欧米株式が大幅下落、つれてリスク回避の円買いとなって円高にブレたことで、日経平均は▼213の11,046円と6日ぶりの大幅反落となりました。ここで一旦調整かと思ったところ、引け後の海外市場では欧州債務問題が落ち着き、アメリカの経済指標の改善で株高・ドル高となり、6日(水)は、日銀の白川総裁の辞任もあって円が94.06円まで1円以上の円安進行となったことで、日経平均は△416の11,463円の急騰となり、2010年4月5日の11,408円を軽くクリアーしました。 ただし、この上昇は8日(金)のSQ清算日を前にして権利行使価格11,500円のコールが急騰し、売り方が踏み上げられ、又ヘッジでの先物買いが膨らんで11,498円まで上昇し、△416の11,463円の終値となりました。

7日(木)は、前日の大幅上昇の反動から▼106の11,357円となり、出来高は51.4億円という大商いとなりました。そして週末の8日(金)は、為替が円高基調となったことで一時▼221の11,135円まで下落し、大引けは▼203の11,153円で引けました。

結果的には、目先は6日(水)の11,498円を高値に「節分天井」となった可能性が高くなりました。為替は一時1ドル=94.07円をつけて週末の8日(金)には92円台への円高となっています。 前週まで54年ぶりの12週連続の週足での陽線も先週で途切れました。(ただし、トピックスは13週連続陽線となっています)。7日(木)、8日(金)と2週連続で寄り前の外国人注文が売り越しとなっており、目先利益確定に動き出しているようにもみえます。

独と米の日本のデフレ脱却に伴う金融緩和策容認発言から再び円安へ

先週は強気一辺倒だった市場心理も、「節分天井」という格言に当てはまる週及びSQの週ということを背景に高値警戒感もあり、激しい動きとなって2010年4月5日の11,408円を一気にクリアーして6日(水)に11,498円の高値更新となり、ここをピークに目先下落に転じました。日柄整理もしくは値幅整理になるようですと、先週が目先の「節分天井」となったことになります。

日経平均が今週も高値を更新する場合は、為替の円安が1ドル=95円に向かう場合ですが、今週は13~14日(木)に日銀の金融政策決定会合があり、ここでは追加の金融緩和はないという見方が出ていますので、円安要因にはなりずらいといえます。又、15~16日(土)にG20財務相・中央銀行総裁会議、17日(日)に日米首脳会談が行われるため、海外から日本の円安誘導による国家間の金利競争への批判を避けるためにも円安を一服させたいところです。 麻生財務相の先週の発言で、「円は政府が意図しないスピードで円安になっている」という内容は、それを表しています。 イタリア・スペインの政治不安からの欧州債務問題の再燃のリスクはありますので、これは円高要因となります。

以上を踏まえて、今週はG20や日米首脳会談を見極めたいという動きや、日銀総裁の後任候補を巡る思惑、欧州の債務問題への不安で上値は重く、一時的に下落する局面があるかもしれないと考えていました。 しかし、日本が休場の間に、ドイツ連銀総裁の「ユーロは過大評価されているとは思わない」との発言からユーロが急騰し、又米ブレイナード財務次官の「米国は日本のデフレを終了させる成長を再活性化するための取り組みを指示する」という現状の金融緩和策を容認する発言があったことで円は1円以上も急落し、昨日は94.30円で引けました。これを受けて本日の日経平均は一時300円を超える11,460円まで上昇し、終値は△215の11,369円となりました。更に円安が進行して95円を試す動きとなれば、11,500円を試す動きが想定されますが、そうでなければ11,200~11,500円のレンジの動きとなりそうです。

(指標)日経平均

先週の分析では、世界的な景気の回復期待から、短期的な調整を挟んで上値を試す展開になるとし、「一言メッセージ」では「節分天井」の可能性の高い週なので、何か悪材料があればそれをキッカケに下落も考えられるとしました。

5日(火)に前日の欧州債務問題の再燃から欧米株式が下落し円高へブレたことで▼213の11,046円と下落するものの、6日(水)は欧州不安が落ち着き、為替が一気に1円以上の円安となって94円を突破したこと、更にSQに絡む売り方の踏み上げがあり、11,498円まであって△416の11,463円の急騰となりました。その後は円安一服となって、週末の8日(金)は▼203の11,153円で引けました。SQ値11,115円を上回って引けていますが、11,000円を切るようですと一段下げとなって買いチャンスとなります。

今週は、13~14日(木)に日銀の金融政策決定会合、15~16日(土)にG20があり、為替に左右される展開となります。為替の円安を唯一の材料にして日経平均は上昇してきていますので、目先円高へブレると下落となります。日本市場が休場の11日(月)に独米の日本の金融緩和を容認する発言があったことで、為替が先週末から一気に1円以上の円安進行となり94円台となったことで、12日(火)の日経平均は輸出関連株中心に買い直され一時11,460円まであって、終値は△215の11,369円でした。このまま6日(水)の11,498円を終値で超えられずに8日(金)の11,135円を終値で切るとちょっとした調整に入る可能性があります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の分析では、世界的な景気回復期待から米国債など安全資産に逃げ込んでいた投資マネーが株式に向かい始めており、NYダウは史上最高値を目指す動きとなりそうだとしました。

ところが、週始めの4日(月)にスペイン・イタリアの政局不安から欧州の債務問題が再燃し、▼129の13,880ドルと大幅下落となりました。しかし、その後はアメリカ経済指標の改善と企業決算の好調さから、すぐに切り返し14,000ドルを目指す動きとなりましたが、14,000ドルからは上値重く、週末の2月8日(金)も14,022ドルまで上昇しましたが、終値は△48の13,992ドルでした。

今週は、13日(水)発表の1月の米小売売上高に注目となります。最高値更新まであと200ドルという高値圏にあるため利益確定売りで上値が重くなっており、何か好材料が欲しいところです。アメリカでは財政再建の一環として年初から給与税(社会保障税)が増税となっており、小売売上高によって個人消費への影響をみることになります。影響があると判断されれば14,000ドルを前にもみあいが続くことになりそうです。週明けの11日(月)は、売り先行となるものの、原油高と金融セクターに下支えされ▼21の13,971ドルで引けました。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の分析では、日銀の総裁の後任人事に関する調整の本格化から時期総裁下での金融緩和の思惑から更なる円売りも考えられるとし、91~94円のレンジを想定しました。

日本市場の引け後の4日(月)は、スペイン・イタリアの政局不安から欧州債務問題が再燃し、リスク回避の円買いとなって92.21円まで円が買われましたが、5日(火)は欧州不安が落ち着いたことで再び一気に93.65円となりました。更に6日(木)はアメリカ経済指標の好調さからドル買いとなって一時94.06円まで売られました。しかし週末にかけては麻生財務相の円安のスピードが早過ぎるという発言もあり、92円台の円高で引けました。

今週は、G20や日米首脳会談を控え、日本政府としても米国との立場を考えて、目先円安の行き過ぎ発言もあって円安一服となる可能性がありました。ところが、ドイツ連銀総裁が「ユーロは過大評価されていない」と発言したことや米ブレイナード財務次官が日本の為替政策を非難しないと示唆したことで、再び円安基調となり、11日(月)は94.30円で引けて「ろく買」が出現しました。高値圏での「ろく買」は、このまま大きく伸びずに、引線の終値で92.8円を下に切るドル安(円高)になってくると、ドルの短期の売転換となって、一旦調整になってくる可能性が高まります。

ドル/円