先週は、自民党の政権公約を受け円が一段安となり、日経平均も一段高へ

19日(月)の時点では、欧州の債務問題やアメリカの「財政の崖」問題を考えると、為替の円安のみでは、ここから(19日時点9,153円)の上昇は限定的としました。但し、ドル・円のチャートと日経平均のチャートの動き(山谷、要するに上下動)がほとんど同じなので、今回円安がどこまで進むかによって日経平均の上昇も変わってくるとしました。又、輸出企業の為替レートは1ドル=80円以下となっているため、業績の上方修正となっていくともコメントしました。

ドル・円が6月25日の80.61円を大きく更新する81.46円まで上昇したことを考えると、日経平均が9月19日の9,288円を突破する動きとなってもおかしくないが、目先はどうなるかわからないともしていました。

ところが、想定を超える大幅円安となったことで日経平均も大幅上昇が続きました。この背景には11月21日(水)に自民党が政権公約として金融についてインフレ目標を2%に設定し、日銀法改正も視野に入れた大胆な金融緩和を行うことを発表したことで一段の円安となり、21日(水)には1ドル=82.55円まで円安が進行したため、これを受けて22日(木)の日経平均は自動車、電機の主力の輸出関連株が買われ、△144の9,366円の高値引けとなり、9月19日の9,288円を突破して引けました。

日経平均は、終値ベースでは、11月14日(水)の8,664円から22日(木)の9,366円まで702円の上昇幅で、上昇率は8%と目先急ピッチの早さとなっています。自民党の政権公約と安倍自民党総裁の大胆な金融緩和の発言が1ドル=82円台までの円安となり、相場のムードを一変させました。しかし、調整のない上昇はないわけですから、そろそろ高値警戒感が出てもおかしくありません。

今週は、まずは目先の上値抵抗ゾーンの9,500円水準を試す動き

上述しましたように、ドル・円のチャートと日経平均のチャートの動きはほとんど同じですので、円安の進み具合で日経平均の上昇もある程度連動すると思われます。為替が1ドル=82円台半ばまであった4月初旬の水準は9,600~9,700円のレンジで動いていました。そのため、このレンジを目標に上昇するという見方もあります。ただ、当時は日本経済の年後半への期待もありましたが、その後円高進行や欧州債務問題、中国問題があり、輸出関連の主力企業の下方修正が相次ぎましたので、しんなり9,600~9,700円のレンジにいけるかどうかわかりません。

それが新政権への円高修正期待から株価も上昇していますが、期待だけでは上昇は限界があります。日経平均の目先の上値の目安をファンダメンタルズからみると、企業の解散価値の「PBR」が1倍を割り込むと割安といわれますが、9,500円水準で1倍へと接近し割安感がなくなりますので、9,500円水準が1つの上値のフシ目とみることもできます。チャートからは、5月初旬に窓を空ける前の水準が9,500円で、11月22日(木)の9,366円で窓埋めとなりましたので、いったん目標達成という場合もありますが、相場が強ければ9,500円水準までそのまま戻りを試すことになります。本日は、△99の9,466円で寄り付き9,487円まであって、買い一巡後は利益確定売りで△22の9,388円で引けました。

何かきっかけ次第では調整が入る可能性もありますが、12月16日(日)の選挙日までは押し目買いとなりますので、下値のメドは、まずは200日移動平均線(11月26日9,081円)、そこを切ると25日移動平均線(11月26日8,975円)、75日移動平均線(11月26日8,940円)ぐらいのものでしょう。

選挙の投票日以降、過去の経験則では下がる確率が高いので、目先の手仕舞いは、12月16日(日)までを1つの目安とした方がいいかもしれません。現在は自民党新政権への期待で買い、選挙結果が出ると事実で売る(公約の実現を見極めるためにいったん売る)ということになる可能性が高いといえます。

短期的には、11月13日のザラ場安値8,619円から11月26日のザラ場高値9487円まで約10%の上昇率となっています。安倍自民党総裁の大胆な金融緩和発言が内外の円売りとなって日経平均が急上昇していますが、この発言内容が本当に実現できるかどうかわかりません。欧州債務問題もアメリカの「財政の崖」問題もスムーズに進むとは思えません。今の動きは、何か起こったらその時考えればいい、何か起こるまで進もうという動きのようにも思えます。みんなが強気になった時こそ冷静になるというのが今の状況だと思われます。

(指標)日経平均

先週の予測では、次期政権の可能性が高い自民党の日銀への金融緩和圧力を下支えに戻りを試す展開が想定されるとしました。ただし、外部環境を考えると9月19日の9,288円を一気に突破するのは難しいという見方でした。 ところが、自民党が11月21日(水)の政権公約で「2%の物価上昇率目標に、政府と日銀が政策協定を結ぶ」としたことで大胆な金融緩和期待から82円台半ばまでの一段の円安進行となり、22日(木)は△144の9,366円と9月19日の9,288円を一気に突破する上昇となりました。チャートでは、5月上旬に窓を空けて急落した窓の下限に到達し、今年の6月4日の8,238円からの短期上昇トレンド(B)の上値斜線に到達しています。

今週も更に円安推移となれば9,500円水準までは戻りを試す可能性があります。そうでなければ、10月15日の8,488円の安値から22日(木)の9,366円まで10%強の上昇となっており、利益確定売りが膨らんで、一旦調整した後に9,500円を目指すことも考えられます。下げれば、目先は9,000円水準が下値のメドというところです。26日(月)は、23日(金)のNYダウの13,000ドル台のせと為替が1ドル=82円台半ばの動きとなっていたことで△99の9,466円で寄り付き9,487円まで上昇(日経先物は9,500円に到達)したものの、その後は利益確定売りとなって△22の9,388円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、22日(木)の感謝祭での休日を控え米議会も休会となることから、「財政の崖」問題の与野党の調整の本格化は翌週以降となり、反発しても128,00ドルからは上値が重いとしました。しかし、19日(月)には割安感から△207の12,795ドルと大幅上昇し、その後欧州債務問題の懸念や中東でのハマスとイスラエルの停戦合意を受けて21日(水)には△48の12,836ドルと12,800ドル台にのせました。そして感謝祭明けの23日(金)はギリシャ支援への楽観的な見方と年末商戦が好調なスタートを切ったことで△172の13,009ドルと13,000ドルを回復しました。チャートでは、大きなフシ目のところに到達しています。

今週は、13,000ドル台を維持できるかどうか注目となります。「財政の崖」回避への期待や年末商戦への期待から目先は反発していますが、不透明要因も多く、住宅指標や欧州債務問題をにらみながら一進一退の動きとなりそうです。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測では、6月25日の80.61円と11月2日の80.68円のダブル天井となっていたところを突破して、ドルが踏み上げられ円が急落して81円台半ばまでの円安進行となったことで、押しが浅くドルの再上昇となれば1ドル=82円を試す動きも想定されるとしました。結局、11月21日(水)に自民党が政権公約で「2%の物価上昇率目標に、政府と日銀が政策協定を結ぶ」と発表し、大胆な金融緩和期待から円が更に売られ82円台半ばまで円安進行となりました。

今週も安倍自民党総裁の大胆な金融緩和を求める発言が繰り返されていることで海外勢を中心に円安期待が高まっており、又日中貿易の冷え込みで輸出の低迷から貿易収支が悪化し円安材料として意識されるため、円安傾向の継続の見方が多いようです。81.5~83円のレンジを想定。

ドル/円