先週は、週前半は大統領選挙を控えて様子見、後半はオバマ氏再選で大幅下落

先週の予測では、6日(火)の大統領選挙の結果次第であり、ロムニー氏が勝てば景気への配慮を鮮明にしているためドル高・株高、オバマ大統領が再選すれば「財政の崖」へのリスクが高まり上値の重い展開となる見方があるが、ハリケーンへの対応の評価もあり、現職のオバマ大統領が有利としました。

円安基調が続けば9,200円を試す動きが出てくる可能性があるとしていましたが、7日(水)にオバマ大統領が再選されたことに加え、ドラギECB総裁が欧州経済の弱さに言及したことで欧州株式が急落し、この流れを受けてNYダウも▼312の12,932ドルと、要注意とした13,000ドルを切って引けました。オバマ大統領再選によって年末の大型減税策の期限切れと来年1月から始まる政府支出の強制削減、いわゆる「財政の崖」問題への対応が日本と同じように議会で「ねじれ現象」を起こしており、民主党・共和党の両党が妥協案で歩み寄れるか不透明なことでNYダウは13,000ドルを割って売転換出現となりました。

日経平均は、200日移動平均線(9日時点9,074円)と25日移動平均線(9日時点8,863円)、75日移動平均線(9日時点8,892円)の間の往来相場となっていましたが、8日(木)は、前日のNYダウの急落を受けて▼135の8,837円となって往来相場を下放れする形となり、週末の9日(金)も5日続落となって▼79の8,757円で引けました。26週移動平均線の8,812円も切ってしまいました。

「財政の崖」問題の懸念と為替の円安修正の変化を受け、下値模索へ

先週のアメリカ市場では、オバマ大統領の再選を受け「財政の崖」問題への懸念から、7日(水)に▼312ドル、8日(木)に▼121ドルと2日間で433ドルの今年最大の下げ幅となり、要注意である下値ポイント13,000ドルを切って引け、9日(金)は△4の12,815ドルとなっています。目先は、下げ過ぎからの自律反発も考えられるところですが、6月4日の12,035ドルから10月5日の13,661ドルまでの短期の上昇トレンドを明白に割り込んでいますので、どこで止まるのか注目するところです。上昇幅の1/2押し(12,848ドル)は既に切りましたので、次の下値ポイントは柴田罫線の12,604ドル、2/3押し(12,577ドル)となります。この水準まで下げると完全に戻り相場となって、アメリカ株式の高値挑戦は相当時間がかかることになります。

昨年の11月25日の11,231ドルから今年の5月1日の13,338ドルまでの上昇の時の調整は、6月4日の12,035まで下げていますが、調整は黄金分割比(0.618)と同じ押し目率となっていますので、今回の調整をこの0.618押しで計算すると約12,650ドルとなります。

さらに為替の円安傾向に変化が出てきています。対ドル、対ユーロでも9月からの短期の円安トレンドとなっていましたが、このトレンドがオバマ氏の再選と欧州信用不安の再燃をきっかけに円高方向にふれてきました。特に、「財政の崖」問題はねじれ議会の中で妥協案が決定するのに時間を要するため、米株安とドル安を招く可能性があります。

以上の外務環境をにらみながら、今週は下値模索する神経質な展開が想定されます。このからの下値は柴田罫線の8,596円ですが、8,500円を切ると10月15日の安値8,488円、7月26日の安値8,328円となります。8,500円水準からは好業績銘柄を押し目買いしていくところです。

本日は、内閣府発表の7-9月期GDPが前期比▼0.9%(年率3.5%)の大幅悪化となったことで▼56の8,701円で寄り付き、大引けは▼81の8,676円となりました。3四半期ぶりのマイナスですが、最大の原因は輸出の不振であり、上場企業の経常利益の下方修正は合計で3.2兆円の下ブレ見通しとなっています。このため、今回の買いは下げ過ぎのリバウンド狙いが基本となりますので、テーマ株や好業績銘柄のリバウンド狙いとなります。

