先週は、8,500円を試す動きへ

先週の予測では、世界景気の減速懸念から上値重く、再度下値確認の動きもとしました。下値では、金融緩和期待から9月6日の安値8,646円が抵抗ラインになるところだが、先々週末10月4日(木)の△77の8,824円、5日(金)の△38の8,863円と中途半端に2日間戻したことで、下げに転じれば8,646円を切って8,500円を試す動きとなる場合も想定すべきとしました。

5日(金)の9月の雇用統計で、失業率が7.8%と2009年1月以来の低水準となったことでドルが買われ円安基調となってくると思われましたが、日本市場の連休明けの9日(火)は、世界銀行がアジア地域の経済見通しを引き下げたことで、再び円高基調に戻り、輸出関連の主力株が売られて▼93の8,769円のスタートとなりました。さらに、引け後にIMFが2012年と2013年の世界経済の成長見通しを引き下げたことで、為替が一時1ドル=78円割れとなり、日経平均は▼173の8,596円と9月6日の安値8,646円をあっさり割り込みました。その後もアメリカの7-9月期決算でアルコアの業績見通しが悪化し、また、欧州不安の再燃懸念もあり、11日(木)は▼49の8,546円となりました。ここまでの下落は、12日(金)にSQ決算日を控え、権利行使価格の8,750円を下回っていることで、8,500円に積み上がった建て玉を狙って先物に仕掛け的な売りが出ているという観測がありました。10月SQ値は8,517円となりましたが、日経平均は△60の8,607円で寄り付き、そのままズルズルと上げ幅を縮小し、マイナスに転じて8,516円とSQ値に到達し、大引けは▼12の8,534円で引けました。この日の下げはソフトバンクとファーストリテイリングの急落によるもので、ソフトバンクが約▼16%の2,420円、ファーストリテイリングが約▼10%の16,040円となり、この2つで日経平均を130円押し下げました。結局、今週は8,646円を切って8,500円を試す動きを想定すべきとしましたが、そのような動きとなりました。但し、NYダウの株価の位置を考えると調整不足であり、8,500円は心理的フシに過ぎず、強力な下値抵抗ラインとはならない可能性があります。

安値圏でのダブル底のパターンを期待

日経平均は、先週の下落で9月6日の安値8,646円を終値で切っており、8,500円の心理的フシで止まってはいますが、アメリカの7-9月期決算の本格化(前期の4-6月期決算よりも悪化の予想)を考えると、8,500円は抵抗ラインとはならない可能性があります。先週末のソフトバンクの急落は、「窓空け」の急落となっており、値がつかずに6月の上昇のスタート時点まで下落しましたので、6月以降に買った人はすべてマイナスとなっており、個人投資家中心の株だけに他の中小型株への換金売りなどが出て、需給関係を悪化させるかもしれません。

指標面では、10月10日の時点で、東証1部のPBRは0.89倍と割安感や月末の金融政策決定会合での追加の金融緩和期待が相場の下支えとなる一方で、世界経済の減速や日中関係の悪化による企業業績の下振れ懸念が強く、安値圏でのもみあいとなりそうです。

柴田罫線でみると、10月10日に8,596円で売転換となっていますので、多少戻りがあっても10月12日の8,516円の安値を切って、7月26日の8,328円を試す動きが想定されます。安値圏で大きな上下動が生まれ、7月26日の8,328円に対するダブル底、もしくはさらに下げて6月4日の8,238円に対するダブル底のような形を作って反発すれば、本格的な戻りに入るパターンとなります。 NYダウの高値圏での株価の位置からは調整不足ですので、7-9月期決算内容によっては、1/3押し(13,119ドル)もしくは13,000ドル水準まで調整すれば日経平均は上述したパターンになる可能性があります。このまま反発しても戻りは限定的ですので、さらに一段安となるのを待つことになります。

本日は、寄り付き後すぐに7月26日以来約2カ月ぶりの8,500円割れがありましたが、自律反発狙いで下げ渋り、後場になると上げ幅を拡大して8,595円まで上昇しましたが、終値は△43の8,577円となりました。

