先週は、政府高官の円安けん制発言を受け、急落するがすぐに反発

先週の予測では、21(月)~22日(火)の日銀の金融政策決定会合が相場の下支えとなるが、会合の後は材料出尽くしとなる可能性があるとし、日経平均の動きとしては、円安が進行すれば昨年の2月17日の10,891円を試して11,000円を目指すとしました。しかし、これは連休明けの15日(火)に10,952円まであがって終値は10,879円となり、ほぼ目標へ到達したことで上値目標にほぼ接近し、いったん下落を想定しておくところとしました。

16日(水)は、前日の15日(火)に前場の日経平均が10,937円で引けたあと甘利経済再生担当相が「過度の円安は国民生活に悪影響」とのコメントを出したことで上げ幅を縮小し、当日も石破幹事長が円安けん制発言をしたことで為替が1円近く円高に振れ、日経平均は▼278の10,600円の全面安となりました。17日(木)は、先物主導で売り崩しの動きとなって▼168の10,432円まで下落するものの、為替が円高基調から円安へ振れると△9の10,609円へと大きく切り返しました。そして週末の18日(金)は、為替がドルに対して90円台、ユーロに対して120円台の円安となったことで、日経平均は△303の10,913円と大幅上昇で引けました。

先週のメッセージで書きましたように、日経平均は円安を唯一の材料にして上昇してきていますので、現状の高値圏ではちょっとした為替の変動で大きく上下動することになります。そういう意味で、21(月)~22日(火)の日銀の金融政策決定会合で材料出尽くしとなって円高に振れると、いったん大きく下落する可能性が高いといえます。

週足チャートをみると、週初め(連休明け15日(火)の寄り付きが10,914円、高値が10,952円、安値10,432円、週の終値10,913円となって十字線に近い陰線となっています。相場の転換点で出やすい形ですので、注意しておく必要があります。

今週は、21(月)~22日(火)の日銀の金融政策決定会合後の為替の動きに注目

今週は、21日から22日にかけての日銀の金融政策決定会合後の為替の動きによって日経平均も左右される可能性が高いと思われます。物価上昇目標2%は既に織り込んでおり、追加の金融緩和政策もある程度織り込んでいるとみられています。但し、材料出尽くしとなって円高に振れても円安基調は変わらないという見方が多いため、日経平均が大きく下げても押し目買いとなることになります。

円安基調の背景は、安倍新政権の積極的なデフレ対策(日銀の金融緩和など)以外に日本の貿易収支の赤字定着からの円売り、アメリカ経済の経済指標の改善からのドル買い・円売りなどがあり、しばらく円安基調は続くものと思われます。再び円高になっていくという見方もありますが、民主党時代の無策による円高放置と違って、安倍政権のデフレ脱却に向けた強い意志がある以上、一時的に円高に振れても円安基調は続くと思われます。但し、一方的な円安はアメリカ自体もドル安によって国内景気の回復を考えていますので、何らかのクレームをつけてくることになります。当面は、1ドル=95円ぐらいが許容範囲かもしれません。レンジとしては、85~95円というところでしょう。

本日は、△28の10,941円で寄り付くものの、為替が円高へ振れ、明日の日銀金融政策決定会合の結果を見極めたいというムードから利益確定売りが続き、▼165の10,747円となりました。トピックスは▼6の905Pですので、輸出の主力大型株中心に売られたことになります。日銀金融政策決定会合での材料出尽くしを織り込んでいる下げともいえます。結局、先週の週足での十字線に近い陰線が相場の転換点に出やすいということを上述しましたが、その通りの動きとなりました。チャートでは、10,580円を終値で切ってくると1月17日の10,432円を試す動きとなってきます。この水準は下値抵抗ゾーンとなるところです。

