先週は、大発会日だけの営業だが、大幅高

先週の1月4日(金)の大発会は、アメリカでの「財政の崖」の回避を受けて海外株式が急騰し、為替も一段の円安進行(1ドル=87円台後半)となったことで△292の10,688円と日本市場が休場の間の年末年始の好材料を一気に織り込む好スタートとなりました。

東日本大震災直前の2011年3月10日の高値10,434円(ザラ場高値10,549円)を軽くクリアーし、一時10,734円までありました。外国人投資家の買い意欲が強く、国内の投資信託の売りを吸収し、出来高34億株、売買代金1兆9,516億円と2兆円に近づく大商いとなりました。ふつう日経平均が連続して大きく上昇するときは先物主導の買いで裁定取引が入りながら上昇していくのですが、今回は裁定取引残の伸びも現時点では穏やかになっており、先物主導による上昇ではないといえます。今回は、外国人投資家が現物で積極的に買っており、ここで現物で買うということは、日経平均の上昇をかなり上だとみていることになります。

ただし、4日(金)の時点で騰落レシオ147.8%(130%以上だと過熱圏)、移動平均乖離率8.6%(5%以上だと過熱圏)などすべてのテクニカル指標が過熱圏にあり、年初来高値銘柄も319銘柄と過去の高値圏でしか現れない数字となっており、スピード調整があってもおかしくない状況です。

目先は高値警戒感があるが堅調な動きを想定。スピード調整あれば押し目買い

今週は、昨年末から今年の大発会4日(金)までの急ピッチな上昇に対する高値警戒感もあり、ちょっとして調整に入る可能性もあります。といっても安倍新政権に対する金融緩和の強化や公共事業の積極化などの政策への期待は強く、下値は限定的と思われます。

ただし、ここからの上値も為替が先週末のアメリカの雇用統計を受けて1ドル=88円台まで下落しており、このまま一気に90円台を目指せば日経平均も2011年2月17日の10,891円を突破することになりますが、そうでなければ高値圏でのもみあいとなって次の材料を待つということになります。1月21日~22日の日銀の金融政策決定会合までは金融緩和策の内容を巡る思惑や大型補正予算や経済再生策など自民党政権に対する期待が相場を支えることでしょう。

アメリカでの「財政の崖」の回避は一時的であり、2月まで財政再建計画と債務上限引き上げ問題を先延ばしにしていますので、第2、第3の「財政の崖」問題が懸念されます。ただし、今回の日本株式の上昇は海外の株式の変動をあまり受けない可能性があります。それは、外国人の大量の買い越しは安倍新政権によるデフレ脱却など日本の政策転換を先読みしているからです。これは逆に、将来安倍首相のリップサービスが現実には実行できないということが明白になった場合は、外国人売りによって再び大きな下落となることを意味しています。

本日1月7日(月)は、先週末の海外市場で為替が1ドル=88円台の円安となったことで△55の10,743円と高寄りしましたが、ここをピークに利益確定売りに押され▼89の10,599円で引けました。ここからの下値ポイントは5日移動平均線の10,480円、10日移動平均線の10,244円がありますが、柴田罫線では10,255円が強力な下値抵抗ラインとなります。5日移動平均線からは買い下がってみるところと考えられます。

(指標)日経平均

年明けの先週は、4日(金)の営業日1日だけでしたが、アメリカで「財政の崖」問題が回避されたことで海外株式が急騰し、ドルが買われて円安進行となったことで、この日は10,734円まで上昇し終値は△292の10,688円となりました。大発会での売買は例年少ないのですが、この日は海外投資家の現物買いが活発化し、東証1部の売買代金は1兆9,516円に膨らみました。

今週は、テクニカル面からみると、急ピッチな上昇に対して過熱感が高まっており、チャートも昨年の東日本大震災前の高値2011年2月17日の10,891円に近づいており、この水準を上値に高値圏でのもみあいとなる可能性があります。安倍政権の政策への期待は強く、一段の円安(89円台)となれば、2月17日の10,891円を試す可能性が高く、逆に円安一服となって海外で何らかの悪材料があればスピード調整の可能性もあります。

週明け7日(月)は、為替が1ドル=88円台の円安となったことで△55の10,743円で高寄りし、1月4日の10,734円の高値を更新しましたが、目先はここがピークとなって利益確定売りに押され▼89の10,599円で引けました。下値ポイントは5日移動平均線の10,480円、もしくは10日移動平均線の10,244円があります。柴田罫線では10,255円が強力な下値抵抗ラインとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

年明けの1月2日(水)は、「財政の崖」問題が回避されたことで△308の13,412ドルと昨年10月中旬以来約2カ月ぶりの高値で引けました。その後も雇用統計の改善から週末の4日(金)は△43の13,435ドルの高値で引けました。S&Pは2007年12月以来の高値更新となっており、昨年の10月15日の最高値13,661ドルも視野に入ってきました。

2011年10月4日の10,404ドルの安値からの上昇トレンドにありますが、下値は切り上げているものの、(1)→(2)→(3)というように上昇角度が緩慢になっており、中期的に上値は重たくなっていることを示しています。しかし、当面は昨年の6月4日の12,035ドルからの上昇トレンド(3)の中にあり、この中で11月16日の12,471ドルを安値に上値を試す形となっています。S&Pが2007年12月以来の高値更新となっていることは、主要指数としてNYダウが出遅れているともみることができ、昨年の10月5日の13,661ドルの突破も視野に入っているとみることができます。目先は、「財政の崖」問題から2012年10~12月期の企業業績に注目が移ってきますが、米経済を支える量的緩和がいつまで続くか、今後各連銀総裁が示す景気認識や金融政策の見直しに相場が左右されることになります。13,500ドルでのもみあいの可能性があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

  • このチャートは、値幅を1円単位とした柴田罫線による長期トレンド分析チャートです。

2007年6月19日の123.7円のドル高(円安)をピークに長期の下降トレンドとなっています。この中で2008年8月15日の110.5円のドルの戻り天井から12月18日の87.3円まで急落し、その後2009年4月6日に101.2円までドルが戻すものの2009年11月27日には84.8円までの再下落となりました。ここでは87円水準を下値に2009年4月6日の101.2円を高値とする直角三角形の保ち合いとなっていましたが、この煮詰まったところで2010年4月6日の95.5円の戻り高値をつけたあと下放れとなり、2011年10月31日の75.6円までの下落となりました。その後安値圏で(1)(2)(3)と順上げの3点底をつけて直近のドルの高値2012年3月5日の84.1円、さらに2011年4月6日の85.5円を突破し、上放れの形となりました。週末の1月4日(金)は88.41円まであって、88.16円で引けています。チャートでみると、この88円水準は強力な上値抵抗ゾーンとなるところですので、このまま突破できるかどうかに注目となります。突破すれば1ドル=90円が次の上値のフシとなりそうです。

ドル/円