(指標)日経平均

先週の予測では、2日(金)に9,051円で短期の買転換出現となったものの、ロムニー氏が勝てば9,200円も期待できるが、オバマ大統領再選ならば上値の重たい展開が続くとしました。チャートからは9,200円が上値抵抗ラインだが、反落して10月30日の8,841円を終値で切ると、8,700円水準までの下落となることを想定しました。結局、週前半は大統領選挙を控えての様子見からじり安となり、7日(水)の大統領選でオバマ大統領の再選が決まると、「財政の崖」問題がクローズアップされ欧州債務問題も再燃してきたことでNYダウが急落し、8日(木)の日経平均は▼135の8,837円となって再度の売転換出現となり、週末の9日(金)は▼79の8,757円と5日続落で引けました。下値のフシとなる25日移動平均線や26週移動平均線を割り込んで引けました。

今週は、為替もこれまでの短期の円安トレンドが壊れて円高方向へブレた可能性が高く、アメリカ株式の調整や欧州不安の再燃で、日本株式も下値模索となることが想定されます。ここからの下値ポイントは、柴田罫線では8,596円、10月15日の安値8,488円となりますが、8,500円を割ってくると好業績銘柄の大きく下げたところを少しづつ買っていく準備をするところとなります。12日(月)は、7-9月期のGDPが年率▼3.5%の大幅悪化となったこともあり▼81の8,676円で引けました。6月4日からの上昇トレンド(B)を下に切りつつあります。8,596円を切ると8,500円を試す動きとなります。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予測では、7日(火)の大統領選でロムニー氏が勝てばNYダウは一段高、オバマ大統領再選ならば「財政の崖」問題への対応懸念から上値は重い状況になるとし、相場としてはオバマ大統領再選を織り込み始めているとしました。6日(火)は、取引終了後に統領再選を控えるなか、結果がどうあろうと不透明感がなくなるとして△133の13,245ドルと見切り発車しました。しかし、7日(水)はオバマ大統領再選となって、「財政の崖」問題がクローズアップされ欧州債務問題の再燃もあって▼312の12,932ドルの急落となり、翌日の8日(木)も「財政の崖」問題への懸念から▼121の12,811ドルの大幅続落となりました。週末の9日(金)は12,743ドルまで下げて△4の12,815ドルで引けました。6月4日の12,035ドルから10月5日の13,661ドルまでの上昇幅の1/2押し(12,848ドル)を下回って引けています。

先週のNYダウは3週連続の下落となり、週間では2.1%安でフシ目の13,000ドルを約3カ月ぶりに切りました。大統領選が終わり不確定な要因は1つ減りましたが、、「財政の崖」問題がクローズアップされ、雇用情勢、欧州債務問題の再燃、中国の指導者交代などの懸念材料をにらんで不安定な展開が想定されます。下値ポイントは、12,721ドルを切ると12,600ドル台前半となります。2/3押しは12,577ドルですが、ここまで下げると完全に戻り売りの形となってしまいます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、2日(金)の雇用統計が改善されたことで一時80.68円までのドル高・円安となり、大統領選の結果によっては、オバマ大統領再選ならばドル売り、ロムニー氏が勝てばドル買いになることが想定されました。チャートでは、1日(木)に80.16円でドルの買転換となって2日(金)の80.68円までドル高・円安が進みましたが、引け値では80.68円を突破できず、7日(水)のオバマ大統領再選を受けて「財政の崖」問題への懸念から株売り・ドル売りとなり、79.99円で再度の売転換出現となって週末の9日(金)は79.47円の円安で引けました。

今週は、オバマ大統領の再選が決まり「財政の崖」の回避に向けた与野党の協議が本格化します。上下両院で民主・共和両党の多数派が異なる議会の「ねじれ」現象の中で調整が難航するとの懸念から、円高・ドル安に反応しています。今年1年のチャートをみると、3月15日に84.17円の高値をつけて下降トレンド(A)を形成し、この中で6月1日に77.66円まで下落し、ここから6月25日の80.616円まで反発するものの緩やかなドルの下降トレンド(B)となって、77.13円の年初来安値更新(円では高値更新)となりました。この9月13日の77.13円をドルの安値に短期の上昇トレンド(C)となり、下降トレンド(B)を上に抜けて10月25日に80.34円、11月2日には6月25日の80.616円を上回る80.68円までドルが買われました。しかし、ダブル天井に近い形となってオバマ大統領再選で先週一気のドル売りとなり、11月7日に79.99円で再度の売転換出現となり、週末の9日(金)は10月26日の79.50円を下回る79.47円で引けて、短期上昇トレンドを大きく下に切ってきました。短期の円安トレンドを終わって、当面は再びドル売り・円買いの流れになる可能性が高い形といえます。

ドル/円