(指標)日経平均

先週は、円が一段安(90円台)となるようなら、昨年2月17日の10,891円を上回って11,000円を試す動きも想定されるが、その水準ではいったん反落となる可能性を考えたほうがよいとしました。結局、一時的な円高で1月17日(木)に10,432円まで下落するもののすぐに円安基調に戻り、18日(金)は1ドル=90円台の円安となったことで、昨年2月17日の10,891円を突破し、10,900円台のせで引けました。

今週は、21(月)~22日(火)の日銀の金融政策決定会合を受けて材料出尽くしとなるかに注目となります。材料出尽くしとなって為替が円高に振れると日経平均も一時的に下落の可能性が高まります。下落すれば押し目買い意欲強く、今のところは下値は限定的といえます。下げても17日(木)のザラ場安値10,432円が下値ポイント、上値では11,000円というところです。

週明けの21日(月)は、翌日の日銀金融政策決定会合の結果が材料出尽くしとなる可能性を織り込む動きとなって為替が円高へ振れたことを嫌気し、▼165の10,747円で引けました。引線の終値で10,580円を下回ると短期の売転換出現となって1月17日の10,432円を試すことになるかもしれませんが、その水準があれば買いチャンスと考えられます。

日経平均

(指標)NYダウ

先週は、10-12月期の決算発表をにらみながらの一進一退の動きになるとし、これに経済指標の発表が加わるとしました。週前半は、アップルの大幅下落やボーイングの下落、また世界銀行の2013年の経済成長見通しの下方修正を受けるものの一方で大手銀行の好決算があり、一進一退の動きとなっていました。しかし、週後半は良好な経済指標と企業決算を受けて17日(木)は△84の13,596ドル、週末の18日(金)は△53の13,649ドルと昨年の終値での高値10月5日の13,610ドルを上回って引けました。2007年12月以来約5年1カ月ぶりの高値回復となります。

先週後半は、米景気指標の改善期待や企業の好決算を受けて堅調な動きとなり、約5年1カ月ぶりの高値を回復しました。チャートの形は、2011年10月4日の10,404ドルを安値に下値の上昇角度が(A)→(B)→(C)と緩やかになって(C)の2012年6月4日の10,235ドルを安値とする上昇トレンド(C)を形成しています。この中で11月16日の12,471ドルからの上昇で、先週末の18日(金)に昨年10月5日の終値13,610ドル(ザラ場高値13,661ドル)を上回る13,649ドルをつけました。昨年10月5日のザラ場高値13,661ドルを突破すると、次の上値の大きなフシは2007年10月1日の14,088ドルとなります。6月4日の10,235ドルからの上昇トレンド(C)の上値斜線も14,000ドル水準にあります。企業決算の内容によっては下げる場面もありそうですが、金融緩和によるマネーが株式市場に流れ込んでおり、目先の需給関係は良好といえます。

NYダウ

(指標)ドル/円

2008年8月15日のドルの高値110.5円からの下降トレンド(A)の中で、この年の12月18日に87.3円の安値をつけ、直角三角形の保ち合いを形成。この保ち合いを下放れし、2011年10月31日の75.6円まで下落。ここを安値に底値圏でのもみあいとなり、2012年2月1日の76.1円、9月13日の77.1円と順上げの三点底(逆三尊)となって、10月19日に79.4円で買転換出現。ここから自民党の圧倒的勝利と安倍首相のデフレ対策のための金融緩和への期待が高まり、2008年8月15日の110.5円からの下降トレンド(A)を一気に抜け出し、2011年4月6日の85.5円を突破し、1月11日(金)は89円台を回復。

先週は、政府高官の相次ぐ円安けん制発言を受けて1月16日(水)には87.9円までの円高へ振れましたが、21(月)~22日(火)の日銀の金融政策決定会合への期待やアメリカの経済指標の改善や企業決算の好調さを受けてドル買い・円安が進行し、1ドル=90.21円までの円安となりました。18日(金)の90.21円を引け値で上回れば92円台のドル高・円安、16日(水)の87.9円を下回れば85円台が下値サポートとなります。

ドル/円