先週は、想定通り9,000円近辺での一進一退の動き

先週の予測では、為替が欧州の信用不安の後退やアメリカの景気回復期待からドルが買われる状況となり、10月30日の日銀の追加の金融緩和期待からチャートでは円の下放れ(ドルの上放れ)となっているため、企業決算の下方修正があっても相場を下支えすることで、9,000円近辺での一進一退の動きを想定しました。但し、1ドル=80円を超す円安進行となれば日経平均は上値を試す動きとなって、19日(金)の9,016円を終値で抜くと9159円を試す動きも想定されるとしました。

週前半は、欧米株式の下落を受けて8,900円を割る場面があるものの、日銀の金融緩和期待にサポートされてすぐに切り返し、23日(火)は△3の9,014円と1年3カ月ぶりの7日続伸となりました。24日(水)は欧米株式の大幅下落を受けて、▼59の8,954円と8,900円を終値で切って引けましたが、25日(木)は、日銀による追加の金融緩和策や政府による経済対策の報道から為替が1ドル=80円を超える円安となり、日経平均は△100の9,055円となりました。 為替が1ドル==80円を上回る円安になってきたことや9,016円を上回って引けたことで9,159円を試す動きを想定していましたが、26日(金)は9,075円を高値に上値が重くなり、後場になると利益確定売りと週末要因で▼122の8,933円の大幅下落となりました。 25日(木)に日銀の追加の金融緩和の内容が「10兆円程度の追加緩和」と報道され、これを受けて為替が1ドル=80円台にのったことで目先材料出尽くしになった可能性もあります。30日(火)にこれ以上の内容のものがないと、一段の円安は期待できないかもしれません。

30日(火)の日銀の金融政策の発表後は、上か下か…確率的には下の可能性

先週の相場をみていると、8,900円を切ると押し目買いが入って9,000円を回復する動きが続いていることで相場は強いという見方がある一方で、日銀の金融緩和策の発表が終われば材料出尽くしとなり、これから本格化する企業決算の下方修正を受けて下値を試す動きとなる見方があります。

相場が強いという見方は、10月第3週(10月15日~19日)の投資主体別売買動向で、外国人が約半年ぶりの大きさとなる1546億円の買い越しとなり、外国人買いが続くのではないかというものがあります。但し、その場合は為替が1ドル=80円台を維持できるかにかかってくるものと思われます。上昇後高値水準にいることを考えると、9,000円水準での「値固め」という見方がされていることになります。テクニカル的には、200日移動平均線(9,064円)が上値を押さえ、25日移動平均線(8,853円)と75日移動平均線(8,858円)が下値を支えているボックス相場のようになっていますので、どちらかに抜けた方に動くことになります。

今の相場環境は、悪材料が引っ込んで期待できる材料が表に出てコメントされ、投資家心理が改善されていますが、根本になる景気の減速、欧州不安、企業の業績の下方修正リスクがあることを絶えず念頭に入れておく必要があります。

弱気の見方は、日銀の追加の金融緩和策は既に織り込み(報道された以上のものが出てくれば別ですが)、今後は欧米株式に注目する必要があるということです。欧米株式は6月から上昇が続いており、そろそろ調整が本格化してもおかしくないところです。そういう意味でNYダウの13,000ドル割ればそれなりの調整につながっていく分岐点といえます。 10月末は、米国のミューチュアルファンド(投資信託)の決算期になっており、要注意といえます。又、米国では来年から株式の譲渡税や配当税率が上昇することが予想されていることから、例年以上に利益確定の売りが増加するということが予想されています。

以上を考えると、今週はどちらかというと円安一服となってもみあいの中で下値を試す動きの方が確率としては高いように思われます。但し、その場合は、下値は25日移動平均線(8,853円)が守れるかどうかが一つのポイントと思われます。