(指標)日経平均

先週は、IMFが世界の経済の成長見通しを引き下げたことで為替もリスク回避の円買いへの方向へ傾き、日経平均は再び9月6日の安値8,646円を試す動きも考えられ、8,600~8,900円のレンジを想定しました。結局、日中問題から自動車の中国での販売台数の大幅減、スペイン国債の格下げ、IMFの世界経済の成長見通し引き下げ、更には、12日(金)にソフトバンクとファーストリテイリングの急落も加わり、また、SQ清算に伴う思惑的な売り仕掛けもあって、8,534円と4日続落となりました。1週間で329円(▼3.7%)の下落となります。柴田罫線では、10日(水)に8,596円で売転換出現となりました。

今週は、安値圏でのもみあいの中で下値模索となる局面も考えられます。9月6日の安値をあっさり切ったことで9,500円が心理的な下値のフシとなりますが、NYダウの株価の位置から考えるとさらに大きく下げる可能性もあり、その場合は8,500円を守れず7月26日の8,328円を試す動きとなります。柴田罫線では10日(水)に8,596円で売転換が出現しましたが、これが買転換となるには、一旦反発して陽線が出て再下落となって安値を切り、次の反発で直近の高値を上回ってくると再度の買転換となってきます。要するに、安値圏で大きくもみあって7月26日の8,328円か6月4日の8,238円に対するダブル底のような形を作るのが理想的といえます。8,400~8,700円のレンジを想定。15日(月)は、一時7月26日以来の8,500円割れで8,488円まで下落しましたが、押し目買いが入って反発し、終値は△43の8,577円で引けました。

日経平均

(指標)NYダウ

先週の予想では、上昇基調が続き高値を更新したところなので、利益確定売りが先行するとしました。7-9月期の決算内容とギリシャ・スペイン問題が要注意ともしました。結局、IMFの世界経済の成長見通し引き下げや7-9月期のスタートでアルコアなどの業績悪化懸念が相場の足を引っ張り、9日(火)は▼110の13,473ドル、10日(水)は▼128の13,344ドルと2日連続の大幅下落となり、週末12日(金)は△2の13,328ドルと1週間で約2%下落して引けました。しかし、チャート上では、今のところ高値圏でのもみあいの状況となっているところです。

今週は、悪化懸念の決算と改善傾向の経済指標との綱引きとなりそうです。10月12日時点で、S&Pの7-9月期の業績は全体的に2009年7-9月期以来のマイナス成長が予想されています。しかし一方で、失業保険申請件数などの経済指標が改善を示しています。チャートからみると、NYダウの調整が不足しているといえます。6月4日の12,035ドルから10月5日の13,661ドルまでの上昇幅の1/3押し(13,119ドル)以下の調整が欲しいところです。9月4日の安値12,977ドルを終値で切らない限り、まだ上値を試す可能性があります。

NYダウ

(指標)ドル/円

先週は、アメリカの好調な経済指標からドル買い円売りが続き、円安基調を想定し78~79円台前半のレンジとしました。しかし、日本市場の連休明けの9日(火)にIMFが2012年と2013年の世界の経済成長の見通しを引き下げたことでリスク回避の円買いが高まりました。また、10日(水)には、IMFが国際金融安定化報告書で欧州の銀行が実施する資金圧縮額の予想を従来から引き下げたことや、S&Pがスペインの2段階格下げを発表したことでユーロが売られ、ドルに対して円は77.95円と一時78円を突破する円高となりました。その後、アメリカの経済指標の改善を受けて12日(金)は78.42円までドルが買い戻されました。

今週も海外の経済指標やEU首脳会議をにらみながらの展開となりそうです。アメリカの経済指標が良好であればドル買い、一方で欧州の信用不安の再燃や中国の景気減速懸念での円買いがあり、77.5~79円のレンジが想定されます。

ドル/円