本日は、先週末の大幅下落からの買い戻しや日銀の金融緩和策の発表を明日に控えて小反発で始まるものの上値重く、後場になるとホンダの決算発表で2013年3月期の業績予想を下方修正したことでマイナス圏の動きとなり、大引けは▼3の8,929円となりました。出来高・売買代金共に細ってきており、新規の買いは期待できなくなってきています。

(指標)日経平均

先週の予測としては、前週に日足で「上げの三空」の形となって上昇してきているので、一旦下落して押し目を形成してもいいところですが、下値では日銀の金融緩和期待で下げにくく、9,000円近辺で一進一退の動きとなることを想定しました。上値を試す場合は、為替が1ドル=80円を試す場合としました。

週明け22日(月)は、欧米株式の下落を受けて8,874円まで下落するものの、円安に支えられて△8の9,010円となり、23日(火)は△3の9,014円と1年3カ月ぶりの7日続伸となりました。24日(水)は欧米株安を受けて▼59の8,954円と9,000円を割り込みましたが、24日(木)は為替が1ドル=80円を上回る円安となったことで△100の9,055円と大幅反発しました。しかし、週末26日(金)は、日銀の追加緩和もある程度織り込んだものとして▼122の8,933円と反落しました。

今週は、30日の日銀の金融政策決定会合での追加の金融緩和策が発表される予定ですが、「10兆円程度の追加緩和」が先週報道され、それ以上のものが出なければ織り込んでしまった可能性があり、上値は重い展開が考えられます。円安が続かず企業決算の下方修正が続けば、NYダウに連動することになります。欧州株式は3カ月以上も高値圏にあり、11月は要注意の月となります。

週明け29日(月)は小反発で始まりましたが円安一服で上値重く、後場はホンダの決算発表で2013年業績予想を下方修正しマイナス圏に沈み▼3の8,929円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先々週(10月15日)の予測で、NYダウは調整不足であり、上昇幅の1/3押し(13,119円)以下の調整がほしいところとし、10月19日に終値で1ドル不足している13,343ドルで弱い売転換が出現しました。そのため反発する場合も考えられるが、このまま下げて13,250ドルを切ると1/3押し(13,119円)を試す動きになると予測しました。

結局、23日(火)にはグローバル企業の通期業績見通しの引き下げが相次いだことで▼243の13,102ドルとなって売転換となり、1/3押しを下回り、6月4日の12,305ドルからの上昇トレンド(B)を下に切ってきました。その後は13,000ドルを前にもみあいとなり、週末26日(金)は△3の13,107ドルで引けました。

先週で決算はピークを越したものの、まだ多数の決算予定があり、今週は月末・月初めとなることで経済指標が相次ぎ、NYダウが13,000ドル(より確実には9月4日の12,977ドル)を守れるかどうかが焦点となります。特に、11月2日(金)の10月雇用統計の悪化や企業業績の悪化が続けば相場が下押しされる可能性が高まるものと思われてます。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週の予測としては、10月18日(木)に1ドル=79.27円となって短期下降トレンド(A)を上放れしたことで、8月20日の79.66円を突破すると80円を試すとしました。結局、10月30日(火)の日銀の金融緩和への期待から円売りが促進し、週明け一時80円をつけて80円の手前でもみあっていましたが、10月25日(木)に、日銀による地価の金融緩和(国債などの資金買い入れ基金の規模を10兆円積み増す)の報道で、80.34円まで円が売られました。しかし、週末26日(金)は、米国債の利回り低下でドル売りとなり、79.65円で引けました。

今週は、10月30日(火)の日銀の金融緩和策の内容が、先週報道された国債などの買い入れ基金の10兆円増額程度ならば材料織り込みでそれ以上の円安は続かず、続くとすれば10月の米雇用統計が改善されてドルが買われる場合だといえます。チャートでは、先週の25日(木)に80.34円と上値抵抗ラインの80.44円に接近して、週末には79.65円とドルの売転換となっています。このまま大きく下がらずドルが買われて25日(木)の80.34円を上回れば、再びドルの買転換となって6月25日の80.616円を試す動きとなります。

ドル/円